「なんでいつも泣かされるんや」
「俺……弱いもん……ケンカすんのん……恐いもん」
稔と亜紀は、幼い頃からずっと一緒の幼なじみ。いじめられっ子の稔(林遣都)は、幼いころからずっと亜紀に助けられてばかりのヘタレ男子。成績優秀で容姿端麗、学校のアイドル的存在の亜紀(北乃きい)は、普段は大人しくかしこまっているが、実はケンカが滅法強い──特に回し蹴りが得意な──パワフルな女の子。高校生になっても、いつも2人が一緒にいるので、稔は亜紀と付き合っていると勘違いされ、亜紀に憧れる不良に追い回される日々を送っていた。
「……ボクシングなろたら……俺……強くなれますか?」
ある日、いじめられているところを救ってくれた大木(大沢たかお)との出会いによって、稔に変化が訪れる。元日本チャンピオンで、ボクシングジムを経営している大木に憧れた稔。大木からボクシングを習い、密かに亜紀よりも強くなろう、そして自分のことは自分で守れる強い男になろうと、固く決心し、大木にボクシングを教えて欲しいとジム入会を申し込む。ジムはもう閉めるつもりだと、稔の入会をやんわりと断る大木。しかし、目を痛めて引退を余儀なくされたジム生・タケ(波岡一喜)の熱心な説得もあって、大木はジム経営を再開することにする。
「稔ちゃん、決めた。私、ボクシングやる」
「やめてくれ。なんで俺と同じジムやねん」
亜紀に内緒で大木のジムに通い始めた稔は、ボクシングにどんどん夢中になっていく。大木も、いじめられっ子だったため、逃げ足だけは速く、フットワークが人並み外れている稔の才能に気づき、熱心に教えていた。毎日練習に明け暮れる稔。そんな彼の前に、中学時代の同級生・奥田恭子(藤村聖子)が現れる。恭子は中学時代、東京に転校したが、稔と同じ高校に転校してきたのだ。稔と一緒にいたいと、恭子もボクシングジムに入会し、稔に急接近し始める。ボクシングを習ってもそうすぐに成果が出るわけでもなく、不良から逃げ回る相変わらずの毎日を送っている稔。しかし、勘が鋭い亜紀は稔のちょっとした変化も見逃さない。稔はボクシングを始めたことを必死に隠そうとするが、恭子のふとした一言で亜紀にバレてしまう。そして、亜紀は偵察ついでで大木のジムを訪れたが、亜紀もまた大木とのスパークリングですっかりボクシングにハマってしまう。自分よりも強い大木にも興味があると稔に宣言し、結局、一緒にジムに通うハメに……。
「俺めっちゃしんどいねん。お前がおるだけで俺しんどいんや」
「このヘタレっ」
毎日、厳しい練習に励む、稔と亜紀。亜紀は、持ち前の運動神経と幼いころから鍛えてきたファイティングスピリットでぐんぐん上達。ついには大木に女子プロボクサーにもなれると太鼓判を押されるほど、強くなる。一方、稔は、亜紀に抱き続けていたトラウマと恐怖心が先立ち、リング上でも逃げるばかりでなかなかパンチを繰り出せない。亜紀に内緒で強くなり、亜紀を打ち負かすことを目標としていた稔は焦りと苛立ちを募らせていく。稔は、思わず亜紀に感情をぶつけるが、反対に打ち負かされてしまい……。
「私とちゃんと、勝負せいや!」
ある日、大木ボクシングジムに、女優の三杉順子(桜井幸子)が現れ、大木にボクシングの型をつけて欲しいと依頼する。売れない女優である彼女にとって、最後のチャンスとして挑む映画の役づくりのためだった。実は大木と順子は、過去、深く愛し合いながらも、すれ違いによって別れてしまった元恋人同士だった……。稔、亜紀、恭子、順子ら一気に門下生が増えて、にぎやかになる大木のジム。しかし、順子の映画のプロデューサーが、映画の宣伝のためと、大木に映画の主演俳優・芹沢(鳥羽潤)との無謀な八百長試合を提案。大木はジムの運営費捻出のため、迷いながらも八百長試合を引き受けてしまう──。
大木や順子、恭子ら様々な人たちとの交流やボクシングへの情熱を通じて、初めてお互いを意識し始めた稔と亜紀。
本当はずっと好きでかけがいのない二人のはずなのに、その感情に戸惑う稔と、彼を喧嘩で守り続ける事でしかそばにいられなかった亜紀。そんな二人が、『好き』という気持ちを拳に込めてガチンコで勝負に挑む・・・。
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