戸上隼輔 3カ月ぶりのブンデスリーガで2点を奪取!チームは惜敗も「自分の存在意義を示せた」

2023.04.08
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戸上隼輔 Photo:Nico Schaal

 今シーズン、名門チームのオクセンハウゼンからドイツ・ブンデスリーガに参戦している戸上隼輔(明治大学)が現地時間4月2日に行われたミュールハウゼンとのアウエー戦に出場。

昨年12月の今季前期最終戦以来、約3カ月ぶりとなった同リーグの試合でシングルスの2番と4番にエース起用され、いずれも勝利を収めた。

 チームはマッチカウント2-3で惜しくも敗れたが、戸上は「最低限2点を取れてチームに貢献できた」と自身の働きを評価。

ブンデスリーガのレギュラーシーズンは今月30日に最終戦を迎えるが、翌週にパリ五輪選考会の「全農CUP TOP12平塚大会」(5月6~7日)を控えた戸上は出場できず、これが自身のブンデスリーガ初挑戦を締めくくる最後の一戦となった。

最初の出番は1歳下のチームメートで気の合うクルツィツキ(ポーランド)が第1マッチを落として回ってきた。

「久々の試合でも全く緊張はなかった」という第1ゲームは1-5から追う展開となったが、戸上は落ち着いて対応。重点的に磨いてきたサーブ・レシーブや試合前にフー・ヤンヘッドコーチからアドバイスをもらったというミドル攻撃などを駆使し、逆転に成功した。

 第2ゲームは戸上が終始リードを奪い11-8で取ると、第3ゲームは再び相手にリードを許す展開に。しかし、ここでも戸上はサーブを軸とした組み立てで、フォアハンドに威力のあるキム・テヒュン(韓国。2023年からオーストリア)とのラリー戦に勝ち、マッチポイントもサーブからのフォアハンド連打で勝利を決めた。

戸上隼輔 Photo:Nico Schaal

 そして、マッチカウント1-2で回ってきた2度目の出番。ここで負ければチームの負けも決まる絶対に落とせない一戦は1歳上のベルトラン(フランス)との同世代エース対決となった。

「チームメートで(ベルトランと)同じフランスのアクズ選手から『相手はサーブが上手い。レシーブをしっかりできれば大丈夫だよ』と言われていたので、とにかくレシーブミスを無くすという意識で試合に入りました」と戸上。だが、第1ゲームの出足でレシーブミスが2本続いてしまう。

ベルトランは戸上がレシーブに苦手意識のある左利きだ。そこをどう攻略するかが鍵となった。

戸上はまず、サーブからのコンビネーションで第1ゲームと第2ゲームを奪うと、第3ゲームはレシーブミスが出て落としたが、第4ゲームは相手のフォア前サーブに対し、回り込みのチキータレシーブを繰り出し主導権を取り返した。そして、マッチポイントはサーブからの鮮やかな3球目攻撃。

「納得できるレシーブができたかなと思います。最近、フォア前のボールに対してチキータにしろストップにしろツッツキにしろ手段を増やし、質の高いレシーブをして、その上でミスを減らす練習を重点的にやってきました。なので対左利きに対して自信を持ってプレーできていると感じています」

 左利きの選手に自信が持てるようになったきっかけは、3月のシンガポールスマッシュにあったという。

この大会は男子シングルス1回戦で東京2020五輪銅メダルのオフチャロフ(ドイツ)をフルゲームで下したインパクトが強いが、本人的には2回戦で対戦した左利きのジェラルド(ポルトガル)にストレート勝ちした一戦が大きな自信になっていた。

「前回の対戦で負けていた相手にあれだけ何もさせず完勝できたことで、左利きと当たっても怖くなくなりました」と戸上。

 またレシーブに限らず、ストップ対ストップになったとき、以前はフォア前に来たボールをほとんどフォアハンドで返球していたが、「サーブからの3球目、5球目をチキータで狙っていける展開が必要だと感じて、インド(WTTスターコンテンダー ゴア)からシンガポール(スマッシュ)にかけてチキータで処理できるようになりました。今日の試合でも使えたので良かったです」と振り返った。

 リーグ3位だったオクセンハウゼンは4位のミュールハウゼンに敗れたことで、両チームが3位タイに並んだ。ブンデスリーガはレギュラーシーズンの上位4チームがプレーオフに進み、そこで勝った2チームで優勝を争う。

戸上隼輔 Photo:TTBL

 現在の1位はボルやチウ・ダン擁するボルシア・デュッセドルフ。2位はヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)で逆転初優勝を決めたばかりのザールブリュッケン。フランツィスカ(ドイツ)やヨルジッチ(スロベニア)を主力に据え、神巧也(ファースト)も在籍する名門チームだ。

 プレーオフの日程はまだ発表されていないが5月になる見通しで、世界卓球2023南アフリカ(5月20~28日/ダーバン)を控える戸上の出場は難しそうだ。

 だが短期間ながらチームメートやスタッフと打ち解け、今回、久々の再会も「本当に楽しい」と笑顔で話す戸上。特に年が近いクルツィツキとは、「『Hey bro!(やぁ、兄弟!)』と挨拶を交わす仲になりました」と言う。

「本当はもっとドイツに滞在して、理想としては1シーズンフルで戦いたかったんですけど、それが出来ずチームには申し訳ないなと思います。みんなの優しさがあって、それを活力にプレーで貢献したいと思ってきたので、最後チームとしては負けてしまったけど、自分の存在意義というか、そういうものを示せて良かったです」

 ミュールハウゼンとの熱戦を終え、本拠地オクセンハウゼンまで移動に5時間かかる車中でそう締めくくった戸上は6日にドイツを離れ、翌7日に帰国。すぐさま次戦WTTスターコンテンダー バンコク(4月23~29日/タイ)に向け準備に入る。


(文=高樹ミナ)