

飯塚貴士×スチャダラパー
子供の頃からの人形遊びが高じてこうなりました。

特撮人形劇『フォーカード』の飯塚貴士監督と、エンディングテーマ「ヨン・ザ・マイク feat.ロボ宙&かせきさいだぁ」を書き下ろしたスチャダラパーのANIさん、Boseさん、SHINCOさんでスペシャルトーク。年齢は違えど、似たもの同士の4人、話が弾みました。
取材・文 / 辛島いづみ 撮影 / 田川智彦
いまも実家暮らしです。
Bose アニ、遅いなあ。
SHINCO 駅でスタンプ押してるから遅くなってんじゃないの?
飯塚 ス、スタンプ?
Bose アニはね、スタンプラリー用のノートっていうのを自分で作って、いろんなスタンプを集めてるんですよ。50歳過ぎてるんですけどね(笑)。
SHINCO 東急にJRに。
Bose 夏はもう、大忙しだもん。
飯塚 いいですねえ!
Bose しかし、監督は僕らが思った通りの人ですねえ(笑)。こんな人形劇をやってんだけど、実はコワモテの人だったってあるじゃない。そっちもあんのかなと思ったら、思った通りだった。やっぱりそうなのかって。
飯塚 あはははは(笑)。
SHINCO (監督が持参した人形を見ながら)よくできてるなあ。というか、わりと小さい。
Bose 思ったより小さい。人形も自分で?
飯塚 いえ、僕がキャラクターを描いて、それをフィギュア作家さんにお願いしていて作ってもらいました。
Bose あ、そうなんだ! 監督が1人でやってる感じがするんだけど。
飯塚 ずっと1人でやってたんですけど、かわいそうだからってプロの人たちが助けてくれて。
SHINCO 良かったねえ、社会と接点ができて(笑)。

Bose 出身はどこなんですか?
飯塚 茨城の牛久というところです。
Bose 大仏のある牛久だ。
飯塚 はい。牛久に住んでます。
Bose 住んでます……って、あ、いまも住んでるってこと?
飯塚 はい、実家に住んで迷惑かけてます(笑)。
Bose 最高じゃん! てか、自分の部屋で作ってるってこと?
飯塚 実家の近くにプレハブ小屋を借りて。
SHINCO やべー(笑)。
飯塚 少人数家内制手工業なんです。みんな牛久まで来てもらって。
Bose え? なに、撮影もそこ?
飯塚 はい、牛久の実家とプレハブ小屋で撮ってます。
SHINCO やべー(笑)。
飯塚 最初はそこで1人で動かしてやってたんですけど、4人いっぺんに動かせないんで、テレビ東京のプロデューサーさんとか、みなさんに手伝ってもらってまして。
Bose すごいなあ。これが後のピクサーになるかもしれないんだから(笑)。実家がスタジオ。いいなあ、それ。
SHINCO じゃあ、子供の頃からの遊びをずーっと家でやってる感じだ。
飯塚 そうなんです(笑)。
Bose もう20年近く前かな。『アクションリーグ・ナウ』(2001年~2002年/アメリカのケーブルテレビで放送)って知ってます?
飯塚 知ってます。好きでした。
Bose 特撮人形劇。あれが僕らの間で流行ったことがあって。
SHINCO DCコミックスのヒーローが活躍する『ジャスティス・リーグ』をパロったやつネ。
飯塚 面白いですよね。トイレに人形を流しちゃったりとか。
Bose 車に轢かれちゃうとか。過激でシュールでハチャメチャなやつ。『フォーカード』にもああいう雰囲気がある。
SHINCO 確かに。

