教えて!池上さん 選挙の知識を池上さんが詳しく解説!
1.「衆議院」と「参議院」違いは何?
衆議院は、「一般大衆の代表が議論する所」で、参議院は、「衆議院の議論に 参画する所」という位置づけです。法案など重要な問題を“ダブルチェック” する目的があります。
選挙に立候補できる年齢は、衆議院が25歳ですが、参議院は30歳です。 参議院議員の方が“大人”で、“若い”衆議院の判断をチェックできるだろう という考え方なのです。参議院が「良識の府」と呼ばれるのもそのためです。
また、衆議院に解散はありますが、参議院に解散はなく、任期も6年あります。
じっくり政治に取り組めるようになっているのです。
衆議院 | 参議院 | |
---|---|---|
議員定数 | 480人 | 242人 |
任期 | 4年(解散があれば資格を失う) | 6年(解散はなし) |
被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
2.参議院選挙の仕組みは?
都道府県ごとの選挙区と、全国を一つの選挙区にした比例代表があり、「一人2票」投票します。選挙区では、投票用紙に候補者の名前を書いて投票します。比例代表は、候補者の名前か政党の名前を書きます。
候補者の名前と政党の名前がゴチャゴチャになった投票用紙を、どうやって数えるのでしょうか。まず、政党別の得票数を数え、個人名が書かれた票は、その人が所属する政党への投票として計算されます。この合計で得票数に比例した議席が各政党に配分され、個人名で書かれた候補者が得票数の多い順で当選していく仕組みです。
2001年から参議院の比例代表選挙は、あらかじめ政党が候補者の当選順位を決めた「拘束名簿式」から個人の得票数によって順位が決まる「非拘束名簿式」になりました。選挙期間中、候補者は競い合い、有権者は自分が当選させたい候補者を選べる仕組みになったのです。
3.どうして日本の選挙は“うるさい”?
欧米の選挙運動では、戸別訪問が中心ですが、日本の選挙では戸別訪問が認められていません。
現金の受け渡しなど、不正行為を防ぐためなどとして公職選挙法で禁止されているのです。実際は、多数の党員がいる政党が戸別訪問をしたら負けてしまうと考えた政党が戸別訪問を禁止した背景があります。
このため日本では、選挙カーが候補者の名前を連呼して走り回る“うるさい選挙”になってしまっています。
4.投票所に一番のりすると…
投票日の当日、投票所に朝一番に投票に行くと、選挙管理委員の人から、あることを頼まれます。
それは、投票箱がカラであることの確認です。有権者が投票する前に、既に投票箱には某候補の名前を書いた投票用紙がたくさん入っていた、なんてことになったら困りますね。開発途上国や独裁国家ではよくあることですが…。
そこで朝一番に来た人に、投票箱がカラであることを確認してもらおうというわけなのです。一度、投票日は朝一番で投票所に行ってみませんか?
5.なぜ早い?テレビの「当選確実」報道
午後8時に投票が締め切られ、開票が始まった途端にテレビ局の速報で「当選確実」が出ます。これは、あくまでもテレビ局などの報道機関が独自の調査で出しているもので、選挙管理委員会が発表しているものではありません。
報道機関は、選挙が始まると世論調査を行いどの候補が強いか調べます。また、各候補の選挙事務所への取材などで、どのくらい得票できそうか聞き出します。これを「票読み」といい、大体の傾向をつかみます。
さらに投票日には、各地の投票所で投票した人から「誰に投票したか?」を聞き出します。これが「出口調査」です。事前の世論調査などと合わせて、多くの投票所で、たくさんの人に出口調査をすればするほど、どの候補者が当選確実か、いち早く分かるのです。
6.参議院選挙で「復活当選」はありません
衆議院選挙では、選挙区と比例区、それぞれに重複して立候補することができます。小選挙区で敗れても、比例区で復活当選、ということがあります。
一方で、参議院選挙では重複立候補をすることは出来ないため、復活当選はありません。
7.選挙で落選した候補者はお金を取られる?
選挙に立候補するのは“タダ”ではありません。「供託金」という制度をご存知ですか?選挙区は一人当たり300万円、比例代表は600万円を選挙管理委員会に納めなければなりません。
供託金は原則、選挙が終わった後に返還されますが、得票数が有効投票総数のある一定数に達しないと国に没収されてしまいます。冷やかしや売名行為での立候補をなくすための制度なのです。
8.政治を変えるのはあなた!
選挙は、「あなたが払った税金の使い道を決める人」を選ぶのです。
あなたが苦労して納めた大事な税金を無駄遣いされては困りますね。
税金を有効に使うためにも、投票に行き、税金を上手に使ってくれる人を選ぼうではありませんか。
まだ、選挙権を持っていない方は、将来、どの政党、候補者に投票するか、考えておいてください。
そして、あなたの投票で日本の政治を変えましょう!