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オカルトと電磁波は相性◎? “奇祭”を開催するメディアアーティスト・市原えつこの生存戦略

ライフ

テレ東プラス

2019.8.2

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巫女の衣装と、「セクハラ・インターフェイス」など奇想天外な作風といった、一度見たら忘れられないメディアアーティストとして活動する市原えつこさん。前編では現代のクリエイターに必要なサバイバル戦略について話を伺った。「アーティストは100年後の欲望を先取りする存在」だという市原さんが、今どうしても作りたいテクノロジー奇祭とは?

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今の科学で証明できない「何か」に面白みがある


──市原さんの作品で、家庭用ロボットに故人を憑依させる「デジタルシャーマン・プロジェクト」はありえそうな近未来ですよね。

市原えつこ(以下、市原):ロボットが普及した世界では、きっと多かれ少なかれ、ロボットに感情移入が生まれて、そういう弔い方もありえるんじゃないかと思って。これは2015年の作品なんですけど、そのころはまだ家庭用ロボット自体が今より普及しておらず、テクノロジーで死者を蘇らせるというのも際どい発想だったんですけど、今はもうすこし受け入れてもらいやすい風潮になった気がします。

https://vimeo.com/157890881
(デジタルシャーマンプロジェクト動画)

──そういった宗教的なものへの興味は何がきっかけだったんですか?

市原:先祖に農家が多かったり、幼い頃はトトロが出てきそうな自然豊かな環境での暮らしに親しんでいたので、土着のカルチャー信仰とかは血の記憶として持っているというか......。

私自身が宗教をどっぷり信じているかと言われると、半信半疑ではあるんですけど、今の科学で証明できない「何か」っていうのはあるんだろうな〜とは思っていて。母方が農家の家系で、父方が工学系だったので、作風はダイレクトにその影響を受けていますね(笑)。

センシティブなテーマでラジオなどのメディアに出た後は、セルフ生き霊払いをたまにやってます。自分に何かしらネガティブな感情を向けた方は、生き霊になっている場合があるらしいです。

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──そんなライフハックがあるんですね(笑)。

市原:結構簡単にできるんですよ。自分についているであろう人の名前と顔を思い浮かべながら、「〇〇さん、ありがとうございます」って言うだけ。霊媒師の方いわく、写真やSNS経由の憑依もあるらしいです。若くして大きな賞を獲ったり脚光を浴びたりした方は憑依されやすいので、こっそり教えたりしています。「なんか気持ちが落ち込むな、調子悪いなぁ......」ってときにオススメです。ちなみに死霊払いバージョンもあります。

オカルトと電磁波は親和性が高い?


──霊的なものとデジタルなものって意外な組み合わせです。

市原:オカルトと電気・電磁波って真逆なようで親和性が高いんですよ! ラジオ収録中に謎の怪音が入って、データが全部ダメになったり、夜のテレビ収録ロケ中に車のバックガラスが全部割れたり......(笑)。そういうことがあって、「電磁波に霊は乗りやすいんだな」と「デジタルシャーマン・プロジェクト」のコンセプトを改めて確信しました。

デジタルテクノロジーって、そういう得体の知れないものを一見排除したものですけど、発明家って結構オカルトに傾倒していたんです。エジソンが降霊術をやっていたり、量子力学の世界でもパラレルワールドが研究されていたり。そう思うと、得体の知れないものも、まだ証明されていないだけで、意外と真実かもしれない。科学ってオカルト的な仮説を証明していくものなんじゃないかなって。

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テレビや電話、インターネットの存在って当たり前になっていますけど、今いないはずの人が目の前にいたり、会話できたりするって不思議じゃないですか? 科学と魔術と宗教って、今の目の前にないものを目の前にあらしめるという点では、実は親和性が高いんじゃないかと思っています。

今計画しているテクノロジー奇祭は「デジタルシャーマン・プロジェクト」から、コンセプトが発展していったものなんです。仮想通貨で世界中からコインを奉納できるシステムを積んだ神輿をつくったり、祝詞や舞をロボットに奉納してもらう予定です。

奇祭の御神体はバイオテクノロジー


──現在クラウドファンディング中の「仮想通貨奉納祭」ですね。

ichiharaetsuko_20190802_05.jpg▲「仮想通貨奉納祭」クラウドファンディングは8月9日まで

市原:今までは作品単体を発表していたんですけど、もうちょっと時空間を広げて、現実に侵食した祭りを作りたくて。「東京で新しい奇祭が行われる」というニュースが流れる様子がなぜか頭にこびりついちゃって、奇祭はここ数年ずっとやりたかったんです。

──「仮想通貨奉納祭」というと、何を祀るんですか?

