巨人の4番・岡本和真 “自分なりの4番打者像”を追求し見出した答えとは?

野球

2021.4.28

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岡本和真 Photo:Gettyimages

そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

4番が打てばチームは勝つ。その重責を、巨人の4番・岡本和真は背負い続けている。

素顔に迫ろうと訪ねた名古屋市内のホテル。第一声はまさかの。

「土足厳禁です」

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見れば岡本自身も裸足。きれい好きのようで部屋はきちんと片付いていた。

好きな色は赤。遠征の時の靴下も、パンツも赤。他の色は許せない。ご存知の通り、不思議な間合いのふんわりキャラ。ところが、ひとたび打席に入ると、その雰囲気が一変するから面白い。

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3年前に4番に定着し去年はホームランと打点の二冠に輝いた。巨人の右打者では長嶋茂雄以来、62年ぶりの快挙だった。

4番サード。その響きは美しい分、無様なプレーを許さない。岡本は、守備もいい。ミスタージャイアンツにしてミスタープロ野球。長嶋茂雄が築き上げた4番サードのロマンチシズムを岡本は受け継いでいる。

長嶋は言う。

「久方ぶりの4番サードだ。守備も安心して見られるようになってきた。あと足りないのは私のような格好良さかもしれない。」

「カッコイイ4番じゃなくていい」

岡本の打撃にはひとつ大きな特徴がある。それは逆方向へのホームランだ。流し打ちで飛ばす術を岡本は身につけている。それゆえライトへのホームランは年を追って増えている。

これこそが自分の持ち味と思い至り、さらに上を目指して去年、打撃フォームの改良にも着手した。変えたのは左足。以前は三塁側に開くオープンスタンスで構えていたが、それを左足と右足をそろえるスクエアスタンスに変えた。

逆方向への打球を意識したスイングを追求してこうなった。それでいて遠くに飛ばせるのは天性の資質も大きい。

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2018年のオフ。史上最年少での3割30ホーマー100打点を記録した岡本は、さらなる進化を求めジムで下半身を重点的に鍛えた。

ペナントレースは半年以上に及ぶ長丁場。調子の波は誰にでもある。昨シーズン、岡本は夏場に苦しんだ。5割近かった6月の打率は7、8月に2割台前半にまで落ち込む。だからと言って、もう打順を変えられるような存在ではない。4番に座り続け、責任を背負い続けた男は自分がすべきことは何かと自分に問い続ける。

見出した答えは自己犠牲。カッコイイ4番じゃなくていい。

たとえば1アウトランナー3塁なら内野ゴロでの1点も、自分がチームにできる貢献のひとつだ。

自己犠牲の精神は試合後のルーティンにも表れる。巨人の4番・岡本は試合後にベンチのゴミ拾いをしているのだ。他の4番打者ならしないような行動を岡本はする。それこそが岡本が目指す自分なりの4番打者像なのだ。

4番として悩んだ季節を抜けると、9月になって再びスイングの鋭さが戻ってきた。終わってみれば3年連続30本塁打。王貞治、原辰徳、松井秀喜に肩を並べ、巨人をセリーグ連覇に導いた。

不思議な4番を目指して

迎えた新年。巨人の第89代4番、岡本和真はいつも通りの不思議なオーラを漂わせて始動した。何代目の4番かが肩書きになる。それが巨人の持つ伝統の重みだ。

第25代、長嶋茂雄。第28代、王貞治。現巨人監督の原辰徳は第48代の4番としてONの次の時代を築いた。そして第62代、松井秀喜。長嶋茂雄との師弟愛にどれだけのファンが胸を熱くしたか。

他球団のライバルだけでなく歴史とも比較されるのが巨人の4番の重み。その中で、自分はどうあるべきなのか。岡本の答えはやはり彼らしかった。

ポテンヒットでも内野安打でもいい。かっこ良さは求めない。ただ、あいつが4番だと、最後は勝つ。

不思議な4番に岡本はなりたい。

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