「夫婦のトリセツ」黒川伊保子氏に聞く!夫婦げんかが減る”仲良し対話の極意3カ条”

コロナ禍でリモートワークが定着し、「夫が常に家にいて煩わしい」「夫婦の時間が増えすぎて、けんかばかりするようになった」「妻とどんな会話をすればいいのか分からない」など、夫婦間の悩みを抱える人も多いのでは?

torisetsu_20230304_01.jpgPIXTA

そこで「テレ東プラス」は、"夫婦の病"を根治する究極の一冊「夫婦のトリセツ決定版」(講談社)の著者・人工知能研究者で脳科学コメンテイターの黒川伊保子氏を取材。
そもそも夫婦間で話が通じないのはなぜなのか...。妻のおしゃべり、夫の沈黙にはそれぞれ深い理由があった! 相手にイラつく前に、その理由を知れば、2人の関係も大きく変わる。夫婦関係に思い悩むあなたに、今すぐ実践できる"対話の極意3カ条"を伝授する。

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裏読み禁止! 夫の言葉には意外と"裏"がない


――「夫婦のトリセツ」を読み、夫婦間の諍いの何もかもが腑に落ちたような気がします。先生の著書にある「夫が発する言葉のほとんどに悪意はない」、「対話方式には2種類あり、男性は家族間でも問題解決型、女性は共感型で会話するため、互いの特性が理解しづらい」など、頭に片隅に置いておくだけで、ここ数日、夫のことを少し理解できるようになった気も(笑)。
まずは先生が、"トリセツシリーズ(「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」ほか)"をご執筆された背景からお聞かせください。


「人工知能の対話システムを設計する中で、男女で"とっさに使う脳神経回路"の初期設定に大きな違いがあることをつきとめたことがきっかけです。とっさに使う脳の回路には"問題解決型"と""共感型"の2種類あり、どちらが優位に働くかで脳のタイプは2つに分かれます。そして脳のタイプによって、コミュニケーションの取り方が大きく違ってくるのです。
女性の場合は"ことのいきさつ"を優先する共感型が多く、男性は圧倒的に"やるべきことを話す"問題解決型が多い。もちろん逆の場合も存在しますが、こと夫婦間に関して"話が通じない正体"はここにあります。
共感型は"ことのいきさつや気持ちを話す"、一方の問題解決型は"結論を言う。やるべきことを話す"ため、システム工学の専門家から言うと、プロトコルが開通してないために通信できていない状態。これでは夫婦の話が通じるわけがなく、すれ違いトークになってしまうのは当然と言えますよね。
人工知能の対話システム以前の問題で、まずは"生身の人間にこれを伝えるべきなのでは?"という使命感から、私の"トリセツ"シリーズが始まりました」

――先生がおっしゃるとおり、夫婦間のトークを"共感型と問題解決型"に落とし込むと、全てに合点がいき、腑に落ちるのがすごいなと。

「"今、うちの夫は問題解決型にスイッチングしちゃったからしかたがない"と諦めることもできますし、"今の私、ちょっと共感型すぎたかな?"という自己分析もできるので、脳内の会話の機能を、この2つのブロックに分けて考えるのはかなり有効だと思います」

――妻がよく頭にきてしまう、夫の「おかずはこれだけ?」という一言は、実は「残りのご飯、このおかずで全部食べ切っちゃっていいんだよね?」という単純なスペック確認であり、その裏には何の意味もなく、嫌みで言っているわけではないというのも印象的でした。夫への理解が一歩進んだというか...。

夫の言葉には意外と裏がないんですよ。例えば、こういうわかりやすい例がありました。私がお仕事をしている番組のディレクターさんが、ご主人に『粗大ゴミを3つ出してほしい』とお願いした際、ご主人は1つ出した後『これ、全部運ぶの?』と聞いてきたそうなんです。その瞬間、ディレクターさんは"当たり前でしょう? 私は今、夕食用の天ぷらを揚げてるんだから"とカチンときたそうなのですが、ちょうど番組で『夫が発した何気ない一言の裏を読むのはやめましょう』とお話しした翌日の出来事だったので、彼女はグッと堪えて『そうよ』と普通に返したそうです。
するとご主人は、素直に残り2つの粗大ゴミを運んでくれたので、少し時間が経ってから『あなた、あの言葉って"君も一つ運べる?"という意味だったの?』と聞いたら、ご主人は『そんなわけないよ。僕はあと1回行けばいいのか、2回行けばいいのか聞きたかっただけ』と答えたらしく、彼女は非常にビックリしたと(笑)。
つまり、夫の言葉には何の悪意もなく文句を言ってるわけでもない。妻が勝手にカチンときて腹を立ててしまっているだけなんですよね。もちろん、そこに悪意がある夫も一定数存在はしますが、単純にスペックを確認しているだけで、言葉の裏には悪気がないということが山ほどあるんですよ。そこを妻側が理解してあげると、余計な苛立ちも感じずに済みます」

――なるほど。もう1つ面白かったのが、「夫のいらぬ一言はアドバイスのつもり」という視点です。

「これもいろいろありますよね。妻側は共感してほしくて愚痴を言いますが、夫から返ってくるのは『そんなに愚痴を言うんだったら、なんでPTAなんか引き受けたりしたんだ』『そんなにつまらない飲み会なら、やめておけばよかったのに』という言葉。でもこれも、妻に興味があって大事だからこそ出てくるアドバイスなんですよ。そこに愛があるから、嫌なことから守りたいからこそ出てくる言葉。
これが例えば会社の同僚や部下の愚痴であれば、夫はきっと『そうなんだ、大変だな~』と言えるはずです。妻に『こうするべきだよ』というのは、つまり愛!」

――たしかにそう思えると、妻も優しくなれそうな...(笑)。

「ただ、大方の女性はえこひいきという形で愛を感じる生き物なので、『PTAで揉めて大変だったのよ』と言ったら『いや、それは君の方が正しいのにな』と言ってもらえることを愛だと思いこんでいるんですよね。『そんなところに行った君が悪い』と否定されると、『私がこんなに大変な目に遭ってるのに否定するなんて、愛がないのね』となってしまう。夫婦それぞれ脳内で起きていることが違うので、こういうすれ違いトークが連発してしまうのです。お互いの脳を知るのは、つくづく大事なことだと感じます」

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