【香港国際競走 みどころ】ラヴズオンリーユー、ピクシーナイトら参戦!完全制覇も夢ではない、12頭のサムライたち

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2021.12.12


左上からグローリーヴェイズ、ピクシーナイト、ダノンキングリー、ラヴズオンリーユー Photo by Lo Chun Kit /Getty Images

 今年も香港国際競走の季節が到来。一時は開催中止かと思われたが、今年も4レース合わせて12頭のサムライたちがレースの望むことになった。

 26年前にフジヤマケンザンが香港Cを制して以来、日本馬たちの活躍が目覚ましいレースとして知られ、4レース合わせてこれまでに挙げた勝利数は17。しかも7勝はここ5年以内に挙げたものばかり。

つまり、大挙してエントリーしながら決して手ぶらで帰ることがないのが日本馬たちの特徴。2019年にはヴァーズ、マイル、カップと3つのGIを同一年に制覇。18年ぶりの快挙に大きな話題になったのは言うまでもない。

 今年の遠征馬たちを見ると、2年前の3勝どころか、史上初となる完全制覇も夢ではないような豪華なメンバーが揃ったように思える。

第28回 香港ヴァーズ(G1)発走時刻:12月12日(日)15時00分


グローリーヴェイズ Photo by Lo Chun Kit /Getty Images

まずは日本時間12日の15時00分に行われる香港ヴァーズ。エントリーこそ8頭という少頭数だが、地元香港勢に日本、イギリス、アイルランド、フランスと4ヵ国の馬が参戦しもっとも国際色の強い一戦に。その中でも主役を張りそうなのが、我らが日本のグローリーヴェイズである。

2年前のこのレースを制してGIホースの仲間入りを果たしたが、国内では相変わらずのムラっぽさがアダに。しかし、香港へ来ると馬が変わったかのように変身し、今年の春もクイーンエリザベスII世Cで2着に激走。

距離が足りなかったにもかかわらずこれだけ走れるのだから、シャティンの馬場が合っているという他ない。鞍上には香港きっての名手ジョアン・モレイラを再び迎えるだけに盤石の態勢だ。

手ごわそうなライバルはイギリスからやってきたパイルドライヴァーか。

3歳時よりセントレジャーで3着に食い込むなどステイヤーとしての片りんを見せていた同馬だったが、今年に入って本格化。コロネーションCでGIホースの仲間入りを果たすと、このレース前に挑んだチャーチルSでも楽勝。シャティンの馬場にマッチするようなら侮れない存在と言えるだろう。

また、日本馬ではステイフーリッシュもエントリー。

3年前の京都新聞杯以来勝ち星から遠ざかっているところがかつての父ステイゴールドを彷彿とさせるが、そのステイゴールドが突き抜けたのがこのレースでもある。果たして20年ぶりに血統のドラマが見られるかひそかに注目しておきたい。


第23回香港スプリント(G1)発走時刻:12月12日(日)15時40分


ピクシーナイト Photo by Lo Chun Kit /Getty Image

 続いて行われるのが、日本時間12日15時40分発走予定の香港スプリント。

かつては地元香港馬たちの独壇場となるレースで、日本馬にとっては鬼門とされていたが、2012年、13年にこのレースを連覇したロードカナロアが現れて以降は日本馬にも好走するシーンが増え、昨年はロードカナロアの息子、ダノンスマッシュがこのレースで史上初めての親子制覇を果たした。

 今年もダノンスマッシュは連覇をかけてエントリーしてきたが、今年に入って2戦とも6着とかつての勢いを失い気味。かといって外国馬も例年になく小粒ならばば、ダノンスマッシュと同じ日本勢でもピクシーナイト、レシステンシアのスプリンターズS1、2着馬に注目したい。

 3歳ながら日本競馬の短距離界を牽引する存在になったピクシーナイト。

530キロを超える馬体を揺らしながら走る姿は圧巻で、スプリンターとしては世界でもトップクラスの実力を秘めている。鞍上の福永祐一が手放しでほめちぎる逸材だけに、どんなレースを見せるか楽しみ。ちなみに父はシャティンで3戦3勝のモーリスだけに馬場適性にも期待が持てる。

