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日経スペシャル「ガイアの夜明け」
2004年2月3日放送
◆ 第 94 回 ◆
クルマ新世紀
~未知の領域に挑戦する男たち~
現在、世界の自動車開発は二大テーマである「安全」と「環境」を無視しては成立しなくなっている。世界各国で開かれているモーターショーを見ても、従来はハイパワーのマシンを作ることにしか興味がないのではないかと思われた欧米メーカーも積極的にエコカーへの参入を表明し始めている。
そんな熾烈な競争の中、日本の自動車メーカーも次世代自動車の覇権を握ろうと開発に取り組んでいる。今回は、「環境」面で世界唯一の水素ロータリーの開発に成功したマツダと、「安全」面では世界最高水準のコンピューターによる自動制御「IVX」を開発したスバル(富士重工)に注目する。
それぞれ、オリジナリティーという点では白眉の存在だ。両社ともに、まさに「ナンバーワンではないがオンリーワン」的なメーカー。トヨタ、日産、ホンダといったシェア上位メーカーとは一線を画す「グローバルニッチ」と言える。そんなメイド・イン・ジャパンにこだわる国産自動車メーカーの未知への領域への挑戦を追った。
★
事故を起こさないクルマを作れ・スバルの先進
「IVX」という自動制御システムは対向車の存在や障害物をドライバーに知らせ、ステアリングとブレーキを制御するという画期的なもの。似たような技術は他社も開発しているが、富士重工ではステレオカメラによる高精細認識をはじめとした自社開発のノウハウで他の追随を許さない。
2003年秋、富士重工の技術者が自動車メーカーの関係者を集めたセミナーで講演したところ、終了後多くの参加者から質問攻めにあった。それが「IVX」開発責任者、樋渡穣さん。彼の持つアイデアと交通事故ゼロ社会への熱い思いは、トヨタや日産など競合他社のエンジニアからも尊敬を集めている。
今や、GPSと連動させた無人走行や、障害物をただ避けるのではなく避けたあと元の軌道に修正することまで実現可能なところまできていると、樋渡さんは語る。 「『ナイトライダー』って覚えてます?アメリカのドラマで意志をもった車で…」「あそこまでは行きたいよね」
笑いながら話す樋渡氏の夢は手の届くところまで来ている。 そもそも富士重工の前身は戦闘機「疾風」などで有名な中島飛行機。そのDNAは竹中恭ニ社長以下、社員全員に受け継がれているかのようだ。樋渡さんもそこに憧れて20年前に入社してきた。それほど大きくない自動車メーカーなのに、なぜ最先端の製品が生み出せたのか?そのクラフツマンシップの原点を探る。
★
ロータリーエンジンにこだわる・マツダの頑固さ
2003年秋に開催された自動車の祭典、東京モーターショー。各社が燃料電池車やハイブリッド車を出してきた中、マツダは伝統のロータリーエンジンによる「水素ロータリー(RE)」を出展した。マツダはなぜあえて非主流の道を選んだのか?
「高価な燃料電池車より生産コストが安く済み、なおかつ通常のエンジンより燃焼効率が高く環境にも優しい」と語るのは山本順一・技研所長。彼が率いる『水素REチーム』は社内横断的に様々な人材を各部署からひっこ抜いてきた野武士軍団だ。事業部として独立しておらず、社内プロジェクト的な存在。それだけに、潤沢な予算もなく社内での認知度は低い。むしろ出たばかりの新型車「アクセラ」や、人気で納車待ちの相次ぐ「RX-8」で忙しい営業部門からは白い目で見られる“鬼っ子”でもある。それでも皆、ロータリーエンジンを作りたくてマツダに入った男たちばかり。非主流などという風評は全く意に介さないサムライたちだ。
彼らの信念とは「車は電池で走る物ではない。内燃機関で走る物」。 ドライブの楽しさ、乗りこなす楽しさは、モーターにはないエンジン独特のもの。 ともすればエレクトロニクス偏重になりがちな現在のエコカー開発をなんとかエンジニアの手に取り戻したいという熱い思いから選んだ切り札がこれ!
「水素を直接燃やすのにはREが一番向いている」。これが山本さん以下皆の結論だった。
しかし、理論上はすぐれていても結果が伴わない。とりあえず東京モーターショー向けになんとか完成させた試作車は燃費が悪く、数十キロで停止してしまう。何度やってもエンストしてしまう。行き詰まっていたある日、今まで一度も乗ったことがない社長が年明けにも水素REに試乗することになった…
はたして…
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