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生まれも育ちも年齢も違うのにヘンに気が合うおかしな3人組。
岩野(池内博之)とサダさん(忌野清志郎)と丸さん(松尾スズキ)は同じアパートの住人で、毎晩、盛り場の片隅で「殴られ屋」をやっている。殴られ役は岩野。対戦相手の酔っ払いサラリーマンを相手に、巧みにパンチをかわす。元ボクサーの彼は、3回戦ボーイから新人王戦までひた走ったが、アッパーを喰らってリングに沈んだ日からリングに上がれなくなったのだ。今宵もグラブをつけたとたんに顔が変わり、視線も鋭くなる酔っぱらいたちの鬱憤が吹き出す。「このヤロー!」‥‥怒りを込めたパンチの矛先は、上司や得意先の担当、それともふられた女?彼らの鬱憤は岩野にかわされ敢えなく空を切るばかり。
「タイム・アップ!」と割り込むのがタイム・キーパーの丸さんで、元締めのサダさんが「2分間、2千円也」の料金を徴収する。
3人の一日の終わりは屋台のおでん屋。高速道路上のドン詰まりの広場に、「BAR」なんて人を食った名前の店で、いまどき珍しの携帯ラジオとかプレイヤーの修理が趣味の、ヘンな親父(荒木経惟)がやっている。そこでおでんを突っつきビールを飲んで、3人はゆるゆるの一日を終えるのだ。
27歳の岩野は、何をしても燃えなくなって、とりあえずサダさんが手配してくれるティッシュまきや落書き消しで毎日を過ごしている。心配した兄の公一(尾美としのり)が訪ねてきて、「インターネットの会社を始めるから手伝え」と誘うが、岩野は決心がつかない。まだ本当にやりたいことが見つからないし、「正社員になったら逃げられなくなる」のがいやなのだ。
丸さん(35歳)の1日は占いで始まる。「占いなんかで人生決められるもんか」とサダさんからは馬鹿にされっぱなしだが、毎日のラッキー・アイテム&カラーを確認しないと落ち着かないのは、それまでの人生が徹底してツキに見放されていたからだ。歴史の教員免許を持て余し叔父さんの帽子屋で店番をしているが、客足もさっぱりの上に叔父から「近く店をたたもうと思ってる」なんて言われて、まったくツイてない。
クールな自由人。世間のジョーシキにとらわれないハチャメチャなサダさん(53歳)は岩野の憧れだ。「何でもいいからやってみろよ、そっからだよ」と突き放した物言いの裏で、何かと気にかけてくれて仕事を回してくれる。サダさんは船を買った。免許を取って長年の「夢」だった自由気ままな旅に出るという。自分には絶対できないことをふつーの顔をしてやってのけるサダさんを、岩野は実は尊敬していたりする。
ある日、アパート取り壊しの通知が舞い込んだ。立退き料は滞納した部屋代と棒引きにするからと、大家はとりつくしまもない。逃げてばかりのチキハな3人にも、それぞれ願い望んだ道がある。けれどその道がなかなか見つからない。いま一歩が踏み出せない岩野。いやいやまともな仕事に就いたものの、要領が悪くて思うようにいかない丸さん。自由気ままに自分の夢に近づいていくサダさん。居場所をなくした3人は、それぞれの道にぎこちない第一歩を踏み出そうとするのだが‥‥。
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