|

|
|
2010年、ネコ地球、TOKYO。MEGURO-CITYの権之助坂にあるアパートメント「メグロエンペラードゥエ」。1歳の誕生日を迎えたタマラは、自慢の宇宙船ヴァンデンプラス・プリンセス(2008年後期ターボ仕様)でネコ地球を飛び立った。途中、仲の悪い養母「にんげんのお母さん」から行き先を訊ねる緊急通信が入るが、タマラは「オリオン座に行くの」と答え通信を一方的に切断。オリオン座のエデッサ星はタマラの生まれ故郷。そこには実の母親ネコと兄妹ネコたちがいるはずだった。やがて船内コンピュータがオリオン座へのワープの準備を告げた直後、突然、隕石が彼女の宇宙船を襲った。巨大な幽霊宇宙船から彼女を監視していた「謎の郵便配達ネコ」が放った擬似隕石である。タマラの"ヴァンプラ"は、くるくる回転しながら近くの惑星「Q星」に墜落する。
背中にロケットを背追って脱出したタマラは動じるどころか、Q星の郊外をホルスタイン模様の変なポルシェでドライブしていたオスネコ、ミケランジェロをナンパ。絶滅動物ミュージアムでの初デートのあとは、スケボーしたり、タトゥを彫ったり、万引きしたり、ひとり遊びまくるタマラ。コンサート会場では自らステージで踊りまくり、いつしか観客は超満員に膨れ上がる。タマラのパワーにたじたじのミケランジェロだったが、本当はオリオン座の母親に会いたいのに果たせないでいる彼女の素直さに惹かれていく。
一方、クーデターやテロが日常茶飯事になっているQ星の政情不安はタマラの出現とともに、さらに拍車がかかっていた。郵便通信事業民有化の改正法案をめぐってイヌ系与党とネコ系野党の対立が激化。市街では手紙が届かなくなったり、携帯電話の誤作動という怪現象と並行して、ネコたちの生活の至るところに今まで見たことのない「CATTY&Co.」という商標ロゴとネコ目マークの商品群が増殖していく。さらに奇怪なことは、キッズネコたちが一斉に同じ夢を見始めたことである。それはタマラが何度も繰り返し見る、美しいがどこか恐ろしいロボットネコの夢で、その同じ夢がキッズネコたちの脳裏にも忍びこんでいた。
ネコ地球を拠点にネコ銀河系宇宙全域の経済支配を企む複合企業体CATTY&Co.(キャティ&カンパニー)は、「破壊と再生」への欲望がプログラミングされた「TATLA」というシステムを異次元空間に作り出した。同時にCATTY&Co.によって「TATLAシステム」をプログラムされたタマラは自覚もなしに、彼女が訪れる惑星のネコ世界に「破壊と再生」という運動への欲望をダウンロードしていく。そしてそのメカニズムは、残酷な生贄の儀式を必要とするものだった。獰猛なイヌ警官ケンタウロスが街でタマラを見かけると、タマラのあまりの可愛らしさに発情し、湖にデートに出かけたタマラとミケランジェロの後を追ってきた。危険が迫っているとは知らないふたり。湖畔で相手の顔を舐めあっていると突然、ケンタウロスが襲いかかった。偶然を装った欲望のメカニズムが作動し、あちこちのコンピュータ・モニターに、最終オペレーションが完了間近であることを知らせる数字が浮かび上がる。混乱し、微熱を帯びていく街。ネコ市民の心に忍びこんだ「破壊と再生」への欲望の果て。Q星、全宇宙の未来は?そして、タマラの運命は?
|