
戸上隼輔、伊藤美誠 Photo:World Table Tennis
全日本選手権の激闘から1週間。男子シングルスで2連覇を果たした戸上隼輔(明治大学)が早くも「WTTコンテンダー・アンマン」<2月6~12日/ヨルダン>に登場する。
日本の男子選手は他に全日本選手権ベスト8の宇田幸矢(明治大学)と吉山僚一(愛工大名電高校)も出場。女子選手は一人だけ、大会史上初の女子ダブルス5連覇達成の伊藤美誠(スターツ)がエントリーしている。
全日本選手権後、テレビ出演や各種メディアのインタビュー、各方面への優勝報告などに追われた戸上は、ほぼ休む間もなくヨルダンへ。
戸上隼輔 PHOTO:ItaruChiba
昨年末まで世界ランク2位で、現在も4位につける張本智和(IMG)を決勝で破りながら、優勝会見では自身の国際大会の実績不足に触れ、「対中国人選手となったときに僕はまだ実力を発揮できない。その部分では張本選手の方が上だと思う」と語った戸上。
そこには昨秋の世界卓球2022成都(団体戦)準決勝で、張本が破った世界ランク1位の樊振東と同世代の王楚欽に自分は勝てなかったことや、今年1月の世界卓球2023南アフリカ・アジア大陸予選会でベテランの吉村真晴(TEAM MAHARU)が勝ったオリンピック2連覇の馬龍に自分は敗れたという厳しい現実がある。
しかし、そこで痛感した課題に取り組み、昨年から挑戦しているドイツ・ブンデスリーガで積んだ経験も全日本選手権で発揮。
大会に向けて増やした多球練習やウエートトレーニングで自身を追い込んだことも自信となり、試合の苦しい場面を我慢強いプレーでしのぐ調整力や、チャンスの場面は強打で畳み掛ける攻撃力を存分に見せた。
普通に考えれば疲労もあるだろう。だが今の戸上は国際大会で早く自分の力を試したい、そんな気持ちでいっぱいのはずだ。
現在、世界ランク48位の戸上は9日に始まる本戦から登場。同日に本戦がスタートする男子ダブルスにも盟友・宇田とのペアで出場する。ダブルスには絶対的な自信を持つ2人なだけに上位進出が期待される。

宇田幸矢 Photo:World Table Tennis
また、世界ランク22位で国際競争力は日本の男子2番手の宇田も男子シングルス本戦に登場。戸上と同じくブンデスリーガでヨーロッパの難敵と試合を積んだ経験を強みに変えて上位を狙う。
ヨーロッパ勢では強烈なバックハンドの使い手で世界ランク9位のヨルジッチ(スロベニア)、同11位で東京2020オリンピック男子シングルス銅メダルのオフチャロフ(ドイツ)が優勝候補の筆頭。
さらに世界ランク38位ながら、先週のWTTフィーダー・アンマン(2月1~4日)で男子シングルスおよびダブルス、混合ダブルスで優勝し3冠を果たした17歳の林詩棟(中国)に勢いがありそうだ。
なお、同130位の吉山僚一は男子シングルス予選から本戦進出を目指す。

伊藤美誠 写真:T.LEAGUE/アフロスポーツ
一方、全日本選手権女子シングルスで6回戦負け、ベスト16に甘んじた女子日本のエース伊藤は2月4、5日のTリーグに出場しヨルダンへ向かうという、またも過密スケジュール。
いずれも自身が参戦している日本生命レッドエルフのホームマッチで、伊藤は4日のトップおとめピンポンズ名古屋戦で1ゲームのビクトリーマッチを託されたが、台湾のエース・鄭怡静に敗れチームを勝利に導けず涙を流した。
しかし、翌日は一転、4番のシングルスでリーグ女子個人順位トップの芝田沙季(日本ペイントマレッツ)にストレート勝ち。チームの勝利を決めて「美誠スマイル」が戻った。
本来の調子には程遠いが、これまで何度も窮地を乗り越えてきた伊藤。得意の海外ツアーで復調のきっかけを掴めるか。
ちなみに今大会、女子中国のトップ選手はエントリーしていないが、1月のWTTフィーダー・ドーハ(22~26日)女子シングルスで準優勝し、先週のWTTフィーダー・アンマンでは単複2冠を挙げた18歳の蒯曼は世界ランク33位ながら中国若手の成長株。もし対戦することになれば、世界ランク6位の伊藤であっても侮れない。
(文=高樹ミナ)
