HEAVY METALの象徴と言っていいだろう。
幾多のアーティストが鋼鉄の魂を込めて弾奏した、
飛翔する名器、フライングV。
今夜ヨーコが抱いた作品は、
ギブソン・フライングV。
1958年、若者をターゲットにしたニューモデルとして、
エクスプローラーと共に変形ギターの元祖として誕生。
時代を先取りした斬新なデザインで話題を呼ぶが、
大胆すぎたフォルムは、違和感を持って迎えられた。
全く売れなかったのである。結果、わずか
「98」本の
出荷数で生産打ち切りという、惨憺たる結果となる。
ちなみに、その年のレスポール・スタンダードの
出荷数が1,100本。
(エクスプローラーは22本!)
おかげで、70年代から80年代にかけて訪れる、
ヴィンテージ・ギターブームで、発売当時のFVは、
最高値で取引をされる秘蔵品となっていく。
66年のリイシュー・モデル発表以降、ご存知の通り、デビュー当時の屈辱が嘘のように、
フライングVは、ロック・シーンに欠かす事の出来ない不動の地位を確立した。
矢のような攻撃的なシルエットは、メタルのために生まれたかのような運命を感じさせる。
FVを愛するギタリストとして、真っ先に名前があがるのは、
マイケル・シェンカーだろう。
(彼のスコーピオンズ時代、ライブ中に弦が切れて、兄ルドルフのFVを借りた時、
その感触を一発で気に入ったことが、その後ずっとFVを手にするキッカケになったそうだ)
・・・アルバート・キング、マーク・ボラン、ジミ・ヘンドリックス、J・ガイルズ、
高崎晃、アンディ・パウエル、カルロス・カヴァーゾ、マイケル・ヴァイカート、
ウルフ・ホフマン、ヨルグ・フィッシャー、レニー・クラヴィッツ・・・
他にも数え上げればキリがない、幾人もの名ギタリストたちが、FVを手にしてきた。
しかし今夜は、この番組にとって、もっとも触れなければいけないギタリストの話をしよう。
重厚な音で、フライングVの攻撃性をさらに先鋭化させる、鋼鉄のギター戦士、
そう、メタルゴッド、ジューダス・プリーストの
K.K.ダウニングだ。
あの日のことを思い出すと、胸が熱くなる。
ロブ・ハルフォードとK.K.ダウニングが、当番組のためにコメントをくれた日の事を。
ヘビーメタルへの愛を語り、
「HE・BI・ME・TA・SAN!」と言ってくれたあの日のことを。
私は嬉しかった。本当に嬉しかった。私は、興奮して夜の道を走った。
ジューダスの来日を聞きつけ、取材に行く決意をした当番組のスタッフ陣に、私は男を感じた。
なぜなら、行ったとしても、会えるか会えないか、わからなかったからだ。
しかし、迷いはなかった。・・・行こう。オレたちが行かねば誰が行くのだ!
オレたちが、1億3000万人の日本人にメタル魂をぶち込む「ヘビメタさん」のスタッフなのだ。
毎週この番組を楽しみにしてくれているボーイズ&ガールズに、ジューダスの声を届けるのだ!
果たして、メタルゴッド、ジューダス・プリーストのロブとK.K.の声が、お茶の間に届いた。
(結果として、東京エリアだけだったことが悔やまれる!)
今も、スタジオにある彼らのサインは、いつも我々を見守っていてくれる。
そんなわけで、K.K.ダウニングには、特別の想いがあるのだ・・・。
ジューダスの新作、「ANGEL OF RETRIBUTION」は記憶に新しいが、
デビュー以来一貫してフライングVを使い続けているK.K.ダウニングが、
このレコーディングで最も弾いたのは、
67年製のギブソン・フライングVだったという。
レコーディングでは、古くて価値のあるギター、
俺自身の思い出があるギターをたくさん使う (K.K.ダウニング)
永遠の速度超過にして積載オーバー、鋼鉄道路を疾走し続けるジューダス・プリースト。
彼らの後に道は作られる。しかし、誰も追いつくことなんて出来やしない。
よしんば、ちょっと背中が見えたとしても、ジェット噴射で空の彼方へ消えていく。
矢のような、V字型の、強烈なルックスの戦闘機に乗っかって、爆音を轟かせながら。
速すぎてよく見えないだろうが、たぶん、操縦席にいるのは、K.K.ダウニングだ。