Bose これをテレビでやろうとなったキッカケって何だったんですか?
飯塚 最初、『世界の闇図鑑』という別の作品でテレビ東京の方と知り合って。そうしたら、僕の名刺に「人形映像作家」って書いてあるんで、興味を持ってもらえて、「ホントは何をやってるんですか?」って聞かれたんです。
Bose 別の作品っていうのは?
飯塚 アニメのシナリオを書いてたんです。人形だけだと食べていけないんで。
Bose 親にも言いにくいもん、人形は(笑)。学校は行ってたんですか? 美術系の学校とか?
飯塚 はい、美大に行きました。グラフィックデザイン科で、最初はグラフィックデザイナーを目指そうとしたんです。でも、挫折しまして(笑)。
Bose 東京の美大?
飯塚 いえ、茨城で。
Bose ずっと実家パターンなんだ(笑)。それが結果になってるんだからすごいですよ。……あ、アニが来た。
茶筒を怪獣だと思い込んでました。
ANI (部屋に入るなり)いやもう、寅さんがさあ。
Bose さっそく持ってくる寅さんのチラシ。いらないでしょ、それ。
ANI いやいや、いるっつーの。寅さんが全身映ってる写真はめずらしいんだから。
SHINCO いらないって。
ANI 明日(8月27日)知ってる? ねえ?
Bose なによ。
ANI 50周年記念日。『男はつらいよ』の第1作が公開された日なの。
全員 へー!
ANI 松竹のカレンダーに書いてあるもん。
Bose で、それは何のチラシ?
ANI もうね、去年の秋くらいからずーっとやってんのよ寅さん。BSテレ東で(現在は終了)。オレは全作観てるし、何度も何度も観てるんだけど、やってるとつい観ちゃう。いまはもうだいぶ後半が放送されてる。ゴクミ(後藤久美子)が出てくる回だから。
Bose じゃ、寅さんの話はおいといて。で、監督は実家で作ってるんだって、『フォーカード』は。
SHINCO 牛久大仏の麓の実家に建てたプレハブ小屋で。
ANI すごいね、それ。夢がある。
SHINCO ロバート・ロドリゲスだよ(笑)。
Bose 良く言えばね。てか、ロバート・ロドリゲスの場合は実家じゃない(笑)。
ANI つくばエクスプレス線?
飯塚 常磐線ですね。日暮里まで1時間半くらいで出てこれるんです。
Bose じゃあ、やっぱ東京に出て来る理由はないよね。周りの友達も実家暮らしは多いんですか?
飯塚 わかれますね。大学になるときに出る人と、残る人と。
ANI まあ、オレの地元・神奈川県でいえば、相模原とか厚木とか小田原とかって感じだよね、牛久は。
Bose で、小さい頃から人形遊びが好きで、こうなっちゃったんだって。
ANI おー。
Bose 何の人形だったんですか、子供の頃は? 僕らは超合金のおもちゃとかでよく遊んだけど。
飯塚 ウルトラマンですね。
Bose ソフビだ。
飯塚 本当は、ウルトラ怪獣の人形が、リカちゃんやシルバニアファミリーのところへこう……。
Bose 襲いにいく?
飯塚 襲いにいくというか……。
ANI 一緒に共存してるみたいな?
飯塚 そう、ごちゃまぜで遊びたかったんです。シルバニアのハンバーガーセットをガシャンと壊したりとか。生活とバトル、みたいな(笑)。
SDP ガハハハハ。
SHINCO 『トイ・ストーリー』もそういう世界観だもんね。
Bose でもさ、ひとつの世界で統一したい派もいるじゃん。
ANI オレは結構統一したい派。
Bose でしょ。ウルトラマンとシルバニアを比べるとサイズがおかしいじゃんってなっちゃう。何分の1で揃えたいとかさ。
ANI 縮尺の統一はある。
Bose うちらガンプラ世代は144分の1とか100分の1とかがあるから。それがズレてるやつのを見ると、ソレあり得ないから! っていう(笑)。でも、監督の場合はそこが混ざってくるのがいいわけだ。
飯塚 いや、僕も神経質なんで、揃えたかったんです。でも、親に買ってもらえるタイミングって、バラバラじゃないですか。だから、最初の頃は、ウルトラマンと茶筒とかでやってて。
SDP ガハハハハ。

