久保建英の決勝ゴールで日本五輪代表が白星発進【五輪サッカー】

サッカー

2021.7.24

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決勝ゴールを奪い、勝利に導いた久保建英 Photo by Diego Souto/Quality Sport Images/Getty Images

 東京オリンピックの男子サッカーが7月22日に始まり、初の金メダル獲得を目指す日本五輪代表は東京スタジアムで南アフリカ代表と対戦。MF久保建英選手(レアル・マドリード)のゴールで1-0の勝利を収めた。久保選手のスキルと強さが光った得点で日本を白星スタートに導いた。

 相手ゴールに迫る場面を作りながら、なかなかゴールを割れず、時間が過ぎる。ジリジリとした状況を打開したのは、前半からチャンスに絡み、得点機を作ったMF久保建英選手(レアル・マドリード)だった。

 前半15分に左サイドのMF三好康児選手(アントワープ)のクロスをゴール前でFW林大地選手(鳥栖)が頭で流すと、ペナルティエリア右に入った久保選手が左足で捉えてゴールを狙い、前半30分過ぎには右サイドで崩してMF堂安律選手(PSVアイントホーヘン)へパスを送り、それを受けた林選手がシュートを放った。

前半終了直前にはゴール正面右よりのFKの機会に久保選手が直接狙ったが、ポスト右へ流れた。後半開始5分にも、堂安選手からリターンパスを受けて左足を振ったが、これも枠を捉えることができなかった。

「普段だったら1本目のフリーで受けたシュートなんかは、確実に入っている」と久保選手は試合後に話し、いつもとは異なる何かがあったことをうかがわせた。

得点機を得ながら決めきれない状況が続いて「多少の焦りはあった」と振り返ったが、「決めるとしたら自分しかない」と自分に言い聞かせて挑み続け、スペインで戦ってきた20歳のアタッカーは0-0で迎えた後半36 分に実現させる。

 左サイドに顔を出したMF田中碧選手(デュッセルドルフ)が、中盤からのボールを受けて大きく右サイドの久保選手へ振る。久保選手はペナルティボックス右でこれを胸で落として足元に収めると、ゴールから離れるように左へ流れて相手DFをかわし、思い切りよく左足を振った。

シュートは、横っ飛びになった相手GKが伸ばした手の先を抜けて左ポスト内側を直撃。跳ね返りがゴールの中へ吸い込まれた。これが日本の決勝ゴールとなった。

 久保選手は、「ボールを持ったら中に切り返してゴールを狙おうと決めていた」と明かし、「自分が点を獲ってチームが勝って、とても嬉しい」と、喜びとともに安堵の表情を見せた。

 コロナ禍での開催となった大会の難しさも見られ、試合までの数日間で気を揉む展開があった。選手村に入った南アフリカ代表チームの選手2人と映像分析担当スタッフ1人の感染が18日に判明。大半が選手とされる濃厚接触者は18人に及んだ。

日本戦は、試合当日のキックオフ6時間前のPCR検査で選手スタッフの陰性が確認された上で実施の運びとなったが、一時は陽性判定を受けてチーム練習ができない日もあり、また、大会初戦直前の17日にあったアフリカチャンピオンズリーグ決勝に出場した2選手が遅れて合流するなど、チームとして調整の難しさも報じられていた。

 その影響か、南アフリカは比較的スローペースの試合運びで、5バックを中心にブロックを作って守備を固め、ボールを奪うと1トップのFWエビデンス・マクボパ選手にロングボールを集めて、カウンターでチャンスにつなげようとする姿勢を見せていた。

 日本のプレーに慣れた前半終了直前には、左サイドからの攻撃でシュートチャンスを作ったが、最大の得点機は日本に1点リードを許した直後の後半32分、MFタボ・セレ選手が右サイドから中へ折り返したボールにFWルーサー・シン選手が合わせてシュートを放ち、GK谷晃生選手がセーブする場面を作り出した。

