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全日本新王者・戸上隼輔の人気が急上昇! 攻撃的なプレーと素顔のギャップが魅力

2022.02.07
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2022.02.07

戸上隼輔 Photo:Itaru Chiba

「2022年全日本卓球選手権大会」<1月24~30日/東京体育館>で男子シングルス新チャンピオンに輝いた戸上隼輔(明治大学)の人気がうなぎのぼりだ。

大学で同期の宇田幸矢とのペアで男子ダブルスも制し2冠のニューヒーローは破壊力のある超攻撃型プレーが持ち味だが、人柄はいたってソフト。真摯なメディア対応や時折見せる"ユニーク"な一面が魅力となっている。

フォアもバックも振れる現代卓球のモデル

 フルスイングで連打するフォアハンド強打。一撃必殺の高速チキータ。台に近い前陣と台からやや下がった中陣で両ハンドを振れる戸上は、スピードとパワーの現代卓球を地でいく選手だ。

特にチキータの質は群を抜いており、全日本選手権男子シングルス決勝で初対戦したベテラン、元日本代表の松平健太(ファースト)も「球質が全く違う」と舌を巻いた。

課題だったフォアハンドの安定感も増してきた。

昨年6月、千葉県旭市で開かれたアジア選手権日本代表選手選考合宿の頃は、無理な体勢から強打したボールがミスになり、精神面に弱気な部分も出て、もったいない失点が相次いだ。それが響き決勝で敗れて準優勝。

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がっくりと肩を落とした戸上だが、「あのままでいい」と話していたのは、東京オリンピック後の昨年9月、男子代表監督を退いた倉嶋洋介氏だった。

「あれが彼の持ち味だから小さくまとまる必要はない。調整はこれからいくらでもできる」

倉嶋氏の予見どおり、フォアハンドの精度を上げた戸上は9月のアジア選手権本番で男子ダブルスと混合ダブルス優勝。続く11月の世界卓球2021ヒューストンでも男子ダブルス銅メダルを獲得した。

シングルスでも男子日本勢最高の3回戦進出を果たした戸上は、初の世界卓球代表入りでしっかり結果を残した。

 それから2カ月後の全日本選手権で2冠を達成。世界卓球2021ヒューストンで課題に挙げた台上の細かい技術も向上し、倉嶋氏からバトンを引き継ぎ男子代表監督となった田㔟邦史氏は、「成長のスピードが速くなっている」と戸上を評価した。

その上で「世界で戦うことを見据えた場合、もう少し連続失点を減らして試合の流れをつかむこと」と注文も。

戸上本人も、「今は打開策はわからないが、これから監督やコーチの話を聞いていく」と話し、もう一つの課題として、大会を通して狙われやすかった「フォア前からの展開の改善」を挙げた。

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強気なビッグマウスにキャラ変の一方で

 全日本選手権では戸上の強気発言も話題になった。

「男子のエースとして日本を背負う覚悟がある」

「(全日本V10の水谷が引退して)枠が一つ空いたと思っている」

 強気な発言をするようになったのは、前述のアジア選手権日本代表選手選考合宿がきっかけだったそうで、弱気になって武器であるフォアハンドを振り抜けなかった自分を一蹴するため、大好きなプロレスラーのバックステージコメントを真似たという。

中でも新日本プロレスの内藤哲也、棚橋弘至のファンだといい、憧れのスターに影響されて「緊張した場面で強気なプレーができたり、格上の選手に対しても臆することなくプレーができるようになった」と躍進の秘密を明かした。
 
かくして、ビッグマウスにキャラ変した戸上。だがソフトな人柄は隠せず、コートに持ち込んだバッグには愛してやまない映画のキャラクター「ミニオン」のマスコットが揺れていた。

 攻撃的なプレーと素顔のギャップが彼の魅力と言えるだろう。

王楚欽に完敗の一戦「一日も忘れたことはない」

 戸上が全日本選手権で活躍した一方、大会開幕前日の1月23日には中国のトップ選手がずらり揃った「WTTマカオ」では、中国が次期エース候補として期待を寄せる21歳の王楚欽が同種目の優勝を飾った。

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世界卓球2021で敗れた王にリベンジを誓う戸上 Photo:Itaru Chiba

王の快進撃は見事だった。準々決勝でリオ、東京とオリンピック2連覇の馬龍を撃破。続く準決勝では世界ランク3位の許キンを破った。さらに決勝では格上の林高遠に勝って優勝。

その王と戸上は世界卓球2021ヒューストン男子シングルス3回戦で対戦しており、戸上がストレートで破れている。

「悔しいけどパワーも戦術も上」と完敗を認めた戸上。王に負けた一戦を一日も忘れることはないと言いリベンジを誓う。

 ちなみに現在20歳の戸上と王は同世代。最新の世界ランクでは戸上が75位と開きはあるが、「世界ランク20位以内を目指している。そこからいち早くトップ選手の仲間入りをして、中国選手を何人も倒したい」と燃える戸上。

全日本選手権閉幕の翌日に火蓋を切ったパリ2024オリンピック日本代表選考レースを是が非でも勝ち抜く意気込みだ。

「自分の物語は始まったばかり。2024年まで気を引き締めて(パリオリンピックまでの道のりを)戸上の色に染め上げたい」

 2024パリオリンピック卓球日本代表を選出する第1回選考会(参加人数:男女各32名)は3月5~6日、アリーナ立川立飛で開催される予定。


(文=高樹ミナ)

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