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現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜 夜10時)。11月20日(火)の放送では、日本の製造業の悲願とも言える国産ジェット旅客機、三菱リージョナルジェット(通称・MRJ)の開発現場を独占取材。正念場を迎えた開発の舞台裏に迫る。
度重なる納入延期...MRJに市場の評価は?
三菱航空機が2008年から開発を進めているMRJは、およそ半世紀ぶりに日本が独自開発するジェット旅客機。2020年の納入を目指し、現在はアメリカ・ワシントン州のモーゼスレイクでテスト飛行が重ねられている。マイナス40度の極寒試験や50度の極暑試験など、MRJのエンジンや機体は400項目にも上る安全基準をクリアしなければならない。
MRJの開発現場で番組が取材を始めたのは2012年。これまでに387機を受注しているが、実際に納入されたMRJはゼロという事態に陥っている。当初の計画では、2013年に航空会社への機体の納入がスタートする予定だったが、度重なる設計変更によって納期は2020年にずれ込んでいる。開発費がかさむ一方、三菱航空機の債務超過は1000億円を突破。更に親会社の三菱重工は2200億円を出資し、600億円の公的資金も投入されており、MRJの開発費は3倍以上に膨れ上がっている。
リージョナルジェットと呼ばれる機種は短距離路線用の機体で、国内線を抱える日本国内の航空会社もMRJに熱視線を送っている。日本国内のリージョナルジェット市場は、ブラジルのエンブラエル社とカナダのボンバルディア社の2社による独占状態。三菱航空機の水谷久和社長(67歳)は2強構造の市場に食い込むべく、航空会社に向けてMRJの優位性をアピールし続けている。
他社の同クラス機との比較で、MRJが優れているポイントの1つはエンジン。アメリカ製の最新型エンジンを採用することで、騒音とCO2の排出量を抑えているという。また、荷物室を客室の床下ではなく機体後方に設置するという業界初のアイデアで、広くて快適な客室を実現している。
MRJの開発に、高い技術力を持つ中小企業や町工場も力を貸している。MRJの量産が始まれば、こうした中小企業にとっても絶好のチャンスとなる。ニッポンの"ものづくり"に再び活気を取り戻すことも、MRJが背負った使命と言える。
ついに決断...「日の丸主義」との決別
三菱航空機はまた、当初から貫いてきた自前主義と決別する。開発スピードをアップするべく、経験豊富な外国人技術者を積極的に雇用し始めたのだ。1600人の従業員のうち340人が外国人で、社内公用語も英語に変更。中には日給10万円というスタッフもいるという。その効果もあって、今年7月にイギリス・ファンボローで開催された航空ショーでは、初のデモフライトにこぎ着けた。
そして、これ以上の納期の遅れは許されない状況の中で、アメリカのモーゼスレイクでのテスト飛行は、国土交通省のパイロットによる慣熟飛行(国の飛行試験に向けてパイロットが操縦に慣れるためのフライト)の段階へと進んでいく。
長きに渡る期間と巨額の開発費を投入してきたMRJ。絶対に失敗できないギリギリの戦いを続ける開発現場の舞台裏は、今晩の「ガイアの夜明け」で放送! どうぞお見逃しなく
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