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東京五輪 卓球男子団体の丹羽・水谷ペア 世界でも珍しい『左左ダブルス』の現在地

2021.06.24
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2021.06.24

丹羽孝希・水谷隼 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

東京オリンピックが7月23日に開幕する。8月8日の閉幕までのうち、卓球競技は開幕翌日の24日から8月6日まで、唯一、7月31日を除く計13日間の長丁場で行われる。

前半の個人戦(男女シングルスおよびミックスダブルス)開始まで今日でちょうど1カ月。個人戦は7月30日まで、男女団体戦は8月1日に始まる。

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■東京五輪 メダル決定戦の日程

7月26日 ミックスダブルス 3位決定戦 決勝
7月29日 女子シングルス 3位決定戦 決勝
7月30日 男子シングルス 3位決定戦 決勝
8月5日 女子団体 3位決定戦 決勝
8月6日 男子団体 3位決定戦 決勝

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2016年 リオ五輪 卓球男子団体決勝 丹羽孝希、水谷隼、吉村真晴 写真:YUTAKA/アフロスポーツ


■リオ五輪団体で感じた中国のプレッシャー

 東京オリンピックの卓球男子団体メンバーは張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)、水谷隼(木下グループ)の3人。1試合目のダブルスには丹羽/水谷ペアの起用が濃厚といわれている。丹羽/水谷ペアといえば、非常に珍しい左利き同士のペアとして注目されている。

 団体戦の先陣を切るダブルスはチームの雰囲気と試合の流れを左右する重要な鍵を握る。男子代表チームを指揮する倉嶋洋介監督も、順調に勝ち上がり中国との大一番に臨むことになったとき、「まず1点(1試合)取らないと中国に穴を開けることはできない」と断言し、前回、日本男子初の団体銀メダルを獲得したリオ2016オリンピックを引き合いに出してこう語る。

「リオのとき(2試合目で)水谷が勝ってからの中国のプレッシャーのかかりようが忘れられないんです。ダブルスも勝ちかけていましたし、あそこで(ダブルスが)勝っていたら、最後(の5試合目)、腰を痛めていた張継科に水谷が勝って、僕らが金メダルを取ったかもしれない。それぐらいまで中国を追い込めたんです。だから今回の東京オリンピックでも先にどう1点を取るかです」

 2016年当時は第1、2試合にシングルス、第3試合にダブルス、第4、5試合にシングルスを行い、計5試合のうち先に3試合を取ったチームが勝利するルールだった。

中国との決勝に臨んだ水谷、丹羽、吉村真晴(愛知ダイハツ)の3人は、第1試合の丹羽が相手チームのエースだった馬龍にストレート負け。第2試合の水谷は個人戦(男子シングルス)銅メダルの勢いを駆って許キンと競り合い、ゲームオールで勝利した。

続く第3試合の丹羽/吉村真ペアのダブルスも、張継科/許キンペアから1ゲーム目を奪う先制パンチを浴びせたが、そこから3ゲームを連取され逆転負け。さらに第4試合の吉村真も馬龍にストレート負けを喫し、第5試合に控えていた絶好調の水谷にバトンを回すことはできなかった。

左利き同士の難しさを利点に変えられるか

 東京オリンピックでは団体戦のルールが変更され、第1試合にダブルス、第2~5試合にシングルスを行い、先に3試合を取ったチームが勝利する形式となった。倉嶋監督としては基本的にエースの張本をシングルス2試合に起用する2点使いを考えており、丹羽/水谷の"左左ペア"をダブルスの軸に置く考えだ。

 だが、丹羽/水谷ペアは実戦に乏しい。これまで出場した公式戦は2019年6月のワールドツアー・香港オープン予選1回戦のみで、このときは卓球のダブルスで優位とされる"右左ペア"のリウェンツォフ/パイコフ(ロシア)にゲームカウント1-3で敗れている。

 試合後、丹羽が「ラリーになったときにぶつかってしまう。どっちに逃げていいか迷う」などと話していたが、確かに交互に打球するダブルスで左利き同士は動きが重なり、コンビネーションが噛み合わない印象が強かった。

とりわけフォアサイドを抜かれる失点が目立ち、右利きとのペアでは得意の前陣でカウンター攻撃に出られる丹羽が動きにくそうで、台から下がってしまう場面も多く見られた。

 過去に左利き同士のダブルスペアがいなかったわけではない。例えば日本では1982年から4年連続で全日本選手権を制した渡辺武弘/斎藤清ペアがおり、海外にはシドニー2000オリンピックで男子ダブルス銅メダルを獲得したガシアン/シーラペア(フランス)らがいた。

 しかし、相対的に左左ペアはやはり珍しく、丹羽と水谷がペアを組み始めた当初、倉嶋監督とともに渡辺、斎藤両氏にアドバイスを求めたともいう。

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卓球男子日本代表 倉嶋監督


 そんな2人のダブルスは東京オリンピックを1カ月後に控えた今、どこまで仕上がってきているのだろう? 倉嶋監督はこう話す。

「合宿の中でダブルスの練習は週2~3回はやっています。始めの頃はぶつかったり、とんでもない動きをしていたりしていたんですけど、今となってはスムーズに回って動けるようになって、いい感触を掴んでいます。水谷は伊藤美誠(スターツ)と(ミックスダブルスの)練習をやって、その後すぐに丹羽とのダブルス練習をやってもすぐに順応してくるので、さすがだなと思いますね」

「(左左のペアは相手も)やりづらいと思いますよ。ほとんど対戦したことがないですし、どういうプレーをしてくるか未知数。もちろん僕らからしてもどこまでやれるか未知数ですけど、秘密兵器的に戦おうという感じで、(相手に対して)どうやりづらさを出していくかとか、自分たちが有利に展開できる攻撃パターンを詰めたりしているところです」

 東京オリンピックに向けた大詰めの日本代表合宿は今月28日から味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で行われ、男女代表選手および監督、リザーブ選手たちはそのままオリンピック本番へ向かう。


(文=高樹ミナ)

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