川崎フロンターレは苦しみながら2位で終了、取りこぼしで3連覇ならず

サッカー

2022.11.8

川崎フロンターレ 写真:アフロスポーツ.jpg
川崎フロンターレ 写真:アフロスポーツ

最後の最後までもつれたJ1リーグは、横浜F・マリノスが3年ぶり5度目の優勝を決め、終盤追い上げた川崎フロンターレを勝点2差で2位に抑えて再び3連覇を阻止した。

優勝が懸かった11月5日の最終節もそれぞれの試合で今季を象徴するような戦いを見せ、攻撃サッカーを披露したマリノスに対して、2位に終わった川崎は3連覇の難しさを再び痛感するエンディングとなった。

一時は勝点差8に広がったマリノスのリードを勝点2差にまで縮めた川崎だったが、シーズン中に取りこぼした勝点の大きさが最後まで響いた。

アウェイで迎えた最終節、F東京に勝ってマリノスがアウェイで神戸に敗れれば逆転優勝が決まるという厳しい条件のなか、川崎は前半19分にMF脇坂泰斗選手がFWマルシーニョ選手からパスを受けてミドルシュートを決めて先制。

最低条件の勝利へ好スタートを切ったが、その後、思わぬ展開に見舞われる。

先制から10分後、川崎GKチョンソンリョン選手が、ロングボールを受けてドリブルでゴールに迫る東京FWアダイウトン選手にファウル。得点機阻止として一発退場となり、川崎は残り60分以上を数的不利で戦うことになる。

この状況に、守備に徹して前半を1-0で折り返したが、後半開始早々にアダイウトン選手に得点を許して同点にされた。

守勢に立たされた川崎だが、後半16分にMF橘田健人選手が相手のパスにプレスをかけて右サイド深くに追い込み、ボールを奪うとペナルティエリアに切り込んでクロス。これをノーマークでゴール前に顔を出したマルシーニョ選手が右足で合わせて2-1とした。

しかし、後半29分にアダイウトン選手に再び同点に持ち込まれ、川崎は苦しい展開が続いたが、その直後、後半出場のDF車屋紳太郎が送った左クロスに相手DFが反応してオウンゴールに。このリードを最後まで守って川崎が3-2で勝利した。

最後まであきらめない姿勢で手にした勝ちを手にしたが、マリノスも神戸に3-1で勝利を収め、逆転優勝には届かなかった。

「あきらめなければ必ずチャンスはめぐってくる」という強い信念のもと、2019年以来2度目の3連覇に挑んだ川崎の鬼木達監督は、「リーグ戦は年間を通してのもの。いろんなところで取りこぼしをした。一つひとつの勝敗もそうだが、得点や失点も、もっと取れたり防げたりした。一試合一試合、もう一度そこを突き詰めてやっていかなければいけない」と振り返った。

昨年は、今季や一昨年より4チーム多い20チームで全38試合を戦ったが、川崎は勝点92(28勝8分2敗)で2位のマリノス(24勝7分7敗)に勝点は13差。

一昨年は勝点83(26勝5分3敗)で2位のガンバ大阪(20勝5分9敗)に勝点18差で、2度目の2連覇を遂げていた。今季は20勝6分8敗で勝点66。優勝したマリノスは20勝8分6敗だった。

一敗への意識

昨季途中から日本代表レベルの主力が移籍で相次いでチームを離れたことで、今季はチームとしての戦い方を再確認しながら進むことになった。

さらに、コロナ禍の影響を受けて控え人数が少ないなかでもやりくりして戦った試合もあり、DFジェジエウ選手、FWレアンドロ・ダミアン選手、MF大島僚太選手、MFチャナティップ選手ら怪我人を次々と抱えて戦力がなかなか揃わず、例年になくチーム作りに難しさが加わった。

鬼木監督は、「怪我人が多かったり主力が抜けたりしたので、(チームとしての)積み上げと土台の確認という作業が多かった。選手には『崩れるな』という話をずっとしてきた」と明かしていた。

シーズン中盤の5月21日の鳥栖から湘南、京都の3連戦では今季唯一の2連敗を含めて1分2敗。その直後の7月末の浦和戦までの5試合も2勝1分2敗と苦しんだ。

しかし、8月7日の24節マリノスとのホーム戦では好ゲームを披露して2-1と勝利。そこから4連勝したが、そのあとの湘南戦で躓き、終盤の名古屋、柏との連戦ではいずれも引き分けた。

どこか波に乗り切れず、最下位で降格が決まった磐田にも2戦とも引き分けるなど、勝点を取れない試合が少なくなかった。

また4失点した試合は、開幕後2節のアウェイでのマリノス戦(2-4)、ホームでの4月2日のセレッソ大阪戦(1-4)と5月25日の湘南戦(0-4)、10月1日のアウェイ札幌戦(3-4)と4回を数えた。

シーズン34試合で総得点は65でマリノスの70に次いでリーグ2位だったが、総失点は42で9位タイ。来季へ向けて課題の日乙であることは言うまでもない。

山根選手は、「リーグを引っ張っていけるのは自分たちだと思っていたが、今年はちょっと負けすぎた」と述べて、「どこまでその1敗に対して思いを持てたのか。負けた時の温度は去年に比べてどうだったのかと正直、思うところがある。勝つことを目標としているのか、勝った上で内容を突き詰めていくのかというところの差もあったと思う」と振り返った。

苦しいシーズンで得た収穫

それでも、シーズン終盤にはMF家長昭博選手、脇坂選手、DF山根視来選手の右サイドでのコンビネーションも滑らかになり、攻撃が活性化。

左サイドでスピードと得点力のあるマルシーニョ選手との絡みもスムーズになり、終盤の4連勝での追い上げにつながった。マルシーニョ選手と34試合フル出場だった家長選手はともに12得点でリーグ3位タイの活躍だった。

鬼木監督は、選手たちが「負けるときついというところで力を発揮したり、負けても次にリバウンドメンタリティが出たりすることが、今季は多くあった」と収穫も得ている。

DF谷口彰悟選手も、苦しい状況下での試合を多く経験したことで「臨機応変さや、劣勢や自分たちのゲームでないときにどうするか、自分たちの引き出しが増えたと思う。それはネガティブではないし、それを含めて次に活かしていかないといけない」と前を向いた。

今季のタイトル獲得はカップ戦を含めてならなかったが、リーグ戦では鬼木監督就任1年目の2017年の初制覇から6年で優勝4回、優勝を逃した2019年と今回は4位と2位。確固たるものを築いてきているのは間違いない。

今季の苦境で得た経験とリバウンドメンタリティを手に、来季のバージョンアップを期待したい。


取材・文:木ノ原句望