Bose 茶筒を怪獣にみたてるんだ(笑)。
ANI 大きさ、ちょうどいいもんね(笑)。
SHINCO 茶筒に払い腰(笑)。
飯塚 この茶筒がいまはいちばん強いって思い込むんです(笑)。
Bose 茶筒にはなんか細工はするの?
飯塚 いえ、そのまんまで。
Bose 強固な怪獣っていう設定だ。ラベルとかはがすと銀色の筒だったりするから、未来感とか宇宙感とかもあるし。
ANI 謎のモニュメント的なやつでしょ。
SHINCO モノリスね。
飯塚 うちの茶筒はナミナミの模様がついてたんで、強い鉱石でできてる設定でした。
SDP ガハハハハ。
飯塚 だから、シルバニアファミリーとかリカちゃんとか、女の子向けとされていたものまではなかなか到達できなくて。買ってもらえなかったんで茶筒でやってました(笑)。
Bose 兄弟は?
飯塚 一人っ子なんです。
Bose 兄弟がいればね。僕らはね、僕が姉と弟で3人で、アニとシンコは3人兄弟。アニはコンバトラーVの足だけをシンコに買わせるってやってたんだもんね。
SHINCO そう。
Bose 「シンコは絶対足がいいよ」って、アニがダマして。
SHINCO 「あれ? 全然飛ばないなあ」
Bose うちは、弟にゲッターロボの3を買わせてた。「絶対こっち持ってるほうが渋いから」みたいなことを言って。
飯塚 それで超合金のコンバトラーVが完成するのは楽しいですよね。
Bose 楽しい。
ANI 完成したらイッキに興味なくなるけどね。1回やって、「へー」って。
Bose クリスマスとか誕生日とかに買ってもらえるだけだから、欲しい期間が長かっただけに、完成しちゃうとすぐ飽きる。大人になったら、それを大人買いする時期ってあったけどね。アニは仮面ライダーのLDボックスを買ったりしてたもんね。ライダーカードがついてるってだけで。
ANI その後、DVDボックスも買いました(笑)。
Bose アニはガチャガチャ時代もヤバかったもん。ガチャガチャ入れる袋っていうのがあって、それをゴレンジャーのガチャガチャでパンパンにして持って帰ってくるっていう。狩りして来たみたいな感じで。
全員 ガハハハハ。
ANI だって回しても回しても出てくんの黄レンジャーばっか(笑)。で、5個そろった瞬間に興味なくなるっていう。
飯塚 子供の頃思いましたもんね。ガチャガチャが空になるまでやってみたいって。
Bose 空になるまでやったよ、アニは。
ANI 意外と、ブックオフ行けば5体そろって売ってたりするんだよね。
飯塚 しかも、回して買うより安かったりするんです。でも自分で当てたいんですよね。
ANI そう、当てたいのよ(笑)。
生きものと家電の融合で生まれたキャラです。
Bose 人形遊びがオリジナルになったのはいつ頃からなんですか? 自分のキャラを作り出したのは。
飯塚 子供の頃からそうでした。ただ、同じキャラで物語を作るのは限界があるんで、聖闘士星矢とかはアタマを取って、自分が描いたキャラを被せるっていう。
SDP ガハハハハ。
Bose いいねえ! じゃあ、そっからもう始まってるんだ。
飯塚 そうなんです。カスタマイズすることでオリジナルにしていって。壊れちゃったやつを別の人形にくっつけたり。
SHINCO やっぱ『トイ・ストーリー』だ。
Bose だね。やっぱすぐなくすもん、パンチ的なものは。
SHINCO だから、だいたい手がないのばっか。手の先がないの。友達とかのも。どっか飛んでっちゃうから。
ANI しかも予備って売ってないし。
飯塚 ちゃんと1個づつしか付いてないんです。
Bose だから、これはここにはめられるとか、そうなってくよね。
ANI 仕方なく改造。
Bose あ、そうか、だから、『フォーカード』もこうなんだ。バールベアの手にはバールがついてるんだもんね。
飯塚 それと、仮面ライダーV3のカメバズーカとかテレビバエとか、生きものと家電の融合みたいなのもいいなって。
SHINCO それ、アニ君と一緒!
Bose そうだよ! アニもそれやってる! スマホカメレオン!
飯塚 そうなんですか!

