7月6日(土)より
シネスイッチ銀座・関内アカデミーにて
ロードショー 全国順次公開
ミニ・シアターで22週間のロングラン・ヒットを記録し、アカデミー賞でも3部門の候補にあがった『リトル・ダンサー』。その脚本家リー・ホールの出世作となったラジオ・ドラマを映画化した本作は、世界中を涙と感動で包み込んだ『リトル・ダンサー』の原点と呼べる作品。サッカーよりも天使修行に熱中する風変わりな少年と、不況のどん底にあえぎながら不治の病に冒されていく父親。おたがいに愛情を伝えられない不器用な親子が、一瞬の心のふれあいを得るまでの物語を、優しいまなざしでみつめた感動のヒューマンドラマだ。
主人公は、造船の町ニューキャッスルに住む11歳のジミー。彼の最も幸福な思い出は、父のたくましい腕に抱かれ、空高く舞い上がった5歳のときの記憶だ。そしていつしかジミーは、天使になって再び大空を舞いたいという夢を抱くようになる。そんな彼の前に出現する大天使ガブリエル。彼から天使見習いに抜擢されたジミーは、人助けをして本物の天使になろうと一生懸命。しかし、失業と病にいらだつ父親には、ジミーの行動が愚かなものにしか見えなかった。天使になって奇跡を起こし、パパの命を救いたい。そう思い詰めれば思い詰めるほど、ますます父に誤解され、怒りを買ってしまうジミー。やがて父は入院。ガブリエルからも神からも見放された思いのジミーは、自分自身の無力さに打ちひしがれながら、父の病室を訪ねるのだが……。
父親に愛されたいという願いから、天使になる夢を持つジミー。炭坑町でバレエ・ダンサーをめざす『リトル・ダンサー』のビリーと同様、誰にも理解されない望みを内に秘め、健気に生きる主人公の姿が、胸を打つ。彼の心にあるのは、家族みんなで幸せに暮らしたいというささやかな願い。しかし現実の壁は厚く、不況、失業、不治の病といった試練が、容赦なく一家にふりかかってくる。そうした社会的な背景をエッセンスとして取り入れつつ、あくまでもジミーの目線で語られていくドラマは、夢と希望と現実の狭間で葛藤を繰り広げながら、自分自身のなすべきことを模索するジミーの成長ぶりをいきいきと活写。大人への階段を昇りつつある少年のナイーブな心理を、鮮やかに浮き彫りにしていく。その果てに待ち受けるのは、見る者の予測を超えた衝撃的な結末。ジミーと父のあいだに真の絆が生まれる「奇跡の瞬間」を、切なくポエティックに描きあげたラストには、誰もが熱い涙を誘われずにはいられないだろう。
主人公のジミーを演じるのは、2000人以上の候補者から選ばれたショーン・ランドレス。本作が映画デビューとなる彼は、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルに負けない天性の輝きの持ち主。彼のナチュラルな演技力については、「素晴らしい存在感を失わせないことが私の仕事だった」と、監督のウダヤン・プラサッドも絶賛する。そのランドレスを支える共演陣には、イギリス映画を代表するベテランが揃った。ジミーを心から愛しながらも思いを伝えられない父親に扮するのは、『トゥームレイダー』の悪役演技が記憶に新しいイアン・グレン。天使らしからぬユーモラスな風貌で出現し、ジミーに人生の方向性を示すガブリエルには、『QueenVictoria/至上の恋』で英アカデミー賞候補にあがったビリー・コノリー。ジミーの良き相談相手である祖父には、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの重鎮で、『シャンプー台のむこうに』などに出演しているデヴィッド・ブラッドリー。不況にあえぐ一家を支える強く優しい母親には、TV「SoldierSoldier」などで活躍するロージー・ローウェル。また、天使修行を始めたジミーに命を救われるスカウトの役どころで、『ぼくの国、パパの国』で末っ子を演じたジョーダン・ルートリッジが出演し、ランドレスと息のあった共演ぶりを見せている。
原作は、イギリスで数々の賞を受賞したリー・ホールのラジオ・ドラマで、脚色はホール自身が担当。監督には、『BrothersinTrouble』でテサロニキ映画祭のゴールデン・アレクサンダー賞を受賞し、『MySontheFanatic』でインディペンデント・スピリット賞候補にあがったウダヤン・プラサッドがあたり、インド出身の作家ならではのスピリチュアルな感性を光らせている。撮影監督のアラン・アーモンド、衣装デザインのメアリー・ジェーン・レイナー、編集のバリー・ヴィンスといったスタッフは、いずれもプラサッド監督と長年チームを組んできた顔ぶれ。同じくプラサッド組の一員で、『恋におちたシェイクスピア』でオスカーを受賞したスティーヴン・ウォーベックが、音楽を担当。モノコードという珍しい楽器を使い、ジミーの内面を物語っていく印象的なスコアを提供している。
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