北鎌倉の山間に佇む宿「くわの」は、美人女将の桑野厚子(岡江久美子)をはじめ、番頭の久保隆(東幹久)と仲居たちで切り盛りしている。人目につきにくい場所柄からか、いつしか「密会の宿」と呼ばれるようになっていた。
そんな「くわの」に、ある日馴染みの呉服店「やまと着物」の三上(魔裟斗)が着物の展示会を催すためにやって来る。もともと展示会は来週の予定だったが、三上の都合で急遽この日に変更されていた。
同じ日、厚子にとって特別な客人・吉岡咲子(高橋かおり)が「くわの」にやって来る。咲子は7年前に「くわの」で老舗呉服店の社長であった田中光彦(小須田康人)と不倫の果てに心中を図ったものの、厚子の的確な処置により自分だけが一命を取り留めていた。以来、咲子は光彦の命日に必ず花を持って「くわの」に泊まりに来るのだ。しかし、当時の事件を担当した北鎌倉署の刑事・番場(西岡德馬)は、当時の状況から、今なおそれは心中ではなく殺人事件ではないかと疑っていた。
その晩、新宿の公園で女性の遺体が発見される。殺されたのは、美峰堂呉服店の社長・田中綾子(田中美奈子)。「くわの」で咲子と心中を図り亡くなった田中光彦の妻だった…。翌朝、「くわの」に新宿西署の刑事たちがやって来る。先週、咲子が綾子の元を訪ねていたことが判明し、事情を聞きにやって来たのだ。咲子は事件当夜は宿から一歩も出ていないと容疑を否認するが、刑事たちは社長秘書の藤尾(長谷川朝晴)から事件当夜の11時頃、綾子がこれから人に会うと言っていたこと、さらに咲子が綾子のもとに面会に来た際、2人がかなり険悪そうだったなどの証言を掴み、咲子への疑いを強めていく。
やがて司法解剖の結果、綾子の死亡推定時刻が夜11時から12時の間であることがわかり、咲子は任意同行を求められる。咲子は「くわの」の番頭・久保隆と夜11時頃すれ違い、バスの時刻表を部屋に持って来てくれるよう頼んだと自らのアリバイを証明するが、刑事たちは咲子がまるで予め用意していたかのように「久保隆」と番頭の名をフルネームで答えたことに違和感を覚え、隆の共犯を疑い始める。
やがて、隆のもとに刑事たちがやって来た。咲子との関係を否定する隆だったが、警察は既に横浜のホテルの防犯カメラに写る2人の写真を掴んでおり、そのまま無理やり公務執行妨害の容疑で隆を逮捕してしまう。
隆の無実を信じる厚子は、事件当夜「くわの」にもう一組のカップルが宿泊していたことを思い出し、隆たちのアリバイを証言してもらうためその行方を追い始める。ところが、そんな厚子と番場の命を何者かが狙い始め、さらには、咲子と三上が一緒にいるところを偶然目撃してしまう…。
果たして、綾子を殺害したのは誰なのか?やがて、7年前の心中事件に隠された悲しい真相が明らかになる…!









