日経スペシャル/ガイアの夜明け

-時代を生きろ!闘い続ける人たち-

Tuesday  22:00  ON AIR/Navigator:役所広司/Narrator:蟹江敬三

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日経スペシャル「ガイアの夜明け」
2003年9月16日放送

◆ 第 75 回 ◆

予告
13億人に届けろ
~中国に挑むニッポン式宅配~

「世界の工場」、「世界の市場」として経済発展を続ける中国。
その安価な労働力と巨大な消費地を求めて、日本企業も次々と進出している。
その中国で、次のビジネスチャンスとして、いま「物流業」がクローズアップされている。
これまで中国では、ただ「モノを運ぶ」ための「運送」がほとんどで、 「モノを運ぶために金を払う」という発想が乏しかった。各メーカーも外部に頼まずに自社のトラックで貨物を運送するケースが多かった。また、内陸では山賊が出たり、沿岸部では交通渋滞がひどいなど、交通インフラも悪い上に、地域や業種ごとの規制も厳しく、物流業の発展を妨げていた。
しかし最近、市場の経済化によって、経営の効率化を図ろうとする経営者が増えてきたため「物流」という言葉が認知され始めた。また中国に進出した日本を含む外資企業にとっても、中国の運送会社ではモノが壊れたり、配送が遅れるといったトラブルが多く、 欧米や日本の物流業者への期待が大きくなっているのだ。
さらにWTO加盟による規制緩和の促進で、貨物の争奪戦が始まっている。
予告 その中国で日本企業として初めて宅配便事業を始めたのが「佐川急便」。これまで宅配便という存在がなかった上海で、ドライバーの育成から市場の開拓までゼロからのスタート。
開業から半年が過ぎた現状を取材。また、厳しい規制とインフラの悪さから困難とみられていた全国規模での宅配便ネットワークの動きも出始めた。

 一方、去年の夏に中国に進出し、現地生産・現地販売を軌道に乗せた「ヤクルト」。
1年がたって、この夏から日本と同様の訪問販売を開始した。
中国初のヤクルトレディー。その研修から販売開始までを完全密着。  SARSによって冷や水を浴びせられた中国ビジネスだが、収束とともに、再び活気を取り戻してきた。
 番組では、「日本式ビジネスモデル」で勝負に出た、「佐川急便」と「ヤクルト」の両社の活動を追いながら、「中国ビジネス第2ラウンド」の現状を探る。


■中国初の日本企業の宅配便

 今年7月、40度の猛暑を記録した上海の街を、日本ではお馴染みの青と白のストライプシャツを着た若者が、荷物を抱えて汗だくになって走っていた。李旭(りきょく)さん(22歳)。6月から4期生のドライバーとして上海大衆佐川急便で働いている。
 上海大衆佐川急便は、佐川急便と住友商事が、上海の貨物運送業大手である大衆交通と合弁して設立した、宅配便事業会社だ。今年の1月から、まずは上海市内の企業から企業、企業から個人に限定して営業を開始した。日本のビジネススタイルをそのまま持ち込み、運転手が集荷や配送業務以外に営業活動まで手掛ける「セールスドライバー制」を導入。日本式のあいさつや「とにかく走れ」という体育会系のノリで中国人ドライバーたちを育てている。
 しかし、開業から半年が過ぎたいま、売り上げのほうは伸び悩んでいる。中国に進出した日系企業からの評価は高いものの、現地の中国企業の開拓に手こずっているのだ。「荷物は安く届けてくれればいい」というのが現状で、インターネットで荷物の所在地を確認できたり、貴重品や壊れ物を安全に届けるといった、宅配便がもつ「付加価値のサービス」がなかなか理解されないのだ。
 上海では、バイク便かリアカーつきの自転車が主流。人件費の安い中国では、配達コストも安いし、交通渋滞のひどい市内では車よりも速く、連絡すれば1時間で配達してくれる。システム化されているために配達に半日かかってしまう宅配便は不利な立場。
 総経理の高山善行(たかやまよしゆき)さん(41歳)は「種まきの期間に時間がかかっている」と厳しい表情。8月にオープンする近代的な新配送センターの立ち上げも遅れ、日本の本社から来た副社長にもプレッシャーをかけられる。中国初の宅配便は成功するのか。


■ヤクルトレディーが大陸を走る

 一方、去年の6月、中国に初めて進出したヤクルト。広州での現地生産・現地販売を軌道に乗せた。SARS騒動で進出企業各社が苦しんだ時も、「ヤクルトはSARS効く」という噂が広まり、かえって売り上げは伸びた。その勢いでこの夏、ついに「ヤクルトレディー」による訪問販売を始めることにした。
 7月、面接を経て選ばれた10人のヤクルトレディーが完成したばかりの配送センターに集まってきた。彼女たちの研修を担当するのは、営業部主任の藤川伸生(ふじかわのぶお)さん(43歳)。1ヶ月間にわたり、商品の説明から担当地域の回り方まで、日本式の訪問販売方法を徹底的に教え込む。しかし、研修が始まって早くも2人が脱落。残りの8人もなかなか予定通りの効果が上がらない。さらに、治安が悪い広州では、団地やマンションがほとんどフェンスに囲まれている上に、ガードマンの警戒が厳しく、営業のために中に入ることができない。
 8月の訪問販売開始までに、客を確保できるのか?藤川さんとヤクルトレディーたちは、起死回生の作戦に打って出た。


■強敵出現

 上海市内での宅配便事業に苦しむ佐川急便だが、次々とビジネスの拡大攻勢をかけていた。9月からは華東地区の宅配を開始。さらに10月からは北京市内の宅配便事業もスタートさせ、あわせて北京~上海間の宅配も始める。
しかし、そこには強敵が立ちはだかっていた。その名も「宅急送」。日本に留学したことがある中国人の総経理が、日本の宅配便のサービスに感嘆して1994年に立ち上げた会社だ。1台の小型ワゴン車と社員6人で始めたが、中国の経済発展に歩調を合わせるように拡大。いまや全国150の支店と3800人の従業員を擁する巨大な企業に成長した。実は宅急送も、「市内の宅配は商売にならない」として、都市と都市を結ぶ宅配に専念している。
 「もうあとには引けない。やるしかない」と言う、上海大衆佐川急便の総経理・高山さん。果たして、飛脚のマークは巨大な中国大陸を攻略することができるのか。
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