2025.12.14(日)放送
海藻を食べつくし、増殖し続けるウニの仲間「ガンガゼ」。
温暖化の影響が、豊かな海に忍び寄ります。
長崎・五島の海では漁師とスタートアップがタッグを組み、
ある島では、海藻を増やす最先端の研究が。


石田ニコル
ダイビングの上級ライセンスを持ち、
サンゴの保護活動にも参加してきた、
海の守り人の一人。海の異変に立ち
向かう人々のチャレンジを一緒に
応援しましょう。


ヤップ・ミンリーさん
ゴーストギア対策に挑む、国際的な環境保護団体WWFジャパンのメンバー。お手製のGPSロガーを使って、調査・回収を行っている。

柿崎 智広さん
すみだ水族館の副館長。長年アオウミガメの保護活動に携わり、水族館内では環境問題の発信にも取り組んでいる。

森川 純さん
五島列島、福江島の若手漁師。磯焼け対策として、ウニの仲間「ガンガゼ」の食用利用を目指して奮闘している。

葛山 舞さん
横浜にあるイタリアンレストランのシェフ。ガンガゼを食べることで海が守れると知り、ガンガゼ料理を提供している。

須田 健太さん
建築資材メーカー「岡部」の海洋事業部門営業担当。藻場礁の資材と併せて海藻の知識を提供。ブルーカーボンにも取り組む。

林 裕一さん
「岡部」の研究員。隠岐諸島の海藻研究所に務め、海藻を育て増やす役割を担っている。須田さんとは10年来の最強コンビ。

光村 智弘さん
熱海にある未来創造部の副社長。岡部の技術力とタッグを組んで、熱海のマリーナで藻場再生プロジェクトを開始した。

石川 空さん
東京のスタートアップ「ミズリンクス」の若きエンジニア。五島列島の磯焼け対策プロジェクトのリーダーを務める。

野城 奈帆さん
ミズリンクスの社長。海中モニタリングのシステム開発・自治体等への販売を行っている。五島列島での実証実験にも参加。


海の中に揺れる物体。これは「ゴーストギア」と呼ばれる捨てられた網などの漁具からなる海ごみ。
船の運行の妨げになったり、魚を捉えて殺したり、漁業にも打撃を与え、海の生態系にも大きな被害をもたらしています。

このゴーストギア対策に挑む守り人たちがいます。リーダーは国際的な環境保護団体のメンバー、ヤップ・ミンリーさん。
ゴーストギアは発見も回収も難しく、対策も遅れているのだそう。そこで2年かけて全国7カ所の調査・回収を行いました。

「人間は地球に負荷をかけずに生活することが無理なので、自分の負荷分だけでも0にしたい。」とヤップさん。
ゴーストギア対策は困難な活動ですが、諦めずに取り組んでいくそうです。

今回のナビゲーター石田ニコルさんが最初に訪れたのは「すみだ水族館」。
2人目の海の守り人は、すみだ水族館の副館長、柿崎智広さんです。

この大きな水槽は小笠原諸島の海を表現した水槽。
身近な世界遺産の貴重な海の環境を、もっと知ってもらおうと、柿崎さんが自ら小笠原諸島に足を運んで採取したのだそう。

また、長年取り組んでいるのが、絶滅を防ぐためのアオウミガメの保護活動。しかし、アオウミガメが抗えないのが地球温暖化やごみ問題です。
水族館内ではウミガメと共に展示によって環境問題を伝える活動も続けています。

次に訪れたのは、長崎県・五島列島の福江島。3人目の守り人は、福江島の若手漁師・森川純さん。
アワビやサザエが年々獲れなくなり、漁業の厳しさに直面していました。

その原因の一つが、全国的に問題となっている「磯焼け」。ウニなどによって海藻が食い尽くされ、生態系が壊れてしまう現象です。
海に潜ると、海底にびっしりとウニの仲間「ガンガゼ」がいました。大量過ぎて全く作業が追いつきません。

そこで、ガンガゼが食材活用されれば、ガンガゼを獲る漁師も増え、磯焼け対策につながるのでは?と考えました。
しかしガンガゼは長いトゲの処理に手間がかかる上、普通のウニの半値でしか売れません。

11月中旬、森川さんは東京で行われた長崎県主催の食材PRイベントに赴き、取引先を増やそうと試みました。
厳しい意見もありましたが、「いい勉強、いい経験になった。クリアできるように頑張りたい!」と、前向き。チャレンジはまだまだ続きます。

