平野歩夢 金メダル「この4年間は今までで一番苦しかった。またここから新たな道がゼロからスタートする」【五輪スノーボード】
2022.2.14
金メダルを獲得した平野歩夢 Photo by Maja Hitij/Getty Image
<北京オリンピック スノーボード 男子ハーフパイプ決勝 2022年2月11日 @雲頂スノーパーク>
スノーボード 男子ハーフパイプで、スノーボードでは日本史上初の金メダルを獲得した平野歩夢(23)が12日にメダル獲得記者会見を行った。
北京五輪 第8日の11日、スノーボード 男子ハーフパイプ決勝が行われ、平昌五輪銀メダルの平野歩夢(23)が1440を3度飛ぶ史上最高難易度の構成を成功させて96.00をマークし大逆転で1位となり悲願の金メダルを獲得。スノーボードでは日本史上初の金メダル獲得の大偉業を成し遂げた。
平野は縦3回転・横4回転の超大技『トリプルコーク1440』を五輪で史上初めて成功させた。
■メダル獲得記者会見
ー今の気持ちは
家族やサポートしてくれている周りの人達、応援してくれている人達のお陰でこの場に立てたと思っています。自分の滑りを出し切って期待に応えられたと思っていて、皆さんに感謝しています。
ー高さへのこだわりについて
僕は昔から高さには拘っていて、今はスピンの技術が高まっていっているからこそ高さが出しづらかったり全部を同じ高さでバランス良く揃えづらかったりするんですが、そこを失わないように小さい頃からスケートボードもやっていて、バーチカル(スケートボードで大型のハーフパイプでエアー等のスキルを競い合う競技)でのトレーニングだったりスケートボードでの踏み込みだったり研究してやってきたものが、スノーボードに活きているのかなと思います。
自分の高さを出せる秘訣にもなっていますが、スケートボードとスノーボードを合わせて自分の武器だと思います。
ー弟の海祝選手のエアーターンについて
あれはあれで海祝のスタイルだなと思っていて、海祝は僕に「一発目だけは誰よりも跳びたい」とどの大会でも言っています。
僕にはまた違う拘りがあって、他の人がフルの滑りをしてもそれを上回る圧倒的な滑り。失敗する可能性があってもそれに賭けています。
海祝はパフォーマンスが上手でここ最近調子が上がってきているので、あの高さとスピンの技術が合わされば彼はもっと伸びていくと思いますし、ここで満足しないで彼らしい滑りで更なる高みを目指していってくれたらなと思っています。
あのエアーターンにはいつも自分も高められているというかモチベーションもぐっと上がるので、お互いに良い高め合いができていると感じています。
ー大学時代に自分の滑りを研究していたことが金メダルにどう繋がったか
僕は技よりも技を跳ぶまでの過程を一番大事にしてきました。そこは今でもまだまだ磨き足りない部分だと思っています。技だけの為の練習は今までして来なかったくらい、技にいくまでの内容で技の全ての状況が決まると思います。
そういう全体を見た話をお父さんと小さい頃から今もずっとしているんですが、大学生時代はそこにフォーカスを当て研究して卒業論文を書きました。
ーこの4年間の挑戦を振り返って
この4年間は今までとまた違った4年間でした。常に限界にぶつかってそこにどう向き合うかの4年間で、自分しかやっていないことにチャレンジしたいという拘りがありました。
一日一日が自分に迫ってきている感覚で、時間や不安との戦いなど色々なことがあったからこそ今があると思います。
中々思い通りにいかない日々が続いていたので今までで一番苦しくて、自分にとっては大き過ぎるチャレンジだったのかなと思っていたんですが、今振り返ってみるとそこで一つも諦めず自分に負けないで、そういう日々を乗り越える内に精神的に強化されたのかなと思います。
4年前に比べると気持ちも考え方もガラッと変わりました。今回は自分が小さい時に夢を追っていた頃に戻ったような気持ちでこのスノーボードの舞台に(東京五輪から)半年で戻ってきて、改めてチャレンジャーの立場で挑みました。