ANI そうです。スマホカメレオンはオレが考えたオリジナル怪人。いまだったら何かなあと考えて。もともとカメレオンが好きなんですよ、動物として。色が変わるから。それとスマホが融合したら最強だなって。
飯塚 すごい!
Bose それをライブ会場で売ってるんだもん。グッズで。
ANI 高いんだよ、あれ。ロット数が少ないから。7000円とかになっちゃう。
飯塚 ソフビですか?
ANI そう。
飯塚 いいですねえ~!
ANI しかも、スマホカメレオンは防犯カメラに映らないっていう設定だから。
飯塚 監視社会の目をかいくぐるんですね。
SHINCO 香港のデモにも参加できちゃう。
Bose ドライブレコーダーにも映らない。じゃあ、アオリ運転やり放題。
飯塚 悪いやつですねぇ(笑)。
Bose あ、出してもらえばいいんじゃない? 『フォーカード』に。
飯塚 いいですねえ! 強い怪人役で。でも、今回の撮影は終わっちゃってるんですよ、残念ながら。
ANI じゃあ、次のシリーズで(笑)。
大人になると友達は減っていくんですよ。
Bose 特撮ものって、僕らが大人になった頃にリバイバルもあったというのもあるけど、結局、ずーっと好きだよね。特撮とコマ撮りと。
SHINCO 合成と。
Bose 映画っぽいカット割りとか、アップよりとか、そういう映像表現はどういう影響を受けているんですか?
飯塚 僕は小学校のとき、体が弱くて学校を休みがちで、「午後のロードショー」をわりと観ていたんです。朝イチで病院いって、午後は映画を観るっていう。
ANI テレ東観がち~(笑)。
Bose 当時は何をよく観た?
飯塚 チャック・ノリスとかスティーヴン・セガールとかの。
SDP ガハハハハ。
飯塚 あの頃って、あの時間帯なのに、バンバン血が出るようなアクション映画をよくやってたじゃないですか、『ロボコップ』とか。そういうのを風邪で具合がわるいのにうなされながら観てたんです。僕も強い男になりたいなあって。
Bose 鍛えたいなあって。
ANI モテたいなあって。
飯塚 はい、そういう思いがないまぜになって(笑)。
Bose 人形遊びやってると女の子ウケは悪かったでしょ。
飯塚 高校生ぐらいになると気持ち悪がられるんで、ちょっと遠ざかりました。
Bose そりゃそうだよ。
飯塚 でも大学に入ると心が折れて。結局、癒してくれるのは人形だなと(笑)。
Bose 人形の仲間はできたんですか、大学で?
飯塚 仲間は幼馴染みのカワムラ君です。
Bose 結局、戻っちゃった(笑)。
飯塚 カワムラ君は東京の大学に行ってたんですけど、夏休みになると戻ってくるんで、おもちゃを持ち寄って遊んだり、特撮を撮ったりしてました。
Bose それさ、親は結構心配になるやつじゃないの?
SHINCO 「カワムラ君がまた来てるわよ」
ANI 「プレハブ小屋でなんかやってるわよ」
飯塚 もう、入り浸ってましたね。夜通しケーブルテレビを観たり。
Bose ま、僕らはいまだにそれをやってんだけど。
SDP ガハハハハ。
ANI それしかやることがない(笑)。
Bose だから、友達がいなくなった、僕ら以外。「ヨン・ザ・マイク」にもそういう歌詞を書いたけど、友達ってだんだん増えていくのかと思ってたら、減っていくんだよ。

