15世紀以降、ヴァチカンの歴代教皇たちは、フィレンツェで活躍していたルネサンスの巨匠たちを集め、ヴァチカン宮殿を華麗に彩らせることでその権威を示し、その持てる力のすべてを出させて、最高の芸術をヴァチカンに残させた。 更に16~17世紀にかけて、ヴァチカンの支配下にあったローマの街で、バロックの芸術家たちを、時には闘わせ、ある時は協力させて遺憾なく力を発揮させ、ローマをダイナミックでスペクタクルな都市に変貌させたのです。 そこで番組では、放送700回に相応しく、小林薫がローマを訪ね、劇的に変貌した街を体感するとともに、その陰で繰り広げられた芸術家たちの苦悩やライバルたちとの知られざる物語を探ります。
今回の作品は、美の殿堂・ヴァチカン美術館所蔵の、ラファエロ作「署名の間」にあるフレスコ画「アテネの学堂」。描かれているのは、アリストテレス、ピタゴラスなど、当時を代表する哲学者や科学者たち。それらは、誰もが知るルネサンスの巨匠…ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、そしてラファエロ自身をモデルにしています。さらに、ラファエロと反対に女性がひとり。ある美術研究家は、女性の表情から「ラファエロが彼女に特別な愛情を持っているのでは」と分析します。そんな2人の関係を解き明かす作品が、ローマに残されていました。ラファエロが描いた肖像画「ラ・フォルナリーナ」。彼にしては珍しい裸婦像。果たして彼女は誰なのか?2枚の絵のつながりとは?2人の間に秘められた物語と、新たな謎に迫ります。
60分スペシャルの後編では、ヴァチカンを中心に繰り広げられたルネサンスとバロックの物語を探ります。
まずはヴァチカンの知られざる美の旅へ。今回、一般には非公開の「ニッコリーネ礼拝堂」に入ることが許されました。注目すべきは、フラ・アンジェリコ作のフレスコ画。教皇ニコラウス5世が彼を呼び寄せたことで、ルネサンスの始まりを迎える事に。この作品は、ある画期的な技法によって描かれていたのです。 そして「システィーナ礼拝堂」には、ルネサンス全盛期の代表的な作品…ミケランジェロの天井画があります。天地創造、創世記の場面を、4年の歳月をかけて一人で描きあげました。しかし、なぜ彫刻家のミケランジェロが、天井画を任されることになったのでしょうか?その裏には、発案者である建築家ブラマンテの、嫉妬と欲望のドラマが隠されていました。
さらに、17世紀ローマ再生の立役者であり、バロックの旗手・ベルニーニの巨大な噴水、そんな彼とライバル関係にあったボッロミーニの教会も訪ねます。普段は公開されていないスパーダ宮の庭にも特別に入ることができました。そこにはバロックらしい、驚きの仕掛けが…!
ルネサンスからバロックへ。
教皇に愛された芸術家たちによって劇的に変貌した街を、500年の時を経た今、解き明かします。