12月10日放送の『卓球ジャパン!』は、男子日本代表田勢邦史監督が番組初登場。名勝負ベスト5をチョイスし、その裏側をDEEPに解説してもらった。
まず第5位に選んだのは、ジュニア男子監督時代に11年ぶりの団体優勝を果たした2016年の世界ジュニア選手権。
序盤のグループリーグで大苦戦をした日本だったが、それを乗り越えると準々決勝から決勝までストレートで勝利。決勝はライバルの韓国を下して世界一に輝いた。
優勝に貢献し、そして男子シングルスも制して二冠を達成したのが当時中学1年の張本智和。そんな張本の魅力を「向かっていく姿勢」と田㔟監督は語る。
「格上の選手だろうと向かっていく戦う姿勢。この時からそうだし、これだけ世界のトップになった今現在も向かっていく姿勢は素晴らしいなと思います」
第4位は「あと1本取る難しさ、厳しさを教えてもらった」という、世界卓球2015の男子ダブルス準々決勝。
森薗政崇/大島祐哉が中国最強ペアの張継科/許昕を相手にあと1本と迫った伝説の一戦だ。
「(中国選手と対戦する時)試合前は自信を持って戦おうと思って準備はするけど、試合をやってる間にだんだん自信がなくなっていく選手が多い。だから最初から最後まで自信を持って、食らいつく気持ちが非常に大事。その気持ちが2人には現れていた」(田㔟監督)
フットワークを活かしたコンビネーションで互角に渡り合い、最終ゲーム10-8と日本がマッチポイントを握るが、ここから4連続失点で大魚を逃した。
「やはり10-8でリードしていたにも関わらずレシーブが大事にストップ。逆に10-10の苦しい場面で張継科はチキータ。先に仕掛ける、その差が出た。自分たちから積極的にチャンスを作っていかなきゃいけないっていうのを教えられた」
森薗/大島はこの敗戦を糧に、2年後には男子ダブルスで決勝進出を果たし、銀メダルを獲得している。
続く第3位は、世界卓球2017男子シングル2回戦、張本智和が水谷隼を下した試合だ。
誰もが水谷の勝利を予想する中、張本の猛攻が水谷の鉄壁の両ハンドを打ち抜き4-1で勝利。張本はこの大会、準々決勝まで勝ち進み、史上最年少となる13歳でのベスト8入りを果たした。
張本の驚愕のプレーももちろんだが、それ以上に田㔟監督にとって印象に残っているのが、勝負が決まったあとの2人の握手のシーン。
「水谷が張本の肩を叩いて、張本はしっかりと水谷に対してお辞儀をする。お互いがリスペクトし合ってるっていうのがすごく印象的で、その写真をずっと携帯に残してあるんです。どんな相手だろうと、どんな試合になろうとやはり相手をリスペクトする、リスペクトし合うというのはスポーツだけではなく、人と付き合う上で非常に重要なこと。それを再認識させてくれた」
選手の人間力の成長にも重きを置く田㔟監督らしいセレクトだ。
第2位は2021年の東京オリンピック混合ダブルス、水谷隼/伊藤美誠ペアの準々決勝と決勝。
日本卓球界初の金メダルを叶えた歴史に残る名勝負であり、田㔟監督はベンチに入って2人をアシストした。
ちなみに「この金メダルにずっと満足しているようではチームをまとめることはできない」という理由であえて第1位に選ばなかったそうだ。
そして栄えある第1位は、世界卓球2022男子団体準決勝の張本智和対樊振東(中国)。この試合、張本は中国から2点をあげる大活躍を見せた。
勝利の要因としてあげられるのがフォアハンドの成長。
「やっぱり誰しもがその自分の課題とか弱点に取りくむというのはなかなか踏み込めないけど、張本が自分の課題を真摯に受け止めて本気になって取り組んだっていうところが一番大きい」(田㔟監督)
武器である超高速のバックハンドと同じ打球点でフォアハンドも振れるようにし、そして下がった時は世界のトップと渡り合えるように大きなスイングを強化した。
第4ゲーム6-2では「これもう本当にCGじゃないんだからさ! 映画でやってるやつですよね」とMC武井壮も驚きのスーパーラリーを展開。最後まで攻撃の手をゆるめることなく、張本が大金星をあげた。
しかし張本が2点をたたき出すもあと1点が遠く、日本は中国に2-3で敗退。今、日本男子に求められるのは、張本に続く選手の登場だ。
「"張本だけではない"ってみんなには思ってほしい。"張本は特別だ"ではなくて"張本のようになりたい"とか "張本に勝たなきゃいけない" "自分がやるんだ"っていう選手が出てきてほしい」と田㔟監督は語る。
最大の目標は、2024年パリオリンピックの金メダル。日本男子に待望の2本目、3本目の槍が誕生した時、その夢は叶うはずだ。