1月15日 #503 「12の物語」
東京都荒川区にあるホールムーブ町屋で、「パフォーマンスキッズ・トーキョー」の発表会が行なわれた。「パフォーマンスキッズ・トーキョー」とは、東京都が進める『東京文化発信プロジェクト』の一環として実施されているプログラムのひとつ。ダンスや演劇、音楽等の分野で活躍するプロのアーティストが、都内の小中学校や文化施設などを訪れ、子どもたちを対象としたワークショップを10日間程度行い、子どもたちを主役としたオリジナルの舞台作品を作り上げていく。
NPO法人「芸術家と子どもたち」代表・堤康彦さんは、「子どもたちってすごい可能性を持っていると思うんです。その可能性をどうやって引き出していくか。それはやはり大人たちが、その場を、環境を作ってあげれば、彼らはどんどんどんどんいいところを出してくれると思う」と語る。
ムーブ町屋で行なわれたワークショップには、小学3年生から6年生までの児童17名が参加した。指導するのは、演出家の柳澤明子さん(劇団 トリのマーク<通称>)。ワークショップ4日目、柳澤さんから、発表会で披露する劇のあらすじが発表された。それは、『子どもたちが公園で遊んでいると星の人たちがやってきて、子どもたちは遠い星の劇場に連れて行かれる。星の人たちは“12個のお話を見せろ。見せてやったら家に帰してやる”と言い、連れ去られた子どもたちが地球へ帰るために、星の人たちに12の物語を見せる』というもの。
タイトルは『12』。12の劇であることと、「自由に」との思いが込められている。
物語には台本がない。子どもたちで相談し、考え、創りあげていく。ではなぜ台本がないのか。柳澤さんはこう語る。「字から出発したくないんですね。字じゃなくて、身体とかあるいはその設定とか。子どもたちは普段もっているセンス、感覚がどんどん表に出てきて、自分なりのユニークさとか、自分なりの表現を出してくれるわけです。それをどんどんどんどん出していって、ひとつの小さな作品を作っていくというのが目標です」と。
子どもたちは、釘になって止まったり、バネになって飛び跳ねたり、ダイヤモンドになって音を出しながら走ったり、12の物語を皆で考え、創りあげていく。
「自由に考えると、自分の発想がどんどんどんどんどんどんどんどん膨らんでいって」「面白いところもあって、けっこう楽しい」と、ワークショップを楽しむ子どもたち。更に、「馴れていけば友達になっていくし、心も繋がるから」と、ワークショップで知り合った子ども同士、絆を深めていく。
物語だけではなく、衣裳もみんなで考えて作った。12のという数字をアップリケするなど、劇への想いを込めて作った。
そして、いよいよ発表会。「緊張しているけど、舞台の上でやったら、ばっ!て緊張吹っ飛んでいくかも」と本番を楽しむ子どもたち。『くろぐろ』『星でパンをこしらえた話』『じろじろ』『夜の音』など、次々と紡がれていく12の物語。
舞台を終えた子どもたちからは、「人に頼まないで、自分で全部作ったりするのが面白い」「みんなと協力してひとつのことに取り組むと、みんなが楽しいし、私も楽しい」「最初はお題を出されて何をするんだろうって悩んでいたけれど、最後になって全部が繋がって、ひとつの舞台ができていくのは面白いと思った」などの感想が聞かれた。
作るって面白い。表現するって楽しい。