飯塚 僕の印象として、スチャダラパーって、僕のやってることや好きなことを、現役でずっとやり続けている先輩というイメージがすごくあるんです。やっぱり、減っていくものですか?
Bose 減る。だいたい集まらない。前は僕らのところ(スチャダラパーの部室のようなスタジオ)に10人ぐらい集まっては、みんなでビデオを観るとか、ゲームをやるとかしょっちゅうやってたの。でも、そういう友達はみんなそれぞれ家庭を持って、実家に帰ったり、稼業を継いだりで、1人抜け、2人抜けでいなくなっちゃった。僕ら以外。
SHINCO 僕らと川辺ヒロシ以外いなくなった(笑)。
ANI だからどんどん貴重になっていくよ、話が合うもの同士というのは。
Bose 限られてくるもんね。だから、年齢関係なく、ANIと監督がつながったほうが早いよ。アレ持ってる? みたいな感じで。
SHINCO で、2人で公園で遊ぶんでしょ。スマホカメレオンとあやつり人形持ち寄って。
Bose あと茶筒ね。
全員 ガハハハハ。
Bose 今日はスタンプ持ってないの?
ANI もちろん持ってます。
飯塚 わ、見たいです!
ANI 見る? オレのスタンプラリー。
飯塚 (スタンプノートを見る)うわあ!
ANI えーっとね、これはローソンのスタンプ。こっちは、東急線のやつ。JRもあるよ。
飯塚 すごーい!
ANI あと、サミットもやってる。
Bose サミット? スーパーのサミット?
ANI そう。サミットは全店でスタンプやってんの。
飯塚 サミット全店制覇は果てしなさそう(笑)。
SHINCO え、このノートだけ持ってサミット行ったりローソン行ったりするの?
ANI そりゃ一応、いろいろ買って、ですよ。ヤバいでしょ、スタンプだけは。
Bose 店に入るなり、「スタンプどこですか?」
全員 ガハハハハ。
ANI しかもローソンはレジ前だからさあ、結構アレなのよ。こりゃ堂々といくしかないなと。「スタンプラリーやってますけど、何か?」ぐらいの態度で。
全員 ガハハハハ。

