高知高校投手・森木大智 四国で育った怪物がプロ野球の世界へ

野球

2021.10.12

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そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

四国・高知の山あいの球場で怪物は育った。

今は静かに時を待つ身。いかに怪物とて、ドラフト会議は神頼みになる。

高知高校投手、森木大智。

キャッチボールにさえ才能の片鱗は滲む。

ドラフトを特集した専門誌は1位指名確実と声を揃えていた。

とてつもない才能。平成の怪物、松坂や令和の怪物、佐々木にファンは心を躍らせてきた。それがプロ野球の醍醐味。

全国優勝し、高知中学・高校へ進学

だから4年前、新たな怪物の噂を聞いてすぐに動いた。

まだ中学2年生だった彼。テレビの取材はこの時が初めてだったそう。

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とはいえこの先どうなるかわからない。もてはやされた才能が朽ちていくことなどスポーツ界にはざらにある。

当時使っていたのは硬式球よりもスピードが出にくいとされる軟式のボール。最速145キロという数字はたしかに規格外だった。あとはこれをどう伸ばすか。

楽天の田中将大同様、最初はキャッチャーだった。小5でピッチャーになり、小6で全国優勝してその名を広めた。

高知には明徳義塾という甲子園の常連校があるが森木はあえて、中高一貫の高知中学を選んだ。自分を熱心に誘ってくれた濱口監督の人柄にひかれたからだ。

自分が活躍すれば甲子園へは行ける。そう思っていた。

預かった才能を潰してしまう怖さを濱口監督は持っていた。だから焦らず、ゆっくりと。そう決めた。

結果を求めない意識が逆に好結果を呼んだ。中3の夏、軟式史上最速の150キロを記録。剛速球のうねりが怪物の産声だった。

全国大会連覇の勲章を手に森木は高知高校へ進む。問題は高知県予選を勝ち抜けるかどうか。

森木への朗報は頼りにする濱口監督が高校の監督に就任したこと。打倒・明徳義塾へ。

ライバル 明徳義塾

一年生の夏、甲子園へのチャンスは早々に訪れる。

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県大会決勝の相手は明徳義塾。一年生ながらエースナンバーを背負った森木は3回から登板する。

しかし、自慢の速球を狙われ打ち込まれた。7回を投げ、3失点。

甲子園への切符は倒すべきライバルが持ち去っていった。それは怪物が落とした初めての悔し涙だった。

順風満帆だった怪物の歩みはそこから滞る。一年生の秋にはひじを痛めた。次の年はコロナ禍で甲子園が中止に。

今年春の選抜も逃し気がつけば夏がストチャンスになってしまった。夢はメジャーのサイヤング賞。甲子園はその通過点。

怪物最後の夏

怪物最後の夏。決勝の相手は宿敵・明徳義塾。

明徳義塾は打撃マシンの球速を160キロにして森木対策をしていた。

スカウトも見つめる中、森木の速球が冴える。この日の最速は151キロ。バッテリーエラーで1点は失ったが失投はほとんどなかった。

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試合はそのまま8回、明徳義塾の攻撃。ツーアウト満塁の場面で、速球で打ち取ったかに見えたが、サードがエラー。追加点を許したが、後続を打ち取る。

9回にリリーフが打たれ、3点を追って最後の攻撃へ。最後に意地を見せ1点を返すが、そこで試合終了。

届かなかった甲子園。怪物最後の夏は終わった。

だが一つ言っておこう。安定感を増した投球にプロのスカウト陣は二重丸をつけていた。

運命のドラフト会議

10月11日、迎えたプロ野球ドラフト会議。

高知で生まれ育った剛腕・森木大智は、阪神が外れ1位で指名し、交渉権が確定した。

尊敬する投手を問われると、高知出身、阪神と共通点の多い藤川球児の名前を挙げた。

「野球を始めるキッカケになったのが藤川球児さん。火の玉ストレートに一番魅力を感じます。」

同郷の剛速球右腕の背中を追い、森木大智はプロの世界へ飛び込んでいく。

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