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医療用語解説

Karte#3 卵巣嚢腫(のうしゅ)摘出術 患者:佐和なすか(14歳女児)

卵巣嚢腫は、卵巣に液状成分が溜まって腫れている状態。他の腫瘍と違い、悪性化することは少ないが、破裂や茎捻転になる可能性もあり、放置するのは危険。摘出手術は、通常難しい手術ではないが、なすかは体に一切傷をつけたくないと主張。そこで命は、「NOTES(ノーツ)」という内視鏡手術を提案する。
ノーツとは、口、膣、肛門という人体に最初からある自然な穴から内視鏡を通し、体の表面に一切傷をつけずに行う手術。しかし、卵巣嚢腫の摘出となると、膣から近すぎて切除が難しい上に、そもそもなすかのように小児の場合は膣からのノーツは行えない。
そこで命は、口から胃を通して卵巣嚢腫を摘出するという、世界初の方法で手術を行う。

まず、胃に穴をあけ、そこに内視鏡を通した瞬間、胃の内外から当時にサンドバルーンを膨らませて挟み込み、腹腔内に胃液がこぼれて腹膜炎になることを防ぐ。

次に、切除した嚢腫を胃に開けた穴を通して体外に取り出す。
しかし、胃に開けた穴は2センチ程度なのに対し、切除した卵巣嚢腫は8センチ。
吸引器で嚢腫の中身を吸引して縮ませてからでないと胃を通すことができない。

かといって、吸引するために針を嚢腫に刺せば、瞬間的に必ず嚢腫の中身が体内に漏れるので、腹膜播種を起こし、あちこちに腫瘍ができるリスクがある。
命は、切除したままの嚢腫の先端を、胃に開けた穴に突っ込むと同時に、瞬間的にレーザーで嚢腫に穴を開け、それを引っ張ってチューブから歯磨き粉を出すように嚢腫の中身を胃の中に流し込んだ。

実は、胃の中の粘膜は上皮系と言われる組織で、嚢腫の中身が漏れても腫瘍細胞が定着しないため、腫瘍が転移するリスクがない。
命は世界で誰もなしえなかった問題をクリアし、世界初の手術を成功させた。

今回の医療用語解説
ヴェルナー・フォルスマン(Werner Forssmann 1904‐1979)
人間の心臓に初めてカテーテルを通したドイツ人医師。
1929年、自分自身に部分麻酔をかけ腕を切開し、静脈からカテーテルを挿入。静脈を突き破る危険性がある中、命がけで自分の心臓の右心房までカテーテルを通した。1956年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。
サンドバルーンカテーテル
固定用風船のついた穿刺針。
針の先端近くにバルーンがふたつ並んで付いていて、針を刺すと同時に内側と外側で風船を膨らませてはさみこみ、内容物が漏れないようにする。
腹膜播種(ふくまくはしゅ)
パラパラと種をまくように、腫瘍細胞が周囲にまき散らされて起こる転移。

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©入江謙三・橋口たかし・小学館 ⁄「最上の命医」製作委員会