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医療用語解説

Karte#6 大動脈弁置換手術 患者:折場佳克(14歳男児)

患者の心臓の大動脈弁は、通常3枚のところが生まれつき2枚しかない「二尖弁」の状態。
それにより血流に障害が生じ、大動脈弁の狭窄、閉鎖不全を起こしていた。

大動脈弁を交換する必要があるが、「生体弁」や「ホモグラフト」に交換すると、患者の年齢が若いため、せっかく交換した弁の石灰化が早く5~10年で再手術が必要となり、プロスポーツ選手を目指す患者には致命的。
そこで命は、生体弁もホモグラフトも使わない手術法を提案する。それは、患者自身の大動脈弁と肺動脈弁を入れ替える方法だった。

まず、二尖弁の大動脈弁を切り取る。
大動脈弁を切り取る際、大動脈弁の周りにある「刺激伝導系」という神経組織を傷つけないように大動脈弁と刺激伝統系の間にある「膜性中隔」という透明な繊維組織を切断しようとする。
しかし、患者の膜性中隔は幅が極端に狭いことが分かった。
切断してしまうと後で肺動脈弁を縫い付ける部分を残すことができないため、大動脈弁の一部を残しながら、弁そのものを斜めに切断することにする。こうすることで、刺激伝導系を傷つけず、かつ縫い付ける場所も残して大動脈弁を切り取ることができた。

切り取った大動脈弁の「弁尖(中心の弁の部分)」を、二尖弁から三尖弁の形にして人工血管に縫い付け、円筒状に形成。
それを肺動脈弁として利用した。

切り取ったもともとの肺動脈弁は大動脈弁として利用するが、そもそも肺動脈弁は大動脈弁ほど強くない。
大動脈には肺動脈の何倍も圧がかかるため、そのまま利用すると将来的に弁が広がって役に立たなくなる。
そこで命は、人工血管で弁全体を包むことで強度を持たせた。

今回の医療用語解説
生体弁(せいたいべん)
ブタの心臓の弁
ホモグラフト
人の遺体からとった弁
ロス手術
自身の肺動脈弁を用いて大動脈弁置換術を行う手術。
肺動脈弁を摘出してしまうため、代わりに生体弁やホモグラフトを植え込まなければならない。

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©入江謙三・橋口たかし・小学館 ⁄「最上の命医」製作委員会