【安田記念 みどころ】勝ち馬以上に注目される意外な記録 GI1番人気「11」連敗

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2022.6.5

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シュネルマイスター 写真:日刊スポーツ/アフロ

果たして今週こそ、大本命馬が強いレースを見せるのだろうか。

振り返れば今年のフェブラリーSでレッドルゼルが6着に沈んだのをはじめ、平地GIで1番人気馬が勝てないでいる。今年に入ってからはまさかの10連敗を喫したが、これはグレード制導入後のワースト記録となっている。

ちなみに年始から区切らずにGIでの1番人気の連敗記録で見るとこの連敗は昨年のホープフルSから始まり、現在11連敗中。

仮に今週の安田記念で1番人気馬が負ければ、歴代最長である2007年の桜花賞から菊花賞までの12連敗に並ぶことになる。

レースとは関係のないところで、そんなとんでもない記録がかかっている今年の安田記念だが...... メンバーを見ると1番人気は誰の目にも明らかなほど、その実力は抜けているように思う。

その馬とは、シュネルマイスターである。

6頭のGi馬が顔を揃えた今年の安田記念にあって、頭一つ抜けていると言っても過言ではないのがこの馬。

昨年のNHKマイルCで鋭い末脚を見せて外国産馬として20年ぶりの勝利を挙げると、3歳馬ながら昨年の安田記念に出走。勝ち馬とは0.1秒差の3着に入ってその実力を証明して見せた。

秋になってからもその勢いは衰えを知らず、毎日王冠では後のGIホースであるポタジェらを退けて勝利すると、マイルCSではダノンアレグリアに屈したとはいえ、0.1秒差の2着。

まだまだ完成途上の状態でこれだけのレースを擦る馬だけに古馬になって成長してくればマイル界の大物になると、だれもがその将来に思いを馳せた。

そう考えれば年明け緒戦となったドバイターフの凡走(8着)が解せないが、慣れない海外遠征に本来の得意距離とは言えない1800mのレース、しかも4ヶ月の休み明け緒戦として臨んだことなど、今となってはいろいろとイクスキューズの付く敗戦だった。

それだけに今回の安田記念は、シュネルマイスターにとって絶対に負けられない一戦と言っていい。

得意の東京芝マイル戦で、これまで何度も好走してきた舞台。しかも鞍上には本来の主戦であるクリストフ・ルメールを迎えている。相手関係もこれまで以上にグッと楽になることは間違いなく、現役マイル王の座に就くためにはどうしても落とせないレースと言える。

だが、そうした大本命馬がことごとく敗れてきたのが今年の平地GIレースであり、近年の安田記念でもある。

思い出してみてほしい。昨年の安田記念で1番人気に推されたグランアレグリアが伏兵・ダノンキングリーに届かずに2着に敗れたことを。以前にはアーモンドアイが2年連続で涙を飲んだこともある。

安田記念で1番人気馬が最後に勝ったのは7年前の2015年、モーリスが初めてGIを制した時までさかのぼる。以降の1番人気馬は[0・3・2・1]と必ず何かに足元をすくわれる結果となっている。

これを見ると、今年のシュネルマイスターだって決して、盤石の存在とは言えないかもしれない。

では、シュネルマイスター1強体制に風穴を開けるのはどの馬か......その答えはイルーシヴパンサーが握っているのかもしれない。

昨年の皐月賞で10着に大敗した直後、潔くマイル路線に方向転換。すると、持ち味の末脚が開花して気が付けば今年の東京新聞杯で4連勝目を達成。

その間の上がり3ハロンの時計はすべてメンバー最速の切れ者。同級生にして今回が初対戦となるシュネルマイスターとは隣の枠に入っただけに一筋縄ではいかないレースを見せるだろう。

GI馬が多くエントリーしているとはいえ、過去10年の安田記念を見るとここが初のGI制覇の舞台となった馬が歴代で6頭もいた。そう考えると今年のメンバーにでも当然チャンスはある。その筆頭格となりそうなのはやはりファインルージュとソングラインである。

ともに4歳を迎え、前走はヴィクトリアマイルで上位に食い込んだ実力馬だが、最後まであきらめずに牝馬クラシック戦線を完走したファインルージュと桜花賞後は早々とマイル路線へと方向転換して古馬相手にその存在をアピールしてきたソングライン。

歩んだ道のりはそれぞれ異なるが、ともにGI級の能力を秘めているのは確か。キレのいい脚を生かして早めに先頭に立って押し切るレース運びで後続馬の追撃を振り切り、悲願のGI制覇へと歩みを進めたい。

近年の安田記念の決まり手はトレンドとなりつつあるのが早め抜け出し。

人気馬たちの大半は後ろからレースを進めて流れに乗り、直線の末脚に賭ける馬たちだけに、この2頭ならばそうした展開面を味方に付けたレース運びで周囲をあっと言わせることも可能だろう。

そして最後に3歳馬、セリフォスを挙げないわけにはいかないだろう。

レベルが高いとまことしやかにささやかれる今年の3歳勢の代表格。NHKマイルC1番人気に支持されながら4着に終わったが、これが年明け緒戦と考えれば上々の内容か。

2歳時には朝日杯FSでダービーを制したドウデュースに0.1秒差まで迫った実力馬。斤量54キロならば流れ次第で逆転があるかもしれない。

孤高のGI馬が自らの走りで不名誉な記録に終止符を打つのか、それとも番狂わせはまだまだ続くのか......今年の安田記念は勝ち馬以上に記録にも注目したい一戦だ。


■文/福嶌弘