登録者数約55万人!忖度なしの音楽批評が話題YouTubeチャンネル「みのミュージック」
登録者数約55万人のYouTubeチャンネル「みのミュージック」を主戦場に、音楽をはじめとしたカルチャー情報を発信する人気クリエーターの“みの”にインタビュー。自身の驚きのバックボーンから、大きな転換期を迎える今後の音楽界の展望についても聞いた。
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音楽や映画を分かりやすく解説
YouTubeチャンネル「みのミュージック」――みのさんがYouTubeチャンネル「みのミュージック」を開設されたのが2019年の1月。「音楽解説」と聞くと敷居が高そうに感じますが、映画などのカルチャー全般を絡めて分かりやすく解説することで視聴者層を広げています。
「メディアにプロフィールを提出する際に肩書が渋滞するので、今後“なんちゃらクリエーター”とか名乗ろうかなと思ったりもするんですけど(笑)、基本的にはYouTube上で音楽を語ったり、音楽に関する本を出させてもらったり、毎週Apple Musicで〈Tokyo Highway Radio〉というラジオ番組をやらせていただいていまして。ジャクソン5が活躍した1960年代くらいから現在まで、洋楽・邦楽を問わず、バランスよく紹介、解説することを心掛けています」
――かつては音楽雑誌や深夜ラジオが情報源であり、音楽ファンの一つの指針でしたが、「みのミュージック」もまた、そうした存在になっているのでは?
「チャンネルを始めて7年になりますが、20歳前後の若い世代から『みのミュージックをきっかけに音楽を始めました』など言っていただくようになりましたし、若いミュージシャンのインタビューをしていても、そういうケースが増えていて。ちょっとでもインスピレーションなのか、動機づけになっているのであれば嬉しいことだなと思います」
――お生まれが1990年ということで、平成のど真ん中で青春時代を送ったと思います。
「僕の場合は、雑誌文化がだんだん衰退していって、CDなどの音楽市場も縮小していく中、ニッチな部分で上手くハマったと言いますか。最初にYouTubeで活動し始めた2010年代、音楽解説や批評を生業とする人のほとんどが50代以上の方になってきて。その下の世代は全然いなかったところ、20~30歳下の僕が突然やり始めて――という流れがあって」
――2015年より3人組のユニット「カリスマブラザーズ」としてYouTube上で動画配信をスタートするも解散。
「すぐに藁をもつかむ思いで音楽系YouTubeチャンネルを1人で立ち上げて、しばらくの間は試行錯誤の連続でした。今は批評という硬めの要素もありながら、幅広いアーティストを取り上げて人(視聴者)も集める。そんな相反することに挑戦させてもらっていて。情報が誰にとってもアクセスしやすい時代になったからこそ批評の必要性が増していると思うので、硬軟ともにやっていきたいですね」
――お父さんはアメリカ人。ご自身も生まれはシアトルで、2歳から日本へ。そもそもは、どんなバックボーンがあって、今のスタイルに辿りついたのですか?
「日本に戻って千葉の印西市という、当時はめちゃくちゃ田舎の、町村合併して開ける前は“村”と隣接しているくらい田舎街で育って。駅前にある本屋さんとCD屋さんが一緒になった複合施設が唯一の文化的な場所で(笑)。インターネットもまだダイヤルアップ接続の時代でしたし、携帯もパソコンも持っていないし、とにかく音楽の情報が何も入ってこなかったんですよ」
――1990年代の終わりから2000年代初頭の話でしょうか。
「音楽に興味を持ったのは2000年代の中盤、中学に通うようになっての話なんですけど、お金がないから図書館に行ってはCDを借りて。棚にあるCDを全部聴き終えたので、今度はVHSのビデオに手を伸ばして。イギリスBBC放送制作のポピュラーミュージックの歴史をまとめたドキュメンタリーを観るようになりました。
この図書館で借りた戦前のブルースから1980年代のヒップホップくらいまで収めた8巻セットのビデオを擦り切れるくらい何度も観直したのが、そもそもの始まりで。おかげで中学2年の頃には、大体の歴史が頭に入っていましたね(笑)」
――アーティストやジャンルを点として深掘りするだけに留まらず、線や面として捉える視点が「みのミュージック」の売りです。
「例えば、ビートルズがイギリスから登場してきて、そのうちサイケデリックのムーブメントが起こって。だからお客さんはみんな裸で踊ったり、カラフルな洋服を着てるのか……って、文化的な側面も知れたのもよかったです。本格的に音楽を聴くようになったこの頃から、背景にあるストーリーや文脈と結びつける作業も好きになりました」
――2021年に発売された初の著書「戦いの音楽史 逆境を越え 世界を制した 20世紀ポップスの物語」(KADOKAWA)は、その賜物だった?