SHINCO 怖い感じを出して(笑)。
Bose 店員をにらみつけながら(笑)。
ANI しかもスタンプって子供用だから、夜6時とかで終わっちゃうのよ。
SHINCO 大きいお友達だもんね、アニ君は(笑)。
Bose 夏休みが続いてるんだね。
そして「シーズン3」は裏世界へ!?
Bose 正義のヒーロー貴船君、銀河怪獣のよっしー、ダークヒーローの黒ちん、悪の怪人バールベア。『フォーカード』のキャラクターをこの4人にしたのはどういう経緯なんですか?
飯塚 僕は、ヒーローも好きだし怪獣も好きだし怪人も好きだし、正義も悪も全部好きだから、ごちゃまぜなのが好きなんです。社会的な立場は違うけれど、幼馴染みだからシェアハウスで共同生活するという話なんですが、枠をとっぱらって気が合えば一緒でもいいんじゃないかなって。カワムラ君とはいまでも仲良しですけど、小学校時代はもうちょっと人数がいたんです。離れていってしまった友達が、ちょっとモチーフになってたりとか。
SDP あー。
Bose 監督自身はどのキャラに自分を投影してるんですか?
飯塚 僕は、うっすら全員ですね(笑)。
ANI 全部に要素がある。
SHINCO 作家っぽいね、それは。
Bose カワムラ君は?
飯塚 カワムラ君は正義のヒーローです。むちゃくちゃ言ってるんだけど、みんなついてっちゃうっていう(笑)。
Bose 赤レンジャー的なね。カワムラ君はいまも手伝ってるんですか?
飯塚 僕は、定職に就かずに人形遊びしていて楽しかったんですが、カワムラ君はその社会的に何者でもない状況に不安になってしまってですね……。
SDP ガハハハハ。
飯塚 だから、みなさんの「ヨン・ザ・マイク」には、『フォーカード』に込めきれてなかった僕のメッセージみたいなのがすごく入ってて。
Bose 良かったあ! 僕らもシンパシーを抱いたから。最初にこの話がきたときに、話だけ聞いてるとよくわからなくて、映像を見せてもらって「だろうね」って(笑)。話来るよねって。そういうのは感じましたよ。しょうがない。業ですよ。
飯塚 ヒップホップって、言葉がすごく入ってくるから、影響を受けやすいというか。その日にあんまり聞きすぎると、そっちに引きずられちゃうことがあるんですが、「ヨン・ザ・マイク」は毎日聴いて自分を鼓舞してるというか。頑張ろうって気にさせてくれるんです。
Bose こんなオレでもいいんだ的なね。まだやってる人がいるっていう安心感ってあるもんね。僕らの上には、みうらじゅんさん、久住昌之さん、根本敬さんという、僕らが「ビッグ3」と呼ぶ人たちがいるんだけど、みうらさんたちが久々に集まったとき、そこに石ちゃん(石塚英彦)のサインがあったんだって。そうしたら、みうらさんが「石ちゃんのサインを写真にとって集めてる」って話になったらしく。食べものの写真を撮るんじゃなくて、「まいうー!」の色紙を集めてるって、やっぱすごいなって、久住さんもさすがと関心してた。
飯塚 すごいですねえ。
Bose そういうのに勇気をもらう。これでいいんだなって。だから、方向性はそれでいいんです。人形もスタンプも。ただ、『タモリ倶楽部』に呼ばれるかどうかはビミョーだけど(笑)。
ANI 呼ばれないよ~(笑)。
飯塚 呼ばれないラインの「美しさ」みたいなものもあると思うんです。商業的価値とかに結びつかない不思議なライン。
Bose そういうモヤモヤが僕らだと曲になり、監督だと人形劇になるんだもんね。
SHINCO そうだねえ。
Bose で、いまやってるのは「シーズン2」だよね?
飯塚 そうです。
Bose Netflixドラマの『ストレンジャー・シングス』もそうだけど、シーズンを重ねていくと、元の話が関係なくなってくる、みたいなことってよくあるじゃない。それを期待だよね。もっと違う話になっていってほしい。
飯塚 1から2でも結構変わりました。ヒーローの話が関係なくなってきちゃいましたもん(笑)。
Bose でしょう。だから、「シーズン3」は全員バラバラになっちゃうとか、そういう展開もありえるよね。会えない! みたいな。別の家で別の生活が始まっちゃった! とかさ。
ANI 『ストレンジャー・シングス』的な展開もありじゃない?
飯塚 1人だけあっち側の世界に吸いこまれて(笑)。
全員 ガハハハハ。
Bose いいね、それ! 家がぐるんとまわって裏側の世界に行くの。
飯塚 露骨に影響を受けて(笑)。

ANI 『フォーカード』はグッズ作ってないの?
飯塚 以前、このキャラとは似ても似つかないようなソフビを作ったことはあるんです。デフォルメされて距離があるほうが面白いかなって。みなさんもそうでしょうけど、僕も、ソフビの人形で「あれ、コレ、テレビで観るのとはなんかちょっと違うな」っていう原体験があるから、そういうのを現代のお客さんにも経験してもらいたいなって。ちょっとの虚しさがあるのがいいなって(笑)。
ANI ある。ガッカリっていう(笑)。
Bose それは、売ったんですか?
飯塚 イベントをやったときに販売して。400人くらい集まってくれたんです。
Bose 大きいお友達がたくさん来たんだ(笑)。
飯塚 というか、「シーズン1」で主題歌を歌ってくれた踊Foot Worksさん、ミツメさんが出てくれたりしたので、ほとんどアーティストさんのファンの方々だったんですが、その中にも、ああ、同じ匂いのする人だなっていう人達はチラホラと(笑)。
Bose あ、じゃあ、そのソフビを使えばいいじゃん。ひっくり返って裏側の世界にいったら、全員これだった、っていう(笑)。
ANI 全員ヘタ版になってる!
Bose しかも、苦しい。なんか息苦しくなるんだよ、これになっちゃうと(笑)。
飯塚 いいですねえ。裏世界。壁の向こう側から、なんかしらの意思の疎通をして。
ANI それぞれの出生の秘密とかもね。
SHINCO 前日譚みたいなやつね。
ANI マーベル的な展開じゃないすかね。
Bose 「ザ・ムービー」に向けて。
飯塚 こぎつけたいです!
ANI じゃあ、まずはポケモン映画のおまけ映画として(笑)。
飯塚 やりたいですね。『バールベアの夏休み』(笑)。
全員 ガハハハハ。

