2月23日 #46 「七畳の文庫」
「ろうそく ぱっ もう一つ ぱっ これから始まるおはなし会♪ 」
世田谷区の住宅街に建つ一軒の家から、お話の世界に入るためのおまじないの歌が聴こえてくる。ここは「山の木文庫」。富本京子さん(68歳)が自宅の庭先に建てた七畳のプレハブがそうだ。毎週金曜日、20人ほどの子供たちがお話を聞きに集まる。
富本さんは、「子供たちに本の楽しさを知って欲しい」との思いから文庫の開設を思い立つ。更に、子でも連れで図書館に行くにも、駅が遠く不便だったことから、近所のお母さん4人と協力し、富本さん宅の蔵書をもとに開いたのだ。今ではおよそ4500冊の児童書が並ぶ。
「私が子供の頃来て楽しかったので、自分の子供も連れてくるようになりました。」とは、新書の購入や貸し出し、本の整理などを手伝う地域の人たち。子どもと一緒に来た母親達も世話人として協力するようになり、今では母親同士の交流の場となり、子供たちも友達がたくさんできていった。
山の木文庫の目玉は、おはなし会。子供達に毎回3冊の本を読んで聞かせている。「わくわくしたり、ドキドキしたりするところが面白い」「おばけばなしはだーいすき!」とお話に夢中の子供たち。
又、小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんが、幼稚園の子供たちに物語を読んで聞かせる姿も見られる。「最初は、アメとか最後にもらえるお菓子が目当てだったけど、今は本当にお話しが好きでいつも来ています。」と常連のお兄ちゃんは言う。
「物語を楽しむ気持ちができると、本の楽しみ方を覚え、自然と本を読むようになる。文庫をやってきて、実際にその子達を目にして感じたことです」と富永さん。
本との出会いはいろんなところにあるようだ。