サッカー日本代表「チームとして徹底しようというものがほしい。熱量を感じられず、物足りなさを感じた」選手の問題提議
2024.2.29
アジア杯 ベスト8敗退の日本 Photo by Etsuo Hara/Getty Images
サッカー日本代表のアジア王座奪回はならなかった。
カタールで行われた2月3日のアジアカップ準々決勝で日本代表はイラン代表に1-2の逆転負けを喫して8強で敗退した。
優勝候補筆頭に挙げられていた日本だったが、アジアの舞台で本領発揮もないままの終戦となった。何が欠けていたのか?
FIFAランク17位の日本に対してイランは21位。これまでも常にアジア上位を維持し、2019年大会の準決勝では日本が勝利したが、両者の過去の対戦成績は6勝5分け6敗で、日本は常に難しい試合を強いられてきた。
今回、その相手の仕掛けた反撃に対応できずに敗れた。
選手の問題提議
日本は昨年9月にドイツとのアウェイ戦で勝利するなど、今回のアジアカップ直前までに10連勝をマークし、FIFAランクも17位まで上昇。1月12日にカタールで開幕した今大会には優勝候補筆頭として臨んだ。
だが、序盤から躓き、初戦でベトナムに一時逆転を許して4-2と辛勝し、続くイラクには1-2の黒星で1勝1敗のスロースタート。
グループステージ3戦目のインドネシア戦で立て直して3-1で勝って決勝トーナメントへ進み、ラウンド16のバーレーン戦に3-1で勝利して8強へ進出した。だがそこでイランの猛攻に圧倒されて1-2で敗れた。
日本は今大会の5試合すべてで失点を喫し、「一試合もベストなゲーム、僕たちがやりたいようなゲームはできなかった」とDF冨安健洋選手(アーセナル)は述べ、序盤の苦戦については「1、2試合目は間違いなくアジアのチームへの油断もあったと思う」と振り返り、強い個性や強いリーダーシップの不在を指摘した。
「悪い時に(状況を)変えようとする選手が何人いるのか。難しい展開の時に何かを変えようとする選手がいたり、『いまは耐えるぞ』と声をかけるとか。そういう選手がもっともっといないと勝てないと思う。正直、熱量を感じられず、物足りなさを感じた。僕を含めて足りない」と訴えた。
MF三笘薫選手(ブライトン)も、「一つ一つの球際のプレーには勝ちたい気持ちが出る。そこで負けていたことは受け止めないといけない」と話した。
一方、MF守田英正選手(スポルティング)は日本の良さを出せずに敗れたイラク戦からの修正に触れて、「本当の意味でチームとして修正できたかというとそうじゃないのは、この試合を見て分かる」と指摘。
ボランチとしてもっと試合を落ち着かせたかったと反省を口にして、苦しい状況で「チームとしてこういうことを徹底しようというものがほしい」と言った。
MF遠藤航選手(リバプール)は日本の弱みを突かれて敗れたことに、「こういうラフに蹴るような相手への対応は(最終ラインは)4枚がいいのか5枚がいいのか。チームとしてこれからしっかり反省して、何がベストなのかを探っていかないといけない」と話した。
また日本代表キャプテンは、「アジアの戦いとW杯の戦いは違うと今回改めて感じた」と言った。
イラン、イラクも高さとパワーを駆使し、競り負けない闘争心を前面に出してきた。
特にイランは巧みなスキルや突破力に加え、狙い通りに試合を遂行する力とプレー精度は秀逸だった。
この2か国以外にも、準決勝に進出したヨルダンは卓越した個人技で展開する鋭いカウンター攻撃は圧巻。2-0で韓国を下して初の決勝進出を決めた。
日本代表の森保一監督は今大会でアジア各国が見せた変化に言及。
「対戦相手の我々に対する警戒が非常に強く、対策がこれまでよりも厳しくなったと感じている。相手の圧力のある攻撃に我慢する、弾き返す、自分たちの流れにもっていけるように力をつけなければいけない」と語った。
選手が指摘した「熱量」についても、指揮官は「もっと選手の熱量を上げられる働きかけを、選手だけにやらせるのではなく、私自身も環境づくり、働きかけを変えることを考えていかなければいけない」と話した。
折しも、2月4日にFIFA(国際サッカー連盟)がアメリカ、カナダ、メキシコで開催する2026年W杯北中米大会の日程を発表。6月11日にメキシコで開幕し7月19日にアメリカのニュージャージー州での決勝で幕を閉じることが決まった。
W杯では26年大会から出場枠が従来の32から48に拡大。各地区の出場枠も増えてアジアは8.5枠になった。
とはいえ、今回のアジアカップではベスト4のうち3枠を占めた中東然をはじめ、16強入りしたタイや日本やイラクと善戦したベトナムなど東南アジア勢の台頭も目立つ。
なにより、今大会の日本のイラン、イラクとの対戦を見た各国は、この2試合を参考に同様の戦いを挑んでくることは明白だ。
日本の次のW杯アジア2次予選は3月に再開し、北朝鮮とのホーム(21日)&アウェイ(26日)の2連戦が控えている。今大会で露呈した弱点と課題の修正は、待ったなしだ。
取材・文:木ノ原句望