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「だってあたしには具体的な夢はないけど野望はあるわけ。きっと有名になるんだ。テレビに出たいわけじゃないけど」
制服が夏服に変わった。高校生の朝子(上戸彩)が衝動に駆られて、深夜部屋の片付けをしている。次々と運び出される家具や雑貨…。全てをゴミ捨て場に持って行き、とうとう部屋はからっぽになった。朝子は“平均そこそこなひとりの女子”として過ごす毎日に脱力してしまったのだ。親友のコウイチ(中村七之助)は「あんたにゃ人生の目標がない」とお説教してくれるが、朝子は学校へ行くという習慣を捨てた。いつものように制服を着て家を出て、母親(田中好子)の出勤を物陰から確認し、家へ戻る。「もう17歳」という焦燥感と「まだ17歳」という安心感。このまま小さくまとまった人生を送るのかもしれないと思うとどうにも苦しい。
「チャットでHな会話をするだけの軽いバイトで…」
朝子は、自分が捨てたパソコンを拾っていった小学生・かずよし(神木隆之介)と再会した。かずよしはパソコンをインストールし直して、押入れの中で親の目を盗んでネットにつなぎ、頼まれたことがあるという。それは26歳の人妻風俗嬢“雅”のエロチャットの肩代わりだった。かずよしが学校へ行っている午前10時から午後2時までの間、朝子が雅になりすます。10歳の小学生が性別も偽ってエロチャット?その“普通じゃなさ”に戸惑う朝子だったが、好奇心が勝り、結局引き受けることに。
「広くて深い、エロの世界に!!!」
バーチャルな世界で名前も、性別も判らないまま、交わされるどぎつい会話。底知れぬ欲望の世界は生身の人間を恋しくさせる。ランドセル姿のかずよしは“白馬の王子様”からは程遠いけれど、朝子を追い立てる不安と大きな支えを亡くした喪失感から解放してくれていた。
ふたりに“押入れ”から出る日がやってくる。季節は巡り、制服も冬服に変わって―――。 |
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