森川さんのガンガゼが食べられるレストランがあるということで、石田ニコルさんが横浜へ。
4人目の守り人は、イタリアンレストランimPasto シェフの葛山舞さんです。

ガンガゼをたっぷり使ったブルスケッタやパスタをいただきます。
とろけるようなウニが美味しいとされている中で、ガンガゼはコリコリとした食感。「思っていたより香りがすごい!美味しい!」と、ニコルさん。

森川さんと出会い、ガンガゼが食べられることを知った葛山さん。
食べることによって海が守れるのなら…と、ガンガゼ料理を作り始めました。海を守るため、これからどんどん広めていきたいそうです。

続いてやってきたのは、創業100年をこえる建築資材メーカー「岡部」。
5人目の守り人は、須田健太さん。海洋事業担当の営業マンです。

岡部は、陸上建築の技術を海の分野にも生かして「藻場礁」を開発。
海藻の研究所で育てた海藻の苗と、ノウハウまでをセットで提供できるのが強みで、磯焼けから藻場を再生させたいという自治体などがお客さまです。

さらに、藻場再生を通じた「ブルーカーボン」にも挑戦。海藻が増えると、大気中の二酸化炭素を減らすことにもなります。海藻は魚の餌にもなり、隠れ家にもなる、沿岸の生態系にとても重要な役割も持っています。
単に藻場礁を売るだけでなく、環境改善にもつながるビジネスなのです。

ところ変わって静岡県熱海市。
このマリーナ内で岡部の海藻を使った藻場再生プロジェクトが行われています。
須田さんと一緒にいらっしゃったのが、6人目の守り人。未来創造部の副社長、光村智弘さんです。

未来創造部は、藻場の再生に事業として取り組む熱海の会社。
自社では海藻をタネから育てることが難しかったため、岡部の技術力を頼りにしているのだそう。

今回行われた実地調査で、海藻の苗がしっかり残り、成熟もしていることがわかりました。
「藻場再生の可能性を感じた!」と、岡部の海藻を高評価。
追加で海藻の注文をする可能性も出てきました。

こちらは島根県隠岐諸島 海士町にある岡部の海藻研究所。
全国各地の海藻の種が保管され、人工的に海藻を育てる技術研究も行っています。
須田さんは、7人目の守り人・海藻研究者の林裕一さんに、熱海プロジェクトの相談をしにきました。

研究所内には、全国各地の海藻の種が保管されています。
また、天然の海藻から種をとるだけでなく、人工的に育てて種をとり、増やす技術開発も行われていました。

相談が終わった翌日、2人は潜水調査へ。調査していたのは、10年以上前に海士町との共同事業で沈めた、アワビを増やすための漁礁です。
こうした追跡調査も、重要なミッションの一つ。海士町には定期的に報告をしています。

自社の社長にもプロジェクト進捗を報告。
実は岡部の海洋事業、売り上げ面ではまだ成長途中。
それでも日本が海に囲まれた国である強みを生かし、海外展開も見据え、新たな市場を切り拓いていきたいと社長は語りました。

再び、長崎県・五島列島の磯焼けの対策。
挑んでいたのは、平均年齢23歳という東京のスタートアップ「ミズリンクス」です。
8人目の若き海の守り人はプロジェクトのリーダー、石川空さん。

ミズリンクスは、海中をモニタリングするシステムを開発し、自治体などに販売しています。
今回、五島列島では、海上にブイを複数浮かべてwifi中継し、遠距離から海中確認するという実証実験を行います。
しかし陸上での予備実験では問題が発生。解決出来ないまま時間切れとなってしまいました。

不安と安堵、五分五分の中で迎えた、五島列島での実証実験。9人目となる海の守り人、ミズリンクス社長の野城菜帆さんも参加します。
また、通信インフラなどを手がけるNTTドコモビジネスのチームも協力企業として合流しました。
磯焼け対策につながるとあって、地元の漁師たちも積極的に協力しています。

そして守り人たちの挑戦は…大成功!
「日本が持っている海の資源やポテンシャルをもっと生かし持続可能にしていく。新しい技術を使える形にして、人がもっと幸せに生きる社会に貢献していきたい」と、石川さん。
海を守る、大きな一歩を踏み出すことができました。