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<プロゲーマーの厳しい世界と実状>もしも子どもに「プロゲーマーになりたい!」と言われたら...eスポーツ専門家に聞く

IT&ネット

テレ東プラス

2022.7.16

大会で優勝すると高額な賞金が得られるeスポーツの世界は、ここ数年で大きな注目を集め、eスポーツ選手やプロゲーマーを目指す人たちが増えている。
日本FP協会が発表した「2021年 小学生『将来なりたい職業』ランキング」によると、「プロゲーマー」は男子児童がなりたい職業で、前年の11位から7位に上昇。子どもたちが憧れる職業の一つとしても、人気が高まっている。

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一般的なスポーツのように、スマートフォンやパソコン、専用機などで多くの人が楽しんでいるゲームだが、プロ競技としてのゲームの世界は、まだ認知されていないことも多い。
そこで、eスポーツライターの岡安学さんに、eスポーツ選手をはじめとするプロゲーマーについて取材。
プロの世界の厳しさに加え、プロゲーマーを目指すメリット、「もしも、子どもが本気で『プロゲーマーになりたい』と言ったら...」その際の親の対処法まで、たっぷり話を聞いた。

プロゲーマーになるには


――現在、国内にeスポーツ選手やプロゲーマーと呼ばれる人たちは、何名くらいいるのでしょう?

「日本では、eスポーツ振興を行っている日本eスポーツ連合、通称『JeSU(ジェス)』という国内競技連盟があり、プロライセンスの発行を行っています。現在、『JeSU』が発行している、ジャパン・eスポーツ・プロライセンス(以下、プロライセンス)の所有者は273人です(※2022年7月1日現在)。その他、ジュニアライセンス所有者や、法人格のチームライセンスでの所属というケースも。

ただ、海外メーカーなど、JeSUに参加していないメーカーのタイトルは、プロライセンスの発行をしていません。プロライセンスを持たずに、プロゲーマーとして活躍している人も多数います。そうした人たちを含めると、実際はライセンスホルダーの2~3倍くらいが、プロゲーマーとして活動している状況ですね」

――プロになるには、具体的にどういったプロセスがあるのでしょうか?

「いろいろな方法がありますが、プロライセンスの取得に関しては、『JeSU』の公認大会などで上位に入り、プロライセンス取得条件をクリアすること。他の方法では、新しいゲームが出た際には、まだプロプレイヤーがいませんから、メーカーがプロに値する成績を上げている人を推薦して、プロライセンスが得られる場合があります。

また、公式の大会で好成績を残すと、プロゲーマーとして認められることもあります。これらは、それぞれのタイトルやメーカーの基準によってまちまちです。ただし、こうした大会には、すでにプロとして活躍している選手も多数参加しますから、その人たちと戦って勝ち上がるには、相当な実力が必要です。

その他、eスポーツの公認タイトルにはチーム戦のゲームがあり、チームから声をかけてもらう方法として、トライアウト大会に参加するのが一つ。プレシーズンマッチなどの予選に参加し、2位以上など上位に入るとドラフト候補選手になるケース。あとは高校生eスポーツ大会『STAGE:0』で活躍し、チーム練習生になった人もいます。

何かしらの大会で好成績を収める、ドラフト候補選手になる、トライアウトに参加するなど、仕組みとしては『甲子園で活躍して、プロ野球選手になる』のと同じと考えると、eスポーツに詳しくない人でもイメージしやすいかもしれません」



これまでの最高優勝賞金は約20億円!


――賞金規模や、賞金以外の収入源について、教えてください。

「勝ち進めば賞金がもらえる大会は多くありますが、優勝賞金が数百万~数千万円といったタイトルがある一方で、10万円という小さいものもあり、規模はさまざま。ちなみに、これまでの優勝賞金最高額は、2017年に海外で行われた世界大会で、当時のレートで換算すると約26億円。国内での最高額は、1億5000万円です

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「日本では、給与制を導入しているチームもあり、給与+賞金が選手の収入になります。また、メーカーや大会運営から、リーグの参加チームに運営費を支払われる方式もあります。そうしたケースでは、運営費から最低保証年俸を選手に支払うように指示されていて、安定した収入を得られる場合もあります。

その他、スポンサー契約やイベント出演料など、賞金や年俸、それ以外の収入の種類といった面では、一般的なプロスポーツやオリンピック競技で活躍している選手と、基本的な構造は似ている点が多いです。あと、動画配信はプロゲーマーと親和性が高いといえます。動画配信でゲーム実況は人気の高いコンテンツですし、プロ活動をしながらストリーマーとして、活躍している選手は多いですね」

――仕事をしながら活動する人も多いようですが、プロゲーマーだけで生活するのは難しいのでしょうか?

トップクラスになると、賞金やスポンサー契約などを中心に1年間で数千万円以上、安定的に稼いでいる選手もいます。でも、多くの選手がしのぎを削る世界なので、大きな大会で連覇するのは非常に難しいですし、こうしたプロとしての収入面はeスポーツに限ったことではありません。オリンピックでメダルを獲得する競技でも、プロ制度がなかったり、マイナースポーツだったりすると、働きながら競技を続けている選手がたくさんいます。

メジャースポーツでも、例えばゴルフの場合、大会で活躍して賞金が得られるのは一握りで、レッスンプロなどで生計を立てている人も多いですよね。そうした人も、プロの肩書があるかどうかでレッスン料が違うと思いますが、プロゲーマーもライセンスの有無で、イベントに呼ばれるかが決まったり、出演料に差があったりするはずです。やはり競技だけで食べていくには、大会で活躍できる実力や多くのファンがいるといったレベルになることが、必要になりますね」

新たに輝ける場所が増えた


――職業としてのプロゲーマーが認知されてきましたが、現在のeスポーツ業界の環境などについても、教えてください。

「eスポーツに関して『日本は遅れている』と言う人もいますが、実際は競技連盟やライセンス制度があり、そこそこ整備されている状況です。海外ではメジャースポーツ並に収益を出しているチームもありますが、それは一部のことになりますし、むしろ日本はプロとして活動する点で、かなり環境が整っている方だと思います

トップクラスの選手だと、1日の練習時間が16時間、睡眠以外の時間のほとんどを、ゲームに費やしている人もいます。働きながらプロゲーマーをしている人の場合、練習時間が限られますから、そうしたハンデを覆すには工夫も必要ですし、上位にいる選手たちの壁は高くて、厚いです。

でも、プロゲーマーという新たな職種ができて、それまで『ゲームは得意だけど、運動は苦手』といった子どもにも、大きく輝ける場所が生まれたといえます。今は国体の文化プログラムにeスポーツが加わり、一般の部と小学生の部があります。小学生のうちに『日本一』になれる機会、そこまでいかなくても県の代表として大会に出場する機会は、そう多くはありません。優勝した子が、将来プロゲーマーを目指さなかったとしても、『小学生で日本一になった』という経験は大きいと思いますし、そうしたチャンスが新たにできたという点も、いいことですよね」

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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