2月25日放送の『卓球ジャパン!』は、全日本選手権後初の国際大会に挑んだ戸上隼輔(明治大)と伊藤美誠(スターツ)の試合をピックアップ。スペシャルゲストの水谷隼が2人の課題をズバズバと切り込んでいった。
WTTコンテンダーアンマン(2月6~12日/ヨルダン)に出場した戸上隼輔。全日本優勝の勢いのまま国際大会でも結果を残したかったが2回戦でカールソン(世界ランク21位)に敗れた。
番組ではゲームカウント1-1となった3ゲーム目をDEEP解説。ここで水谷が戸上の課題として指摘したのが「対応力不足」だ。
「卓球はいつも違う選手と試合するから、試合の中で対応する力が求められる。ただ3、4ゲーム目に対応しても遅いので、序盤の何本かやったらある程度相手を見極めないといけない。しかし、戸上選手の場合は最初対応できなくてそのままずるずる行くし、対応できてきたとしても、相手も対応するわけだから、競り合いになった時に全然点数が取れなくなってしまう」とコメント。
また相手の3球目バックドライブで失点した場面では「今のはバックに長くレシーブしたけど、一番やっちゃいけないレシーブ。それを普通にやるってことはその認識がないか、もしくはそれしかできない技術力なのか。ぼくだったら絶対やらない。まだまだ世界で戦うには未熟なのかなって感じます」と続けた。
かなりの辛口コメントだが、水谷自身も現役時代、様々な壁にぶち当たってきたからこそ気づける課題でもある。
「負ける時って同じような負け方が続くんですよね。僕がオフチャロフ選手(ドイツ)と試合した時に最初8連勝ぐらいしたけど、いつからか全然勝てなくなった。試合映像を見直すと毎回同じことが起こるんです。9-9とか10-10になった瞬間に同じパターンが生み出される。たとえ自分がめちゃくちゃ得意なパターンだとしても、相手に効かなくなったら変えていく。そういう力が必要になってくるんです」と自身の経験を語った。
「戸上選手は本当に序盤でポロポロってミスが続くけど、すぐ気持ちを切り替えて次に向けて進んじゃうタイプ。でも勝負は1本2本がものを言うので、それをもっと大事に考えないと一生成長しない」
「そこミスするの?というのが多い。相手が攻め込んできてるわけじゃないのに、その一歩手前でミスしてしまう。卓球は守っていても点数取れる競技なのに、そのバランスが上手くない。柔らかいプレーももっと磨いた方がいい」など、期待しているからこその指摘がその後も続いた。
そんな戸上に水谷から送られた言葉は「鉄」の1文字。
「守備になった時にまだまだ足りない部分がある。あとは鉄のようなメンタル。やっぱりアスリートは冷たくていいと思うんですよ」とアドバイス。
最後は「期待しかない。もっと強くなって僕にすげーって言わせようとしてる、みたいな気迫をすごく感じるので、僕は温かく成長を見守りたい」と語った。
続いては、伊藤美誠だ。今大会では優勝を果たしたが、直前の全日本では不本意な結果に終わるなど、まだまだ本調子とは言えない。
「昔は勝ってても負けてても常に笑顔でポジティブで一生懸命な伊藤選手が見れたのでが、最近はちょっと苛立ってるような、殺気だった伊藤選手を見ることが多い」と元ダブルスパートナーの水谷も変化を心配をしているようだ。
Tリーグで敗れている鄭怡静と対戦し、フルゲームまでもつれる接戦となった2回戦。思い切りの良い攻めを見せる相手に対して、下がらずに前陣で勝負する伊藤。お互いのメンタルとメンタルがぶつかり合う好ゲームとなった。
卓球は攻めと守りのバランスが必要であり、その判断が難しさでもある。それについて水谷は「感じなきゃいけないんですよ」と独特の表現で解説。
「卓球にセオリーはないんですよ。その瞬間の流れと心理と経験で今これが自分のベストな選択だっていうのが強い選手ほど正解の答えを導きだせる。卓球はやっぱり技術よりもメンタルがすごく重要。技術があってもメンタルが追いついてないとできない」と語った。
試合は、終盤にサービスからの展開できっちり得点した伊藤が勝利。このまま決勝まで勝ち上がり伊藤が8カ月ぶりの国際大会優勝を果たしたのだった。
そんな伊藤に水谷が送った文字は「笑」。
「伊藤選手が一番強い時は常に笑顔。僕は東京オリンピックのミックスダブルであの笑顔にどれだけ助けられたかと。もう無理かもと思っても隣に笑顔でいてくれる伊藤選手がいるとまだまだここからやれるんじゃないかっていう安心感を与えてくれた。やっぱり笑顔で卓球をして最高の勝利につなげてほしいなと思います」とパートナーにエールを送った。