作詞:スチャダラパー、ロボ宙、かせきさいだぁ
作曲・編曲:スチャダラパー
歌:スチャダラパー
レーベル名:ZENRYO RECORDS

<コメント>
どうかと思うくらい変わらないメンツと、変わらないやり方で、新しい曲が出来ました。本編とあわせて是非お楽しみください。
スチャダラパー

作詞:川辺素
作曲・編曲:ミツメ
歌:ミツメ(スペースシャワーミュージック)

2009年、東京にて結成。4人組のバンド。
2016年6月に4thアルバム「A Long Day」をリリース。
国内のほか、インドネシア、台湾、上海、アメリカなど海外へもツアーを行い、活動の場を広げています。オーソドックスなバンド編成ながら、各々が担当のパートにとらわれずに自由な楽曲を発表し続けています。そのときの気分でいろいろなことにチャレンジしています。
2017年12月にニューシングル「エスパー」をリリース。
左から:大竹雅生(Gt)須田洋次郎(Dr) nakayaan(Ba)川辺素(Vo,Gt)
<書きおろし楽曲への想い>
初めてエンディングテーマの書き下ろしという機会を与えてくださってありがとうございます。今回でミツメにとって新しい制作のチャンネルが出来たように思います。作品のムードをうまく捕まえられてたら良いなと考えながら作っていましたが、逆に僕らに寄り添って下さったようなエンディング映像にとても感動しました!フォーカードを毎週楽しみにしている方も、ミツメを好きでいてくれている方も皆さん是非エンディングまでご覧になって下さい。
ミツメ

作詞・作曲・編曲:踊Foot Works
歌:踊Foot Works(Q2 Records)

2020年型のグルーヴとポップネスをリプレゼントするTOKYO INV.(トウキョウアイエヌビー)
Pecori(rap)、Tondenhey(guitar)、fanamo'(chorus)の3人で2016年12月に始動。
2017年3月に全曲オリジナルトラックからなる『ODD FOOT WORKS』をシェア。
耳の早いリスナーのみならず多くのアーティストからも注目を集める。
5月の初ライブを経てサポートメンバーだったSunBalkan(bass)が正式加入。
7月より下北沢ガレージにてイベント”TOKYO INV.”を開始。
(これまでにMONO NO AWARE、石毛輝、呂布、LEO今井、FIVE NEW OLD、オカモトレイジらが出演)
7月28日、FUJI ROCK FESTIVAL’17に出演。
8月9日配信のペトロールズのカバーEP『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』に参加。
(w/ MONO NO AWARE、中村佳穂、呂布)
11月8日、O-EASTで開催された”PACHINKO vol.1”に出演。
(w/ 長岡亮介+STUTS、ORGE YOU ASSHOLE、Yogee New Waves、MONO NO AWARE、中村佳穂)
12月22日、1st CD『Arukeba Gravity - ep』ごく一部ショップ限定で突如リリース。
12月31日、初主催イベント『Arukeba Gravity 2017-2020@WOMB大晦日LIVE』開催。
(w/ Ryohu、imai(group inou)、Ryo Takaiwa(JAZZ SET)、Giorgio Givvn(DJ))
<書きおろし楽曲への想い>
勝手にスタンドバイミーやグーニーズ的な、モラトリアム期ならではの成長や葛藤を、意識して書き下ろしました。
お先に『フォーカード』の1話を拝見させて頂きましたが、とても内容とリンクしていて、まさに主題歌といった感じです。ありがとうございます。
踊Foot Works