そういう時間があってこの半年間で金メダルを獲得できたので、そこはチャレンジ成功なのかなと思います。
メダルセレモニーでの平野歩夢 Photo by Maja Hitij/Getty Images
ーこれ以上の挑戦はあるのか、考えているのか
いっぱいあるんじゃないかと思います。スノーボード、スケートボードだけじゃなくてそれ以外でも何でも良いと思うので、広く整理してやっていないことをやってみることから始めていけたら良いと思うし、大きく変えずにスノーボードとずっと向き合っても良いと思います。
どうしようかゆっくり考えてまた突き進んでいきたいなと思っています。
ー決勝2回目の演技の得点が伸びなかった要因について、今のジャッジシステムについて感じていることは
僕が思っているように周りの人も同じように思ってくれていたり、僕以上に思って怒っている人もいたりという状況もありました。
僕だけじゃなく今後のスノーボードのジャッジ全体を含めた基準として、今回はどこを見ていたのかという説明を改めて聞くべきだと思います。競技をやっている人達は命を張ってリスクを背負って演技しているので、そこは選手の為を思って整理するべきで、スルーしない方がいいんじゃないかと思います。
スノーボードは幅が広くて、色々なスタイルがあってこその魅力や自由さも一つのかっこ良さとしてあるんですが、それはそれとして切り分けるべきだと思います。
人に与える感動は競技でしか生まれない部分もあると思うので、競技の部分では高さやグラブを測ることのできるようなシステムを整えていくべきだと思いますし、ジャッジも選手が抱えている最大のリスクに対してもっとしっかりと評価するべきなのかなと思います。大会と大会じゃないものは切り分けた上で、今後スノーボードも他の競技のように全部を測ることができる新たなシステムを作っていくべき時代になってきている気がしています。
ー平野選手にとってここはゴールか、通過点か
これから始まりというか、ここからまた何か自分の新たな道がゼロからスタートするのかなと。気持ちは切り替えやすいと思います。
まだまだ年齢的にも可能性があるし、まだやりたいと色々なことに対して思うので、何か大きな大会が終わって一つのピークが過ぎた後でも常にリセットしていきたいという気持ちは持っています。
ー今後スノーボード界がどう盛り上がっていってほしいか
オリンピックは影響力が大きいと思うのでこれを見てスノーボードをやりたいと思ったり、このオリンピックを通して夢や希望を持ってもらえたりと何かのきっかけになればいいなと思います。
スノーボードは他の競技に比べるとまだまだ小さいジャンルだと思うので、東京オリンピックのスケートボードで日本人が活躍してスケボー人口が増えているように、スノーボード人口もこれからどんどん増えて「横乗り業界」を良いと思ってくれる人が一人でも増えるように何かを与えられたらなと思います。
ーショーン・ホワイト選手(米国)の現役最後の演技について
彼はレジェンドだと思います。スタイルの強さよりも人間としての強さを誰よりも持っているんじゃないかと思います。
結果がどうこうよりもその場に立っている強さは中々真似できないことだと思いますし、彼はまだまだこれから色々なことにチャレンジしていくと思います。この舞台に一緒に立つことができて光栄でした。
ーコロナ禍での今大会について
今回の大会は自分にとって特別な大会になったと思いますし、時間の大切さを改めて感じられるような経験も多くありました。
色々な不安やまだ知らない自分とも向き合いながらやってきました。コロナの状況も大変な中で中々自分のビジョンが見えづらかったんですが、見えない中でも現状を受け入れながらやりくりして突き詰めていった先にどんどん見えてきたものが今の状態を生んでくれたんだと思います。
みんなは4年前からスタートしていると思うんですが、僕はようやく半年前からスタートしました。こういう難しい状況でのオリンピックは中々ないと思いますし、本当は2年くらい時間はあったんですが上手くいかない中でのメダル獲得は一生の思い出になると思います。
自分もこの経験のお陰でより成長できたと感じています。