グランドスラム東京2016は、新たなスタート
ーー初めてのオリンピックとなったリオデジャネイロ五輪。試合当日を振り返られて、いかがでしたか?
「あまり緊張しなかったけど……畳の上に上がったら思いっきりやるだけだ、と思っていくけど、『金メダル欲しい』っていう欲が出るから。オリンピックはそこは違うなと」
ーー近藤選手はいつも、試合当日は楽しんでるというか、もう入場しながら笑っちゃう感じですよね。でもオリンピックの時は笑顔が見られなかったのが印象的でした。
「他の大会は、もちろん負けるつもりはないけど、あたってくだけろ的なところがあって。でもオリンピックはくだけたらまずいから(笑)。初めてだったし、何もなく終わるのはまずいなと」
——準決勝の試合を振り返られて、いかがですか?
「組み勝ってたから、自分が技をかけるつもりだったけど、気づいたら投げられちゃって。普通に一本だと思ってたけど、初日だったからジャッジが慎重で、技アリって言われちゃった。その後も自分が技をかけるつもりだったけど、うまいこと逃げられてしまった。あの一瞬が勝負の分かれ目だったかなと思います」
——相手の方の必死さが勝っていた、と。
「必死だったし、本当はもっと(自分は)トントンといけちゃうんじゃないかと思ってたから……負けて泣いて、気持ち的に復活してない状態で3位決定戦に入ったけど、ムンフバトと向かい合った時、目の色が違ったんですよね。本当に腕折られるんじゃないかと(笑)。ここでしっかりしなきゃと思いました」
——試合後、悔しそうな顔をしていましたね。
「3位決定戦に勝って嬉しかったけど、観客の方を見て礼をした時、親や先生が喜んでるのが見えて……でもそれを見て、『ああ、3位だった』と。本当は金メダルを期待されてたけれども、銅メダルで喜ばせちゃったのを見た時に我に返りました」
——リオデジャネイロ五輪が終わり、さまざまな番組やパレードなどにも出演されました。少し時間が経ってから振り返られた実感は?
「やっぱりまず、『メダリスト』と『メダリストじゃない人』に扱いの差があるんですよね。で、『メダリスト』ではあるんですけど、銅メダルはメダルの中で一番下だから、メダリストの中では最下位だなと。周りは喜んでくれたからそれはそれで良かったと思ってるけど、自分では銅メダルを獲って感じることは色々ありました。獲って良かったなと思う部分もあれば、金メダル以外は一緒、負けは負けだなと」
——メダルは今、どこに保管されてるんですか?
多分、寮の机のところです。
——飾られてはいない?
「そのうち飾るとは思うんですけど。メダルって、色んな所に持ち歩いて人に見せたりすると表面が剥げてくるんですよ。銅メダルって金よりも剥げるとめっちゃ目立つんで、見るたびに『はぁ』ってなって……あんまり見たくないなと。
オリンピックは、代表争いも激しかったしいつ選考から外されるかなと思ってたけど……出てみたら『大会の1つ』だったというか。だからこそ銅メダルがそんなに嬉しくないのかな、と」
——リオデジャネイロ五輪が終わって、すぐにグランドスラム東京に向けて始動しましたよね?
「自分が、他の選手が休んでる間に飛び出した選手だし、休むことのリスクを知ってるので。目指してるものがあるのに休むことの意味がわからないんですよ。
休んでる間に取り返しのつかない状況になったら引退するしかないし……まだ自分は諦めてないから、もう一度スタートしてグランドスラムに出場しようと」
——4年後、東京五輪は目標として意識されますか?
「今は単純に、世界選手権の金メダルを目指してます。4年ってやっぱり長いんですよ。自分が逆の立場だったらラスト2年からでも狙えると思うし、だから東京五輪はまだ考えてないですね。4年は長いからこそ、一つ一つつぶす必要がある。グランドスラム東京は日本で行われる大会というのもポイントだし、外国人選手との手合わせを見てもらえる。自分の実力をアピールできる場だと思ってます」
近藤 亜美
生年月日:1995年5月9日
出身地:愛知県
階級:48kg級
所属:三井住友海上火災保険