 さらに、後半終盤にも右サイドの崩しと、終盤交代投入されたFWコバメロ・コジサン選手のスピードを活かした左サイドでの仕掛けなどで、日本ゴールに迫る場面を作ったが、日本はDF吉田麻也選手(サンプドリア)を中心に1点を守り、勝利で勝点3を手にした。

 久保選手は試合を振り返って、「蓋を開けてみたら、南アフリカは全員がいいコンディションで、すごくいいチームだった」と指摘。「苦戦するべくして苦戦したと思うが、最後のところで自分が差を出せてよかった」と話した。

 前線で久保選手と日本の攻撃をけん引した堂安選手は、「二人でチームを引っ張っていこうと話していた」と言い、南アフリカのプレーには「勝負にこだわる気持ちを感じた」と振り返った。

今季ドイツのビーレフェルトの1部残留に貢献した堂安選手は、なかなかゴールが生まれない苦しい展開に、「ハーフタイムから全員で『焦るな』という声をかけていた」と明かして、「彼(久保)が決めて、チームを助けてくれて感謝している」と語った。


初戦の難しさ

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東京オリンピック男子サッカー 日本代表 Photo by Diego Souto/Quality Sport Images/Getty Images


 日本は暑さや相手の守備的なプレーも影響したのか、大会初戦ならではの慎重さが出たのか、前半は比較的スローなペースで試合を運んだ。

フル代表でも主将を務める吉田選手は、「なんとか1点を獲れて、それを守りきれた」と安堵の表情を浮かべ、「前半チーム全体として少しシャイ(消極的)だった。本来もっとできるチーム。最初から自信を持ってやるべき」と振り返り、物足りなさと2戦目以降への改善を示唆した。

 日本五輪代表の森保一監督は、「できればもっとゴールを奪って楽な試合にしたかった」としながらも、「初戦の難しさを感じ、相手がなかなかゴールを割らしてくれない中、選手たちが我慢強く戦ってくれたことは次につながる」と評価した。

 初日を終えて、勝点3を得た日本はA組2位発進。1位はフランスを4-1で下したメキシコで、3位南アフリカ、4位フランスの並びとなった。

 日本は3日後の25日にメキシコ、28日にフランスと対戦する。全4グループの上位2チームが決勝トーナメントへ進出できる。

 2012年大会以来の優勝を目指すメキシコは、OAで参戦のGKギジェルモ・オチョア選手をはじめ、チームの大半に若手も含めてフル代表の経験者を揃えており、暑さの残る午後5時キックオフの試合でも、後半になっても動きが落ちることなく、ミスの少ない、攻撃的なパスサッカーを披露した。

前半から優勢に進めながらスコアレスで終えると、後半開始直後からFWアレクシス・ベガ選手、MFセバスチャン・コルドバ選手のゴールで2-0とリード。後半半ばにフランスにPKで1点を与えたものの、交代出場のFWウリエル・アントゥナ選手、FWエドゥアルド・アギーレ選手の得点で突き放した。

森保監督は、「厳しい戦いで、我々が思ったような戦いに簡単にならないことは、今日の初戦で分かったと思う。今日の反省を活かして次の試合に進みたい」と語った。

初日の対戦でほかのグループでは、ブラジルがドイツに4-2の勝利でスタートしたものの、韓国がニュージーランドに0-1で敗れ、優勝候補のスペインがエジプトと0-0で引き分け、アルゼンチンがオーストラリアに0-2で敗れる波乱があった。

南アフリカ戦ではDF冨安健洋選手(ボローニャ)とMF三笘薫選手(川崎)が負傷とコンディション調整でメンバー外になったが、彼らのプレー復帰のタイミングも中2日での連戦を勝ち抜く上で重要な要素になる。

 堂安選手は初戦を白星でスタートさせて、「いい雰囲気で2戦目を迎えられる。ここから勢いにのってチームに貢献できるように頑張りたい」と話した。

 日本のオリンピックメダル獲得は1968年メキシコ大会以来の銅メダルのみ。悲願の金メダル獲得へ、戦いが始まった。


取材・文:木ノ原句望