市原:御神体は、生命の香りがするものが選ばれることが多いので、バイオテクノロジーを活用して作る予定です。何を培養するのかはまだ考え中なんですけど、実家でとれた野菜をご神気にあて、植物組織の培養をするのをまず試していました。バイオアーティストの友人に相談しつつ、培養しやすいものを模索中です。「発酵」も神聖みがありますよね......。

私は都市型のいわゆる音楽フェスみたいなものより、誰がはじめたのかわからないような土着のお祭りがすごく好きで。今回企画した「仮想通貨奉納祭」は、クラウドファンディングで費用を集めるために「やりますよー!」って私が声を上げているんですけど、続いていくうちにより匿名化して、誰が何のためにいつ始めたのかわからないくらいになってほしいと思ってます。

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──ずっと先の未来に、「なぜか年に一度商店街に仮想通貨が寄付される日」みたいになるかもしれませんね。

市原:飲食の屋台は、場を提供してくださる川島商店街の方々が出店してくださるんですけど、いろんなアーティストの屋台を出したりもしたいんですよ。スマホ決済対応で、「喘ぐ大根」をなでられる屋台とか(笑)。

リスクヘッジのためのクラウドファンディング


──初のクラウドファンディング主催ということで。

市原:クラウドファンディングって、まだ完成していない企画に共感してお金を投じて下さる人がこんなにいるんだ! と感動しました。そして噂には聞いていたけど、やってみたらものすごく大変だとわかりました。なぜ自分がやりたいのか、実現したらどう面白いのか、わかりやすく整理しないと共感が集まらないと気づいて、もう胃が痛くて(笑)。まず、企画を立てて、リターンを考えて、原価を計算して、それに合わせて画像製作をして......準備段階でやることがすごく多かったです。

みんな気軽に「クラウドファンディングでお金集めなよ」っていうけど、生半可な気持ちじゃできないことがわかりました。ご支援者の方も、本来なら私の企画に支援してくれたお金で、ちょっといいディナーが食べられたりしたわけじゃないですか。ふわっと集まるというより、血の通ったお金だと実感しました。同じお金でも、重みがすごい。

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制作資金は、スポンサーや政府から助成金をいただくこともあるんですけど、今回クラウドファンディングという手段にしたのは、燃える予感もあったからなんです。

──燃える予感......‬?

市原:祭礼という宗教的なものとお金を掛け合わせるのは、ちょっとリスキーかなとも思っていて。いろんな伝統的な格式や権利関係がある中に、仮想通貨という法的にもまだ整備中で自分の予測できない動きがあるかもしれないものを使うとなると、公的な助成金とかをあまり使わない方がいいと思って......(笑)。大きな組織から出資してもらうと、万が一炎上したときにそちらに迷惑がかかるので。

クラウドファンディングだったら、「やりたい!」と個人が声をあげた企画に対して多くの方から投げられたお金なので、その先は企画者の自己責任ですからリスクをとりやすい。もちろん、リスク対策でいうと自腹でやるのが一番いいんですけど。

──なるほど、リスクヘッジなんですね。

市原:はい。でも、いろんな人がお金やモノを持ち寄って開かれるものが祭りなので、クラウドファンディグという制度自身が祭りっぽいなと思いました。

声を上げたことで、おもしろいヒトが集まってきていて。日本語に特化した人工知能を開発している「株式会社わたしは」さんに協力いただけることになり、人の声を合成するAIや、自動で音楽を生成するAIを活用し、奇祭ウォレットに着金したら願いごとをその人の声で読み上げて、オリジナルソングとともに昇華できたりしたら楽しいんじゃないかと、妄想が膨らんでいます。

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着金すると豪華なエフェクトがかかる神輿


──奇祭ウォレット(笑)。資金が潤沢に集まったら、何をしたいですか?

市原:神輿をめちゃくちゃ豪華にしたいです。仮想通貨が着金したときの演出を超ド派手にしたいなー。神輿ってお金をかけようと思えば、際限なくかけられるものなので、どこかしらで折り合いをつけないといけないんですけど。

──自分が奉納したときの神輿、見たいですね!

市原:世界中から参加できるので、ストリームで配信する予定です。翻訳を何カ国語つけられるかも、クラウドファンディングの成果にかかってますね。

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「アイデアを思いついてしまったら、どんなに苦しくても生み出すしかない」と語る市原さん。プロジェクトや作品について話す彼女は生き生きしていた。
8月9日まで開催中のクラウドファンディングの結果次第で、開催の可否が決定するという奇祭。気になってしまった方は、"投げ銭"に参加してみては?
ド派手な神輿が現れることを、つい期待してしまう。

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プロフィール
市原えつこ
メディアアーティスト、妄想インベンダー。1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。2016年にYahoo! JAPANを退社し独立後、フリーランスとして活動している。主な作品に喘ぐ大根「セクハラ・インタフェース」「デジタルシャーマンプロジェクト」(文化庁メディア芸術祭優秀賞、アルスエレクトロニカ栄誉賞)など。

現在、キャッシュレス時代の新しい奇祭「仮想通貨奉納祭」実現に向けて、クラウドフェンディングを実地している。
https://readyfor.jp/projects/kisai

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