世代交代を進める浦和、来季3年ぶりにアジアの舞台へ

第101回 天皇杯 表彰式 浦和レッズが優勝 写真:JFA_アフロ
浦和レッズが2021シーズンを締めくくる天皇杯に優勝して、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得。
Jリーグ連覇の川崎フロンターレ、2位の横浜F・マリノス、3位のヴィッセル神戸とともに、アジアクラブトップを決める戦いに駒を進めた。
コロナ禍の影響も想定される従来とは異なる環境の中、浦和は世代交代を進めた新たなチームで2019年大会以来となるアジアの舞台に臨む。
ACL出場権獲得には、Jリーグ上位3位以内(3位はプレーオフから出場)に入るか天皇杯で優勝するかの道がある。
多くのクラブ同様、浦和もリーグ戦での出場権を獲得して奮闘したが、12月4日にリーグ戦を6位で終了すると、並行して勝ち進んできていた天皇杯での達成にフォーカス。
12月12日のセレッソ大阪との準決勝(2-0)を勝ち抜いて、19日の大分トリニータとの決勝に臨んだ。
浦和は開始6分でMF関根貴大選手の仕掛けからMF江坂任選手が決めて先制したが、その後は攻撃がスローダウン。J2に降格が決まっている大分の反撃に苦戦して、90分終了直前には大分にFKを起点にDFペレイラ選手にヘディングを決められて同点にされた。
大分が準決勝の川崎戦で見せたような追い上げの展開に、前年王者を得超PKで退けた大分の逆襲劇の再演が頭に浮かんだが、浦和も粘り強さを発揮。
後半アディショナルタイム3分に得た右CKのチャンスに、MF柴戸海選手が相手DFのクリアボールを捉えてミドルシュートを放つと、ゴール手間で交代出場のDF槙野智明選手が頭で合わせてコースを変え、ゴールネットを揺らした。
居残り練習を共にしてきた柴戸選手のプレーのクセを熟知していた34歳元日本代表DFが、土壇場で見せた冷静な判断と勝利への執念でモノにした貴重な決勝ゴール。
DF宇賀神友弥選手の準決勝での先制点に続き、チームを去る二人のベテランが力を発揮してチームの目標達成に一役買った。
浦和は、2018年大会以来で前身の三菱重工と三菱自動車時代を含めて通算8度目の大会優勝を飾り、今季限りで現役を退くMF阿部勇樹選手が最後にトロフィーを掲げた。
先制点をお膳立てした関根選手は、この試合が「終わりでもあり、始まりでもある」と語り、クラブの世代交代の区切りとなったことを示唆。
「いままで浦和のために戦ってくれた人たちの最後のタイトル」であり、「僕たちの世代がこれから積み上げていく一歩になる」と指摘した。
関根選手は決勝終盤の83分までプレー。交代でピッチを出る時には槙野選手、宇賀神選手、阿部選手らクラブを去る面々を思って涙も見せたが、「先輩たちがどれだけのことをやってきたか、僕は見てきた。そこに負けないくらい、自分たちが強いチームをつくっていきたい」と、浦和ユース出身の26歳MFは前を向いた。
一方、「試合残り10分は槙野劇場にしたいと思っていた」という槙野選手は、2012年からプレーしてきた浦和でのラストゲームで決勝ゴールを決めて、「自分がこのチームに残さなければいけないものを出せたかと思う」と話し、天皇杯のタイトル獲得とともにACL出場権に貢献して「置き土産にできていいストーリーができた」と笑顔を見せた。
就任1年目でチームの若返りを図りながら天皇杯タイトルをもたらしたリカルド・ロドリゲス監督は、経験豊富なベテラン選手らの貢献について「彼らが遺したものは非常に大きい」と話した。
天皇杯決勝終了後、浦和は来季への体制作りに着手。
FW興梠慎三選手が札幌、MF汰木康也選手が神戸、DF山中亮輔選手がセレッソへ移籍するなど数名がチームを離れた一方、鹿島からDF犬飼智也選手やスパルタ・プラハ(チェコ)からスウェーデン代表経験のあるMFダヴィド・モーベルグ選手、横浜FCからMF松尾佑介選手、水戸からGK牲川歩見選手ら多く選手が加入した。
来季は自身初となるアジアでの戦いを迎えるが、浦和のスペイン出身指揮官は「このクラブでは常に高いモノを求められるが、その高いモノを常に目指していくことが大事になる」と話し、チームのさらなるステップアップに期待を寄せた。
取材・文:木ノ原句望