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  • 2010年7月9日:不便が日本を切り開く!?

(ゲスト)吉川晃司、木佐彩子

電気製品をはじめ、便利で多機能なアイテムがあふれる日本。だが、最近はあえて「不便」にすることで人気の製品やサービスもあり、「不便」の価値が見直されている。


不便が怖い!? 過剰反応するニッポン人

日本は便利なものがあふれている!電気製品は日々多機能化が進み、トイレはシャワー式、交通機関の券売機はタッチパネル式が当たり前。ICカードがあれば、そのままスイスイ。しかしなぜそこまで便利になったのか?マーケティングの観点から日本を見つめる東京富士大学の山川悟教授は「日本人は不便さに過剰反応してしまう国民なのではないか。」という。
そこで日本人と外国人の家族に協力してもらい、普段は便利なオートキャンプ場をあえて不便な状態にして1泊してもらった。すると、外国人は不便であっても楽しむことを優先するのに対し、日本人は不便を解消することに時間を費やしていた。
山川教授によると「ちょっとしたことでも創意工夫をするのが日本人の良さ」というが、今の家電に象徴される多機能化には、便利すぎてついていけないと感じている人も多い。エコノミストの双日総合研究所の吉崎副所長は「なんでも至れり尽くせりでできることがサービス、というのは大間違い。消費者の求めている以上に便利さを追求し過ぎた日本製品はどんどん世界でおいてきぼりになっている。」と指摘する。

不便で一獲千金!不便長者になろう!

東京・青梅市にあるパソコン教室では、キーボードに何もかかれていない「無刻印キーボード」を使って指導している。このキーボードを使って以来、上達が早くなり、タイピングコンクール日本一が9人も出ているという。なぜこんなキーボードを作ったのか。販売メーカーによると、ピアノの鍵盤に音階が書かれていないことが開発のきっかけになったとのこと。なんと累計約7000台が販売され、1億5000万円以上を売り上げている。不便の新たな価値を研究する京都大学の川上浩司准教授は「便利なことは楽だが、たとえばカーナビを使うと道を覚えられない人が沢山いるなど、便利に頼り切ってしまうと人間は能力を落としてしまう。これからは不便の価値がますます再認識され、ニーズも高まるのではないか」と話す。
東京・中野には、客が自ら厨房で調理する居酒屋があり、連日満席になるなど不便を求める客は多い。さらに、京都・嵐山には不便なのに人気の旅館もある。『星のや 京都』は舟でしか行かれない場所にあるため、周囲は嵐山の大自然。コンビニなどに行きたくても舟で往復するしかない。支配人は「京都でも、この環境・景観を味わえる非日常の場所は数少ない」と話す。週末はほぼ満室、人気の部屋は半年先の予定まで入っているという。 人気の秘訣は「不便によって非日常を味わえる」ところにあった!

不便は心に響く

神奈川・平塚市に不便を積極的に活用する店がある。『Honda Cars 中央神奈川 平塚北店』では、客に感謝の気持ちを表すためにドアをあけるサービスを行おうと、10年ほど前に店のドアを自動から手動に変えた。あえて不便にすることで人との距離感が縮まり、人と人との心が触れ合う機会となっている。心理カウンセラー・袰岩(ほろいわ)奈々氏は「便利になったことで、ひとりで何でもできてしまうが、思いやりや気遣いなど心の部分は減っているのではないか。そんな現代人への処方箋が“不便”だ」と話す。
現代では希薄になりがちな親戚付き合いだが、不便を活用して円滑にする方法があった。東京・目黒のAさん夫婦は “音のかけはし”という手書きの親戚限定の新聞を作り、親戚の日常を記事にしている。宮城に嫁いだ夫人の妹と関東にいる家族との交流を図るために作られたが、今では親戚全員に月に1回のペースで配られている。新聞発行のきっかけとなった夫人の妹は今でも一番の愛読者。友達も親戚もいない宮城で、孤立感から解放されるきっかけのひとつになったそうだ。親戚中が読者であり新聞記者。手作りの新聞を通じて心のつながりを確かめ合っている。


【太一のミカタ】

<簡単に不便を楽しめる「不便」グッズ>

「ダンベルアラームロック」・・・ダンベルにデジタル時計が付いており、目覚ましが鳴ったら30回振らないと止まらないという強制エクササイズ機能が備えられている¥2980

「人力メリーゴーランド」・・・自転車で自ら発電して動かす。オプションとしてシャボン玉が出たり、音楽、イルミネーションもついている。非売品だがイベントなどに出張してくれる。

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