
早田ひな Photo:World Table Tennis
9月25日に閉幕した国際大会「WTTスターコンテンダー ドーハ」で日本勢が5種目のうち3種目を制する大活躍を見せた。
同大会は同じ会場で28日に開幕するアジア選手権<10月5日閉幕/ドーハ>の前哨戦でもあり、アジアナンバーワン決定戦に向け日本代表が弾みをつけている。
中でも活躍が光ったのは女子シングルスとミックスダブルス優勝で二冠を達成した早田ひな(日本生命)だ。
初めてペアを組む1歳下の戸上隼輔(明治大学)と24日のミックスダブルス決勝に進み、韓国のエースペアであるチャンウジン/チョン・ジヒをゲームカウント3-1で撃破。
戸上隼輔/早田ひな Photo:World Table Tennis
さらに大会最終日の25日には、女子シングルス決勝でも香港のエース杜凱キンをゲームカウント4-1で下して優勝した。
また、女子ダブルスでも日本の長崎美柚(日本生命)/安藤みなみ(トップおとめピンポンズ名古屋)が韓国のチョン・ジヒ/ヤンハウンにストレート勝ちを収め、初ペアにして優勝を飾っている。
【動画】早田ひな二冠!みなみゆう初優勝!五輪後初の国際大会で日本は3種目V|WTTスターコンテンダードーハ<大会ハイライト>
早田といえば、国際大会ではダブルスで功績を挙げてきたイメージが強い。その最たるは伊藤美誠(スターツ)との"みまひな"ペアで、世界卓球2017ドイツの銅メダルや世界卓球2019ハンガリーの銀メダルなど女子ダブルスでの活躍は数えきれない。
早田ひな/伊藤美誠 Photo:ITTF
だが、ミックスダブルスでも早田は驚くべき成績を挙げている。
例えば張本智和(木下グループ)とのペアで出場した2019年6月のITTFワールドツアー・ジャパンオープン荻村杯。ペア結成わずか2大会目で準決勝に駒を進めた2人は、中国最強の樊振東/丁寧ペアとを相手にゲームカウント3-1で勝利。
決勝ではダブルス巧者の許キン/朱雨玲ペアにストレートで敗れたものの準優勝を飾った。
さらに、周囲をあっと言わせたのは11月のオーストリアオープン。中国の林高遠/朱雨玲ペアをゲームカウント3-1で撃破しワールドツアー初優勝を挙げたのだ。
張本智和/早田ひな Photo:Itaru Chiba
今回のWTTスターコンテンダー ドーハでも初めてペアを組む戸上と優勝した早田。「誰と組んでも強い」といわれる彼女がそれを証明する形となった。
アジア選手権でも引き続きペアを組む早田と戸上は、ともにパワーのあるダイナミックなプレーが持ち味だ。
戸上は身長170cmと男子選手の中では平均的だが、早田は167cmと女子選手では長身。当然リーチも長く守備にも定評がある。
ペアを組んで間もないためコンビネーションの構築はこれからだが、一発で打ち抜ける戸上の両ハンドドライブやチキータ、早田の多彩なサーブとコースの打ち分けからチャンスを作る展開は、WTTスターコンテンダー ドーハ決勝で対戦した韓国ペアや準決勝で破った香港のコウ鎮廷/杜凱キンら実績のあるアジアのダブルスペアを圧倒した。
早田にもチャンスボールを得点できるパワードライブがあるため、2人の攻撃が多少ミスになったとしても取り返せる攻撃的なペアリングと言えるだろう。
同世代の2人は和気あいあいとしたムードもあり、決勝のマッチポイントを得意のチキータレシーブで決めた戸上が大きくガッツポーズをして雄叫びをあげた姿を、早田が笑いながら見ている光景も微笑ましかった。
張本智和/早田ひな Photo:Itaru Chiba
その早田はシングルスでも着実に実力を上げている。
11月の世界卓球2021ヒューストン(個人戦)に向けた強化が実を結んでおり、ラリーになったとき持ち前のパワー勝負だけでなく、打球の回転やタイミングの変化で緩急をつけてポイントにつなげたり、ブロックやツッツキなどで1本しのいでから攻撃に転じるなどの得点パターンの幅が広がった。
早田ひな Photo:World Table Tennis
さらに本人が「サーブのコースや種類、そこからの3球目の組み立てなどを強化してきた」と話しているように、先手を取って主導権を握るプレーが随所に見られた他、試合数を重ねても集中力を維持できている点も成長ポイントに挙げられる。
「体への負荷を減らすため、強打の際に体の軸を意識し、どこに力を入れて打つかを考えながら練習している」と言う早田。日頃の積み重ねに手応えを感じて臨むアジア選手権での活躍にも期待が膨らむ。
(文=高樹ミナ)
早田ひな シングルス・ダブルス勝ち上がり
<女子シングルス>
■決勝
4-1 杜凱キン(香港)
11-6/11-6/11-9/7-11/11-7
■準決勝
4-3 チョン・ジヒ(韓国)
8-11/9-11/8-11/11-6/11-8/11-7/11-5
■準々決勝
3-0 安藤みなみ
11-6/11-8/15-13
■3回戦(ラウンド16)
3-0 チェ・ヒョジュ(韓国)
11-4/11-9/11-9
■2回戦(ラウンド32)
3-0 ミシェク(オーストリア)
11-8/11-2/11-5
早田ひな Photo:World Table Tennis
<ミックスダブルス>
■決勝
3-1 チャンウジン/チョン・ジヒ(韓国)
11-6/3-11/11-2/11-8
■準決勝
3-1 コウ鎮廷/杜凱キン(香港)
11-9/8-11/11-5/11-6
■準々決勝
3-1 何鈞傑/李皓晴
11-3/11-2/7-11/11-4
■1回戦(ラウンド16)
3-0 チュウ・クラレンス/ツォン・ジエン(シンガポール)
11-7/12-10/11-8
戸上隼輔/早田ひな Photo:World Table Tennis
