女子プロゴルファー・安田祐香、プロの世界に挑む19歳 激闘の日々を追う

ゴルフ

2020.9.24


そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

高みに立つ者は、そこに近づく者を知る。渋野日向子は...ある若手を次世代の星と認めた。
それがプラチナ世代の代表格・安田祐香。

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西暦2000年生まれの19歳。
安田祐香はプロになる前から同い年のライバルとしのぎを削ってきた。

アマチュアでの実績は華々しい。高校時代に日本代表に入り、国際大会でも優勝している。
二つ年上の黄金世代、渋野をも驚かせた安田の持ち味、まずは飛距離。決して大きいとは言えない身体で、ドライバーの飛距離は240ヤードに達する。さらにショットの正確さも光る。まるで精密機械。そのうえ、ピンチに屈しないタフさもある。アマチュアでは20試合で予選落ちはわずか一度きり。
そして、まだあどけなさの残る19歳は今年プロになった。

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坂田塾入門からアマチュア時代

安田がゴルフを始めたのは5歳の頃。
父に連れられ、練習場へ通うようになり週3回は欠かさず練習に励んだ。小学3年生のとき、ゴルフスクールの名門、坂田塾の門を叩く。365日、1日も休みがない環境の中、毎日500球を打ち込んだ。

高校2年、日本のアマチュアの頂点に輝くと、その翌年には日本代表のエースとしてアマチュアの国別対抗戦に出場する。
この大舞台で安田は躍動する。ドライバーで距離を稼ぎ正確に寄せる教科書通りのゴルフを続けた結果、日本は歴代最高の2位。安田は個人成績でも2位に入った。

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去年の春、アメリカに渡った安田を空港でつかまえた。

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男子ゴルフの4大メジャーの1つ"マスターズ"開催コースとして世界中のゴルファーが憧れるオーガスタで初めて女子のアマチュア大会が開かれることになり、日本人で唯一の出場権を得たのだ。アマチュア世界一を決める大会で、安田は難しいコースを楽しむような粘りを見せ、3位という快挙を達成した。

プロの道へ

11月のプロテスト、注目株筆頭が安田だった。受験者650人。どれだけ立派な実績があってもこのテストで20位以内に入らなければ、プロにはなれない。
結果は4位。プレッシャーをはねのけ見事一発で合格を果たした。

【動画】プラチナ世代・安田祐香に密着 渋野日向子が認める逸材が悪戦苦闘する日々に迫る/Humanウォッチャー

始まったプロの道。これからは、その一打が生活と未来を変えていく。
心強い後押しもあった。サポートしたいという企業が続々と現れたのだ。契約を結んだ企業は新人としては異例とも言える計6社。将来性を見込まれた証だった。

久々に味わう二度目の屈辱

6月に迎えたプロデビュー戦。思うようにはスコアを伸ばせず初日は82位と出遅れた。
予選通過が賭かる二日目、もし予選落ちすれば賞金はない。ミスをなんとかリカバリーする気持ちのゴルフが続いた。
予選を通過し迎えた最終日、この日の安田は目を引くショットが随所にあった。あとはそれを安定させること。ムラがあっては一流になれない。
彼女はこの大会で28位に入り、138万円の賞金を手にし、この初任給ならぬ初賞金の記念に財布を購入した。稼いだ額が強さを示し、来年のシード権もが、賞金ランキングで決まる世界。自分の力で勝ち取った賞金で買った財布にこれからどれだけ賞金を呼び込めるか。
当面の目標はパーオン率の向上。毎試合トップ10に入れるよう、さらにショットを安定させたい。

しかしその目標とは裏腹にこのあと安田はショットの調子を崩していく。言葉にはできないし原因も不明。それほど微妙な違和感。でも何より、本来のショットではないと体が感じている。

8月、解決の手応えを得られないままプロ2戦目を迎えた。
この試合は所属企業の大会なので無様なプレーは見せられない。しかし・・・活躍を期した大会で予選落ち。アマチュア時代を含めて生涯2度目の屈辱だった。

一歩ずつその先を見据えて

一方、主役の座を奪ったのがプラチナ世代のひとつ下、同じルーキーの笹生優花だった。タイガーウッズの全盛時を思わせる圧巻の初優勝で世間を驚かせた。

続く3戦目、ゴルフの神様に試されているかのような我慢のプレーで予選を突破し、優勝も狙える位置につける。トップを走っていたのは前の大会で名を広めた飛距離ナンバーワンの怪物ルーキー、笹生優花だ。新人らしからぬ隙のないゴルフ。首位を行く笹生を2位の安田が4打差で追う展開になる。
3日目の16番、勝負の一打で安田の放ったボールはまさかの池へ。ここに来てまさかのミスショット。狙い過ぎが裏目に出てしまった。失った流れは戻ってこず、最後は19位でホールアウト。
優勝は笹生優花。10代での連続優勝は宮里藍、畑岡奈紗に続く三人目の快挙となった。

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勝っても負けても、笑っても泣いてもツアーは続く。それがプロ。
安田はまだ爆発していない。
しかし確かな成果をその手で一つずつ積み上げている。