東京大学野球部 データで支える学生アナリスト「弱者の兵法」で勝利に導く

東大野球部でアナリストを務める齋藤周さん(写真右)
東京大学野球部は、なぜ勝つことができるのか。
96年間続く伝統の東京六大学野球。ドラフト会議も迫る9月下旬、プロも注目するリーグ戦にとある異変が起きていた。
勝てばニュースになる。 そういわれてしまう東京大学野球部が、今年すでに2勝をあげているのだ。春までに続いていた連敗はなんと「64」。
負ける理由は、メンバーのラインナップを見れば納得するかもしれない。出身はいずれも超名門校。全国の学問優秀な学生たちが集った野球部なのだ。
戦力では劣るが、勝つことは出来る。
そのキーマンがデータを分析し、戦略を練るアナリストの齋藤周さん(4年)だ。
「僕らの代は 1 回も勝ってないところからスタートした。普通にまともにぶつかっても勝 てない中でどうやって突破口が見つかるのか必死に探してきた結果がデータを使った戦術 でもあり、どう戦うのかを考えるのが面白いことでもあるのかなと。」
神宮球場のバックネット裏に、データ野球を推し進めるきっかけとなった機械がある。
トラックマンという名のレーダーを使った弾道測定器。投げた球の回転数、打球のスピード などの数字が分かる。
さらに東大の練習場にはラプソードというシステムを導入。投球データがすぐタブレット に表示され、パフォーマンスの改善に役立つという。
齋藤 「ミーティングや相手の情報を伝えるときにデータを伝えて、こういう傾向がある、こうやって攻めていこうとやっているので今年はデータとか数字をもとにして、チーム全体でこういう風に攻めていこうと全体としての戦略が練られているのが一番大きなところかなと思います」
メンバー表には超名門校の名前が並ぶ
データを管理する斎藤アナリストへの監督の信頼は厚い。
井出峻監督 「(齋藤は)東大野球部のデータ、その総元締め。控えめで真面目で実直なんだけれどもはっきり言ってくれるから頼りにしています」
井出峻監督:東大野球部出身で現役時代はプロ野球中日でプレー
データを分析していかに勝つのか。
改革したのが「走り」。技やパワーと違い、走塁は相手チームに劣らない。だからそこをストロングポイントにした。
去年の春はゼロだった盗塁をリーグトップの24個まで増やした。(2021年春季は5試合)
それが今年の春、連敗を64でストップした一番の要因だった。
そしてこの秋のリーグ、立教大学との一戦(9月26日)でも走りで魅せる。これまで4年間、盗塁ゼロの4番・井上慶秀が一塁に出た。チーム一丸で走りを意識する。だから当然、二塁を狙って走った。
齋藤 「きちんと自分たちの分析をもとに根拠をもって走れたかなと思います。方針を立てて、実践して、振り返ってこのサイクルを論理的に積み重ねればうまくいく」
見事に立教大学に打ち勝ち(東大 7-4 立大)、今年2勝目。
東大野球部が実践する「弱者の兵法」とはいったい何なのだろう。
齋藤 「弱者の戦い方みたいなところで言うとランチェスター戦略という戦略がありますけど、 これは他の所にない武器を作ってそこで一点集中で勝つというところだと思うのですが、そういう意味で今回の東大は走塁で一点突破した。今度は走塁も生かしながら、打撃の力も合わせて攻撃力で突破していくというところだと思うので、そういう意味で、他のチームにない武器を作って戦っていくというのが僕たちの戦い方かなと思います」
さすが東大野球部。
マーケティングにも使われる理論まで使い、六大学野球の舞台で勝負を挑んでいるのだ。
(10月9日放送 テレビ東京系 カレッジスポーツゼミより)