【大阪杯】偉大な歴史、距離の壁、そしてライバル...それぞれが超えたいもの

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2021.4.3

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左からグランアレグリア 、コントレイル 、サリオス

 GIレースに昇格して以来、豪華なメンバーが揃うようになった大阪杯。今年もエントリーこそ13頭と少なめだが、GI馬が5頭集まるなど、例年以上に豪華な印象が強い。

 その大阪杯、全馬がこのレースに挑むわけだが、レースはもちろん、その先にある大きなものに向かって挑む馬が3頭いるように思えてならない。

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無敗で三冠を制したコントレイルと福永祐一騎手 写真:日刊スポーツ/アフロ

 例えば、コントレイル。彼は先輩三冠馬たちが紡いできた「歴史」に挑む。

 3歳時は父ディープインパクトと同じく無敗で牡馬三冠を制したが、年度代表馬にはなれなかった。同年に無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトやGIレース最多勝記録を樹立したアーモンドアイがいるなど、レベルの高い年だったことは確かだが、戦後に入ってからの牡馬クラシック三冠馬で受賞を逃したのはこの馬が初めて。

返す返すもジャパンCでアーモンドアイを捕まえられずに2着に終わったことが惜しまれることになった。

 生涯で初めて敗北を知った前走から巻き返しを狙う今回、その準備はまさに順調そのもの。最終追い切りの後にインタビューに答えた鞍上の福永祐一は「完璧と言っていい馬、プレッシャーはない」「楽しみでしょうがない」とその自信を隠すことなく口にした。

時折笑顔がこぼれたが、終始冷静に語る様子はまるで「この馬に勝てる馬はいない」と言っているようにも見えてくる。

実際、コントレイルが唯一先着を許したアーモンドアイは現役を去っているので、現役馬の中にコントレイルを負かした馬はただの1頭もいないので、ふてぶてしいくらいに自信たっぷりに語る福永祐一の気持ちもわからなくもないが。

 さて、歴代の牡馬三冠馬たちの古馬になってから最初のレースの結果を見ると、こんなデータが見えてくる。

シンザン:65年オープン(1番人気1着)
ミスターシービー:84年毎日王冠(1番人気2着)
シンボリルドルフ:85年日経賞(1番人気1着)
ナリタブライアン:95年阪神大賞典(1番人気1着)
ディープインパクト:06年阪神大賞典(1番人気1着)
オルフェーヴル:12年阪神大賞典(1番人気2着)

......菊花賞を最後に引退したセントライトを除く6頭の成績は4勝2着2回とパーフェクト連対。敗れた2頭にしてもミスターシービーは上がり3ハロン33秒7という当時としては破格の末脚を見せ、オルフェーヴルはレース途中の逸走を経てのものと、負けるにしてもとてつもないインパクトを残している。

つまり、これからの日本競馬を引っ張るべき存在の馬はその緒戦でレース内容でも結果でもファンに魅せなければならない。

 今回の大阪杯でコントレイルに求められるものは単なる勝利ではなく、自身が現役最強であることを誇示する内容。そうしたレースを見せられるかで彼の未来が決まると言っても過言ではない。偉大なる先輩三冠馬たち同様、歴史を作る存在になれるのか――コントレイルの新しい挑戦がここから始まる。

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グランアレグリア 写真:山根英一/アフロ

 距離の壁が取り沙汰されているグランアレグリアは、その先にある「歴史」にも挑む。

 デビュー当時から圧倒的なスピードを武器にして、桜花賞を勝利。3歳時は時折幼さを感じさせたようにまた発展途上だったが、4歳になって気性面も成長すると、そうした脆さがなくなった。気が付けば安田記念ではあのアーモンドアイを寄せ付けずに勝利し、秋にはスプリンターズS、マイルCSを制覇。最速女王の名を欲しいままにした。

