ここで勝つか勝たないかで、4年間が変わる
――リオデジャネイロ五輪は、銅メダルという結果でした。正直、ご自身としてはこの結果には満足されていますか?
「……金メダルじゃないので、満足なんてできるわけないですよね。満足してしまったら、それは柔道を辞めるときだと思うので。金メダルを獲るまではどの試合で勝っても満足はしないと思います」
――帰国後、さまざまなメディア出演などありました。そんな中で今、オリンピックを思い返して、悔しさはありますか?
「(記者会見のときなど)金メダルの選手が前で、銅メダルの選手はおまけという形になるんですけど……でもそれは今しか味わえないし、銅メダル獲らないと味わえない。それもいい勉強になってるなと思います。これまでそういうことがなかったんですよね、屈辱というか、悔しさというか……それを味わえたのがいい経験になっていると思います。
――オリンピックに実際に出場された実感はどうでしたか?
「夢の舞台。表現が難しいんですけど、夢があるなというか。夢をつかむチャンスが、あの場にしか無いんですよ。あそこで金メダルを獲れればもっと人生が変わっていく、それを実感できた。でもその場で、奇想天外な柔道ができなかったし、金メダルにこだわりすぎた。それが自分の弱さでした」
——―やはり後悔する部分は大きい、と。
「金メダル獲れなかったことですべてが後悔になるんですけど……リオデジャネイロ五輪はもう戻ってこないんで。あの時こうしてれば、という『たられば』は言いたくないなと思っています」
――準決勝での敗戦のショックを、どう切り替えていったんでしょうか?
「やっぱり、3位決定戦のときも切り替えられるわけはないんですよ。オリンピックの金メダリストを夢見てやってきたのに、その金メダルが無いという状態で。でもオリンピックが終わって、『グランドスラム東京』に出ようと思った時、そのことを引っ張ってても仕方ないなと」
――その悔しさを、4年後の東京五輪に……というのは考えられますか?
「ここまで突っ走ってきて、あと4年。これをもう一度やるのかというのは、正直しんどいなと思います。でも、今まで以上にやらないと金メダルは獲れないなということがわかったし、時間を無駄にしないというか、どう4年を過ごすかを計画的にしていかないと。4年間アップダウンが激しすぎてなかなか大変だったんですけど、もっと安定した強さを出していかないと金メダルは難しい。この経験を次に活かしたいですね。そうしないと年齢的にもきつくなってくるんじゃないかと思います」
――自分のコンディションのピークを東京五輪に合わせる、と。
「ピークじゃなくても、金メダルを獲れればそれでいいんですよ。ベストコンディションで試合に望む、そのために代表になる。そういう意味ではオリンピックを一度経験してるから、次の4年に活かせるんじゃないかなと思います。
2020年のオリンピックが東京に決まった時、『ああ、俺のために東京になったんだ』ってポジティブに捉えてたんですけど(笑)。いざオリンピックの畳に上がったら、場所がどこだろうと金を獲りに行かないと、とわかったんですね。だからオリンピックオリンピックと言い過ぎると、そこに辿り着く前に大きな落とし穴があるような気がする。まずは1試合1試合着実に、そして今後は計画的にやっていこうと思います」
——そのための一歩が、今年のグランドスラム東京ということでいいんでしょうか。
「ただ『柔道を盛り上げたい』というためだけに出るんだったら、自分にとってはマイナスでしかない。でも、『強さ』を見せたいんです。本当は銅メダルじゃない、金メダルを獲れた、それをちょっとでも見せたい。だから勝ちに行きますよ。
グランドスラム東京は、これまでも自分のポイントになることが多いんです。今回も自分の柔道人生にとって、大きなポイントになると思う。ここで勝つか勝たないかで、この4年間大きく変わってくると思います。あと、今まで以上に『強い髙藤直寿』を見せれば、『柔道って面白い』と思ってくれる人が増えると思うんですよ。だから、日本でやる試合は絶対に優勝します。期待していただきたいです」
髙藤 直寿
生年月:1993年5月30日
出身地:栃木県
階級:60kg級
所属:パーク24