心タンポナーデは、心臓と心嚢(しんのう:心臓を包む袋状の組織)の間に血液が溜まって、心臓を圧迫している状態。
放置すると心停止する可能性もあるが、瀬名が心嚢の膜を切開して血液を外に出したことで心タンポナーデを解除した。
次に、命の到着まで患者の状態を維持するため、人工心肺装置を接続して血液の循環を確保する。
人工心肺を回すためには、血管にカニューレを入れて血液を灌流(かんりゅう:循環)させなければならない。
通常は、足の大腿動脈からカニューレを入れるが、5歳の患者だと足の血管が細すぎて、研修医の瀬名には困難なため、太い大動脈からカニュレーションを行うことにする。
しかし、患者の大動脈は解離していて、血管の裏側の壁や内膜がはがれた状態。
血管の中に本来の血管の道筋である真腔と、そうでない偽腔が存在し、間違って偽腔の方にカニュレーションしてしまうと内膜ははがれ、血液も循環せず、大動脈破裂が起きるリスクがある。
そこで、瀬名は、ガイドワイヤーとエコーを使うという誰にでも出来る方法で、真腔に入っていることを確認しながらカニュレーションを行い、リスクを回避。
無事に人工心肺を回すことができた。
到着した命は、大動脈の解離の状態を確認。
逆行性脳灌流で脳を保護しながら、大動脈上行弓部(だいどうみゃくじょうこう)を人工血管に取り替える手術を行った。