迎えた5歳の春。彼女は昨年勝てなかった高松宮記念をパスしてまで、自身初となる2000mのレースとなる大阪杯を選んだ。競走馬のレベルが上がり、距離のカテゴリー化が進む昨今の競馬界において、二階級制覇はかなり至難の業となっているが、彼女は1200m、1600mのGIに続いて2000mのGIも獲りに来た。

思えば、芝1200mのGIが設定された1990年以降にスプリントのGIに出走した馬が同年~翌年の間に2000m以上のGIに出走した例はこれまでにたったの11回で結果は[1・0・0・11]。

93年にヤマニンゼファーが天皇賞(秋)を制した以外はただの1頭も結果を出していない。そのヤマニンゼファーですら、スプリントのGIは2着止まりだったので、もしグランアレグリアが勝てば史上初の1200m&1600m&2000mと三階級でのGI制覇という偉業を達成することになる。

 天賦の才ともいうべきたぐいまれなスピードは、果たして2000mの舞台でも輝くのか――グランアレグリアの歴史を変えうる貴重な挑戦に拍手を送りたい。

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サリオス 写真:山根英一/アフロ

 この2頭をどうしても負かしたいのが、今回の出走馬で唯一、2頭との対戦経験があるサリオスだろう。

 デビューから500キロを優に超える雄大な馬格を誇った彼は、無傷の3連勝で朝日杯FSを制して2歳王者に輝いたが、最優秀2歳牡馬のタイトルはホープフルSを制したコントレイルに奪われた。

打倒コントレイルを目指して迎えた3歳クラシックの皐月賞、ダービーでサリオスはコントレイルに真っ向から挑んだが、結果はともに2着。初顔合わせの皐月賞は叩き合いの末に半馬身差及ばなかったが、距離が延びたダービーではその差は3馬身にまで広がってしまった。

 秋に入り、毎日王冠を制したサリオスが目指したのは自身の得意条件であるマイルGI制覇。しかし、ここにもグランアレグリアという強敵がいた。

初対決となったマイルCSでは大外枠からのスタートとなったのがアダになったか、直線で伸びきれずに5着に完敗。最速女王は彼におよそ2馬身の差をつけてゴールに飛び込んでいた。

 春は同期のライバルの後塵を拝し、秋は先輩牝馬に力及ばずと煮え切らないレースが続いた3歳から復権すべく迎える4歳の春。彼にとって2000mの距離は決してベストと言えるものではないが、2頭をまとめて負かすにはおそらく最初で最後のチャンス。2頭をねじ伏せ、久々の勝利を2度目のGI制覇で飾りたい。

 偉大なる先輩三冠馬たちに肩を並べ、日本競馬史に名を残す存在になりたいコントレイル。距離の壁を越え、新たな歴史を紡ぎたいグランアレグリア、そしてこの2頭をまとめてねじ伏せて、現役最強の座に就きたいサリオス......三者三様の想いがにじみ出る大阪杯のスタートは、もう目前にまで迫っている。

■文/秋山玲路

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2021年4月4日(日)2回阪神4日 発走時刻:15時40分
第65回大阪杯(GI)

枠-馬番 馬名(性齢 騎手)
1-1 モズベッロ(牡5 池添謙一)
2-2 サリオス(牡4 松山弘平)
3-3 アーデントリー(牡5 和田竜二)
4-4 ブラヴァス(牡5 三浦皇成)
4-5 ペルシアンナイト(牡7 幸英明)
5-6 ワグネリアン(牡6 吉田隼人)
5-7 コントレイル(牡4 福永祐一)
6-8 レイパパレ(牝4 川田将雅)
6-9 クレッシェンドラヴ(牡7 内田博幸)
7-10 カデナ(牡7 鮫島克駿)
7-11 ハッピーグリン(牡6 団野大成)
8-12 グランアレグリア(牝5 C.ルメール)
8-13 アドマイヤビルゴ(牡4 岩田望来)

※出馬表・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。