11月26日放送の「卓球ジャパン!」は、スペシャルゲストとして日本女子代表監督の渡辺武弘氏が初登場。躍進著しい日本女子の強さの秘密と課題、そして独自のマネージメント術をDEEP解説した。
渡辺氏は自身、インターハイ3冠、全日本卓球の男子ダブルス4連覇、五輪に2回出場という生粋の卓球人。
1995年に選手引退後は、所属していた協和発酵(現・協和キリン)でお酒の営業マンとして仕事に邁進して卓球から離れていたが、2011年に中部大学に卓球の指導教員として卓球界に復帰(現在は教授)。前任の馬場美香氏(現・強化本部長)から声をかけられて2021年10月に監督に就任した。
渡辺氏が就任後初の世界卓球団体戦となる2022年成都大会では、日本女子は見事銀メダルを獲得した。そのマネジメント術とはいかなるものだろうか。

渡辺氏が心掛けていることは、選手たちは普段はライバル同士なので、とにかくチームワークをよくすることだという。
「特にキャプテンの佐藤瞳選手とか早田選手には、選手に積極的にアドバイスするようお願いしました」(渡辺氏)
世界卓球のベンチで選手同士がアドバイスをする光景は、渡辺氏の方針だったのだ。
もうひとつ心掛けていることは、選手とよく話しながら良いところ、個性を伸ばしていくこと。
「それぞれ母体で監督さんやコーチがいますから、あまり邪魔にならないようにしています(笑)」と渡辺氏は謙遜するが、このスタイルで選手をコントロールするのは並の手腕ではない。
「私たちの頃もですが、みんな我が強いですから(笑)、一歩引いてチームをまとめていく難しさはあると思います。包み込むような監督ですね」(MC平野早矢香)
番組では、渡辺氏が選んだ日本女子の「名勝負ベスト3」を紹介し、その強さと課題に迫った。

その第3位は、2021年世界卓球女子シングルス4回戦、平野美宇vs陳夢(中国)。
陳夢の強みは、中国選手の中でも特に重いボールだと渡辺氏。台から下げられて中陣から打ってくるボールが見た目より重いと選手たちが口を揃えるという。
対する平野は、前陣でタイミングの速い両ハンド攻撃、特に振り抜くバックハンドを駆使し、大接戦となった第6ゲームを13-11でもぎ取った。最終ゲームは陳夢に押し切られたが、堂々たる戦いぶりだった。
平野が中国に勝つためには、攻めるだけではなく、ブロックなどで緩急をつけることと、第6ゲームでロングサーブを積極的に出したように、リスクを恐れないプレーをすることだと渡辺氏。矛盾するようなプレーだが、そのための選球眼を養うことが重要だという。

第2位は、今年2022年世界卓球女子団体決勝、伊藤美誠vs王曼昱(中国)。
王曼昱は常にポーカーフェイスで、ゲームポイントを取られていても表情を変えない不気味さがあり、競るほどミスをしなくなる。
そんな王曼昱に対して伊藤は、自分がチームを引っ張って勝たなければいけないという気持ちが今まで以上に表れた気迫あふれるプレーを展開した。
結果は1-3で敗れたが、要所で決まったバックハンドと、最後にレシーブでフォアで回り込んで決めたのが素晴らしかったと渡辺氏。
「常に一番良いボールを打とうと思っても難しいが、甘いボールでは中国に勝てない」(渡辺氏)
さらに、中国選手は伊藤のバックサイドを攻めてくるので、バックサイドでいかに手数を増やせるかがカギで、それが自在にできるようになると中国にとって脅威になると渡辺氏。

そして第1位は2021年世界卓球女子シングルス4回戦、早田ひなvs王芸迪(中国)。
「僕の予想が全部外れた(笑)」(MC武井壮)
渡辺氏が上げたのは3試合とも中国選手に負けた試合。結果ではなく、中国選手との対戦で引き上げられたプレーの内容で選んでいるところが渡辺氏らしい。
この試合を選んだ理由を渡辺氏は次のように語る。
「最初、早田選手はフォアサイドを抜かれているんですが、途中から飛びついて対応しているところに、潜在能力が出ていて、もっとやれば出てくることを期待させる試合でした」(渡辺氏)
ゲームカウント1-3と追い詰められた第5ゲームで、早田は恐るべき潜在能力を発揮する。
身長がありパワーもある早田は7-9の劣勢からジュースに持ち込み、ときには台から離れてフォアサイドの外側からフルスイングする女子とは思えない豪快なプレー。
一方の王芸迪もパワーがあるため、パワーとパワーがぶつかり合う激しい戦いとなり、スコアはなんと17-17。思わず苦笑いする王曼昱だったが、最後は早田がバックハンドでクロスに打ち抜いて20-18で取った。
「2ゲーム分戦ってますね(笑)」(MC平野)
最後は2-4で敗れたが、大きな潜在能力を感じさせるプレーだった。
独自のマネジメントスタイルによる今後の渡辺ジャパンに期待したい。