「中学時代に、なんとなく脳内で草案はできていたように思います(笑)。その頃の記憶を辿りながらの執筆作業でした。思い返せば、ジミー・ヘンドリックスなど、これまでCDの音でしか聴いたことのなかったミュージシャンの動く姿を見ることができて。知らない音楽も知ることができて。幅広いアーティストの最も有名な楽曲ばかり集めた最高のオムニバスビデオと出会えたのは本当に幸運でした。
僕の世代はビデオも知っていますし、テレビはブラウン管で、自宅は固定電話で――という時代をギリギリ過ごせたことも、今のスタイルでやっていく上では役に立っています」
――昭和と令和を繋ぐ語り部としてはピッタリですね。
「そうかもしれません。その両方を知っているから、ある程度の過去の話題も拾えますし、今の若いリスナー、視聴者の気持ちが分かるところもある。これからも幅広く、バランスよくやっていければいいと思います」
――最後に、そんなみのさんが考える今後の音楽界の展望を聞かせてください。
「今後もAIの発展は止まらず、指数・関数的にも大きく飛躍していって、どこかのタイミングでプロが作る音楽とAIが作る音楽の見分けがほとんどつかない時代が来るんでしょうけど……そうなると観客がいなくなると思うんですね。
つまり、いくらクオリティーが高くても誰も聴かない。例えば、サカナクションの名曲『怪獣』が毎秒100曲できる世界がきたらとても追いつかないし、聴かないし。何でもよくなってくるじゃないですか? そうなった時に人間が何を求めるのか? 何を選んで聴こうと思うのか。それはアーティストの背景にあるストーリーや文脈だと思っていますし、僕はそう信じています」
――この場合のストーリー、文脈とは?
「『怪獣』であれば、サカナクションの休止期間があったり山口一郎さんの闘病があったり。それがあって生まれた楽曲からにじみ出る人となり、生き様ですよね。そういう楽曲の外側にあるものがより重要になってくるはず。僕自身はどうしても内側を語りがちなので、できるだけアーティストの外側にあるものも紹介していきたいです。
あと、それとともに生の歌、生の演奏、ライブの価値が今以上に上がってくると思います。スマホで録画しながらの画面越しではダメ。自分の目で見て耳で聴く。これまで以上にリアルに価値を求める時代が、すでにやってきていますよ」
ブームやトレンドに終わらず、もはや新しいメディアとして成熟しつつあるYouTubeチャンネル。その中で、再生回数があまり回らないとされる音楽系の、さらには解説・批評を行う「みのミュージック」。ともすればアナログで、時代に逆行するかのような“みの”が今注目されている理由をより知りたい人は、ぜひYouTubeチャンネル「みのミュージック」へ!
【プロフィール】
みの
動画クリエイター/音楽評論家/ミュージシャン/音楽プロデューサーと多岐にわたって活動。邦楽・洋楽を自在に横断する深い知識と独自の切り口で発信するYouTubeチャンネル「みのミュージック」は登録者約55万人を突破。難解になりがちな音楽評論を平易な語り口で紐解き、"音楽の楽しみ方そのもの"をアップデートするスタイルが支持され、テレビ・ラジオ出演、雑誌寄稿、音楽プロデュースまで活躍の場を広げている。Apple music 「Tokyo Highway Radio」ではDJを担当。2025年には三冊目となる著書「みののミュージック」(ビターズ)を刊行。動画クリエイターとしての映像表現力と評論家としての分析眼を掛け合わせ、 オンライン/オフラインを問わず多角的に音楽文化を発信中。2026年9月19日(土)・20日(日)岐阜で開催されるロックフェス「中津川 WILD WOOD 2026」に2年連続でMCとして出演。
YouTube「みのミュージック」
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