この冬絶対に食べたい! 粋でいなせな究極のまぐろのお鍋「ねぎま鍋」
2015年12月15日

日本人が大好きな魚といえばまぐろ。お刺身やお寿司で食べるのがポピュラーですが、実は鍋にしてもおいしいってご存知でしたか?
まぐろのお鍋を語るうえで外せないのが「ねぎま鍋」。ねぎまと言っても焼鳥のソレではなく、「葱(ねぎ)」と「鮪(まぐろ)」のこと。江戸時代から食されていたという、歴史ある伝統料理のひとつです。その「ねぎま鍋」をいただけるのが、こちら。創業38年、東京・浅草にある「浅草酒膳一文本店(あさくさしゅぜんいちもんほんてん)」さんです。

歴史を感じる築65年の一軒家はもともと旅館だったそうで、外観から重厚感が漂います


古い骨董と和のしつらえが素敵な店内。水車や火鉢などもあり心からくつろげます
こちらでは木札が通貨となっており、お金を100円=1文に両替し、料理がきたらその木札で支払う“和製キャッシュオン”スタイル。ちなみに木札が余ったときは、帰りに「円」に換金してくれるのでご安心を。店主の粋な遊び心に気分が和みます。

お金を木札に両替! 店内の通貨は「文」。メニュー価格も「1,000円」ではなく「十文」と記載されています
カマトロは「鍋」がおいしい! その理由とは?
そしていよいよ、本命の「ねぎま鍋」が登場! 薄ピンク色の切り身は、見るからに脂がたっぷり乗っていてそのまま食べても美味しそう……!!
「皆さんそう仰います(笑)。もちろん生でも食べられますが、カマトロの部分は筋が多く刺身には向いていなくて、むしろ鍋にはもってこいの部位。興味本位で生のまま食べてみる方も多いのですが、ほとんどの方が複雑な表情をしますね(笑)」(店主・平川さん)

江戸ねぎま鍋。2人前で三十六文(3,600円/税込)。そのほか、上ねぎま鍋、極上ねぎま鍋があり、それぞれまぐろのランクが上がります
ところで、そもそも「ねぎま鍋」はどんなきっかけで誕生したのでしょうか?
「江戸時代の頃、醤油漬けにして保存できる赤身に比べ、脂の多いトロの部分は保存に適さなかったため捨てられていたんです。それをなんとか食べられないかと、江戸庶民が考え出したと言われています。そのままで食べると筋っぽいカマトロですが、熱を与えると筋がゼラチン質になり、ふんわり柔らかい食感になります。だから“鍋にもってこい”というワケなんです。さらに、脂が割下に溶け出して野菜に絡みつき、相乗効果で鍋を一層おいしく仕立ててくれるんです」(平川さん)
いざ実食! ねぎま鍋のお味はいかに……!?
それでは、お待ちかねの実食! 鍋のフチをぐるりと囲むのは、一流料理屋さん御用達の千寿葱。浅草に近い千住という町にある葱専門市場で取り扱う最高品質の葱で、とびきり甘く煮崩れしにくいのが特徴です。その真ん中にまぐろを並べ、鍋に沈めて1分ほど経ったら食べ頃。どうしても火を通すとボソボソとした食感になりそうな印象ですが……

まぐろを鍋に敷きつめ、割下にくぐらせて1分……

このくらいに色が変わったら食べ頃です
フワッフワの食感にビックリ! ほろりと柔らかく、甘じょっぱい割下のコクと調和して口の中でトロけていきます。もちろん、生臭さは一切ありません。ああ、日本人に生まれてよかった……。
「割下の色は濃いですが、味わいは寄せ鍋くらいの塩分濃度。まぐろとケンカしちゃうので、鰹節は使用せず昆布と椎茸で出汁を取っています」(平川さん)
割下がちょうどいい塩梅かつ、メイン食材が魚なので、最後まで飽きずにおいしくいただけるのもねぎま鍋の特徴です。

最後の〆は稲庭うどん。旨みがたっぷり凝縮された割下と溶き卵が絡みつき、別腹とばかりに箸が進みます!

日本酒は40種を超える品揃え。籠から好きなお猪口を選んで呑むことができます
江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気の中、伝統の「ねぎま鍋」の味に浸ってみてはいかがでしょうか。
<店舗データ>
浅草酒膳一文本店(あさくさしゅぜんいちもんほんてん)
住所:東京都台東区浅草3-12-6
電話番号:03-3875-6800
営業時間:月~金18:00~23:00(料理L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)、土日祝17:00~22:00(料理L.O.21:00、ドリンクL.O.21:30)
定休日:無休(年末年始を除く)
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