リオデジャネイロ五輪の悔しさを胸に、4連覇へ
リオデジャネイロ五輪、女子48kg級の銅メダリスト、近藤亜美。準決勝、アルゼンチンのパウラ・パレート選手に奇しくも敗北した彼女にとって、初出場のオリンピックの洗礼は苦いものとなったようだ。だからこそ4連覇のかかるグランドスラム東京は、彼女の「再スタート」としてまた新たな意味を持つ。
10月末、三井住友海上の世田谷道場。女子柔道部の練習風景の中に、近藤亜美の姿があった。
グランドスラム東京まで1ヶ月を切り練習の真剣さの中には緊張感は漂うも、いつもの場所にいるという安心感か時折リラックスした顔が見られる。取材した日はコーチの1人が誕生日ということもあり、選手全員でサプライズでお祝いを行う姿も。道場の中では黙々と練習を行っていた選手たちも、このときは女子らしい盛り上がりを見せていた。輪の中で小柄な体を飛び跳ねさせつつ、とびきりの笑顔を見せていた近藤。
インタビューが始まっても、メダリストとしての姿に、素の「21歳」の姿がのぞく。リオデジャネイロ五輪の印象は? と聞くと、開口一番の答えは「選手村のジュースがタダなんですよ!」。飾らない答えが、いかにも近藤らしい。
そんな彼女の表情が曇ったのは、準決勝に話が及んだときだった。
「あの一瞬が、勝負の分かれ目だったかなと」
パレート選手相手にポイントを取り返せず、負けを喫した準決勝。まさかの負けに呆然とする近藤の姿が印象的だった。
今思うと、あのときは「いつもの近藤」からは遠かった。どんな大きな大会でも、緊張の中に笑みを見せていた近藤。試合が、柔道が楽しくて仕方ない、そんな「近藤らしさ」が、オリンピックに飲み込まれた。いつもの大会のように、「当たってくだけろ」でいられなかった……そう語る彼女。「金メダルが欲しい」という欲が、「近藤らしさ」を失わせた。
しかし9月末。リオデジャネイロ五輪が終わり、代表選手たちのグランドスラム東京への出場動向が分かれていく中で、近藤のツイッターにはこの文字が踊る。
「次はグランドスラム東京目指してまた1から頑張るぞ!!」
その理由を聞くと、「休むことの意味がわからない」と笑って答えた近藤。オリンピックを振り返って思うのは、オリンピックも「大会の1つ」だった。目標のためには、目の前のことを1つ1つ潰していかないと、と。
今回、グランドスラム東京で優勝すると彼女はこの大会4連覇となる。当然、多くの選手がそれを阻止しようと思っていることだろう。国内選考も激戦だった階級だけに、近藤に落ち込んでいる時間は与えられないのだ。今年のグランドスラム東京を制して、来年の世界選手権優勝へ。近藤の新たなスタートが、今始まる。
近藤 亜美
生年月日:1995年5月9日
出身地:愛知県
階級:48kg級
所属:三井住友海上火災保険