 もう一頭の有力馬レシステンシアはと言うと、春の高松宮記念、秋のスプリンターズSともに2着とあと一歩のところまでは来ている。持ち味の先行力を生かしてどこまで粘りこめるかがカギになる。

第31回香港マイル(G1)発走時刻:12月12日(日)16時50分


ダノンキングリー Photo by Lo Chun Kit /Getty Images

 国際GIレース3戦目となるのは日本時間12日16時50分に行われる香港マイル。

出走頭数11頭中、日本馬のエントリーは4頭と大挙して臨むが、このレースでは日本馬は引き立て役に回される可能性が高いだろう。

その理由はズバリ、香港史上最強のマイラーと称される昨年の香港年度代表馬、ゴールデンシックスティがエントリーしているからだ。

ここまで怒涛の15連勝を飾り、通算成績は19戦18勝。さらにはシャティンのマイル戦では7戦全勝という堂々のパフォーマンスを示しているゴールデンシックスティ。

前哨戦として選んだ香港ジョッキークラブマイルでは超スローペースにハマり差し損ねるかと思われたが、道中最後方から猛然と追い込んで差し切り勝ちを収めるという圧巻のパフォーマンスを見せたばかり。それゆえに地元では「負ける姿が想像できない」というのがもっぱらの評である。

しかし、前走のレース内容を見るとスローペースに落ちた時に前に行く馬を指し損ねる危険性が若干ながらあることがわかる。

その隙を突けるとすれば、今年の安田記念で早めに動いてグランアレグリアを完封したダノンキングリー、中団早めから仕掛けられるインディチャンプ、先行抜け出しが勝ちパターンのサリオスの日本馬たちだろう。そしてドバイターフで2着に食い込むなど、海外遠征では無類の強さを見せるヴァンドギャルドも侮れない。

いずれにしてもレースの流れ、ゴールデンシックスティの位置取りがレースのカギを握るのは間違いない。


第35回香港カップ(G1)発走時刻:12月12日(日)17時30分


ラヴズオンリーユー Photo by Lo Chun Kit /Getty Images

 ラストを飾るのが日本時間12日17時00分より発走の香港カップ。

香港国際競走の大トリを飾る一戦だけに各国から有力馬が集まった感が強いが、ここは日本馬ラヴズオンリーユーのラストランとして、競馬ファンの記憶に残るに違いない。それくらいに彼女の力が1枚も2枚も抜けている。

 3歳時に無敗でオークスを制した才女はその後しばらく勝ち星から遠ざかったものの、5歳緒戦となった京都記念で6戦ぶりに勝利を飾ると、その拠点を海外へ向けた。

緒戦となったドバイシーマクラシックではミシュリフらとの熾烈な叩き合いの末に僅差の3着と健闘し、その勢いで臨んだクイーンエリザベスII世Cは中団から突き抜け、外から迫るグローリーヴェイズも内で粘るデアリングタクトも押さえて込んで勝利した。

秋にはアメリカへ遠征し、ブリーダーズカップフィリーズ&メアターフを楽勝。

3歳時と比べ、一回りも二回りもたくましく成長した彼女がラストランの舞台に選んだのは春と同じシャティンの2000m。充実期を迎えた彼女だからこそ、ラストランでベストパフォーマンスを見せてくれるに違いない。

 そんなラヴズオンリーユーの独り舞台を阻むとすれば、引き立て役に回された日本馬2頭か。

レイパパレは現在3連敗中と元気がないが、すべて2200mのレースでのもの。本来の得意条件である2000mであれば持ち味の粘りある走りが見られるはず。

また、ヒシイグアスは2000mなら4戦3勝。前走の天皇賞(秋)は8ヵ月ぶりの休養明けで大外枠からのスタートと不利な要素がてんこ盛りだったが、それでも5着に健闘。

一度叩いたことで調子が上向いている状況で地元のエース騎手、ジョアン・モレイラが手綱を握るのは不気味だろう。

 最後に海外馬ではこの秋の成長具合が素晴らしい3歳馬、ドバイオナーを挙げたい。硬い馬場への適性が未知数だが、ハマるようなら一発があってもいい。

 果たして12頭のサムライたちは2001年、2019年をも上回る香港国際競走完全制覇の偉業を果たすのだろうか......。


■文/福嶌弘