W杯 日本代表、コスタリカ戦を取りこぼして正念場に

サッカー

2022.11.30

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サッカー日本代表 森保一監督 写真:ムツ・カワモリ/アフロ

 サッカー日本代表がワールドカップ(W杯)カタール大会で痛い取りこぼしをした。11月27日にドーハ郊外で行われたグループE第2戦でコスタリカ代表と対戦。

勝てば、もう1試合の結果次第でグループステージ突破が決まっていた試合で、終盤にミス絡みの失点を許して0-1で敗れた。12月1日のスペイン代表との最終戦が2大会連続での16強進出をかけた正念場となる。


 23日のドイツ戦で強烈な逆転劇を演じて上昇気流で第2戦に臨んだはずの日本だったが、初戦でスペインに大敗したコスタリカに黒星を喫し、勝点を積み重ねることができなかった。

同日の夜、スペインとドイツの対戦が1-1で終わったため、スペインは勝点4で首位をキープ。日本が勝ち点3を加えていれば、2戦を終えてグループ2位以内で突破が確定していたことになる。

だが現実には、コスタリカに勝点で並ばれた日本は得失点差で2位を維持。

コスタリカが3位につけ、今大会初となる勝点1を手にしたドイツが4位。12月1日の最終戦の結果次第で、すべてのチームに突破の可能性がある混戦となった。

「ドイツに勝って次の試合が大事になる」。森保一監督も選手たちも初戦へ向けて異口同音にそう話していたが、大事な一戦で綻びが出て、選手起用にも疑問が残った。

森保監督は大会前から、強度の高いドイツ戦での選手の消耗を懸念。総力戦になるとして試合ごとの選手の入れ替えを示唆していた。

本番のシミュレーションとなった9月のドイツ遠征でのアメリカ、エクアドルとの連戦や、大会開幕直前の11月17日にドバイで行ったカナダ戦でも、メンバーを入れ替えながら戦ってきた。

その経緯を見れば、攻撃的選手を中心としたコスタリカ戦の先発5人の変更は、監督のなかでは既定路線だったに違いない。

ドイツ戦から変えたのは2列目の左右。

MF久保建英選手(Rソシエダ)とMF伊東純也選手(Sランス)に替えてMF相馬勇紀選手(名古屋)とMF堂安律選手(フライブルク)を起用し、1トップはFW上田綺世選手(Cブルージュ)がFW前田大然選手(セルティック)に代わって入った。

ボランチの一角に、負傷から回復したMF守田英正選手(スポルティング)を送り出し、ドイツ戦で負傷したDF酒井宏樹選手(浦和)の代わりにDF山根視来選手(川崎)を採用した。

森保監督は試合後、「ターンオーバーは全く後悔していない。ドイツ、コスタリカとインテンシティの高い戦いで、スペインとも激しく厳しく高いインテンシティの戦いをする。勝つ確率を上げられると考えて選択した」と語っている。

だが、蓋を開けてみると何人かの選手が不調。それは想定外だったに違いない。

上田選手は前でボールを収めることができず、鎌田選手はミスを連発。堂安選手も相手左ウィングのベテランFWジョエル・キャンベル選手の仕掛けに手を焼いた。

前線でボールが収まらないことで攻撃の押し上げは難しく、堅守速攻で知られるコスタリカのカウンターを嫌ってか、縦をつくフィードや仕掛けも鳴りを潜めた。

日本の前半のチャンスは、試合早々に相馬選手が長友佑都選手(F東京)との連携で見せた左サイドでの仕掛けと、その直後にあった守田選手のパスを落とした上田選手のプレー反応した堂安選手のシュート場面ぐらい。

後ろでボールを回すものの、積極的に仕掛けるプレーを欠いてチャンスメークにならなかった。

 0-0で迎えた後半、日本は伊藤洋輝選手(シュツットガルト)と浅野拓磨選手(ボーフム)を投入して3バックに変更。

直後から守田選手が浅野選手とワン・ツーでシュートに持ち込み、その直後にも守田選手や遠藤選手が狙い、CKの流れから遠藤選手がシュートを放つなど、GKナバス選手や守備陣らの身体を張った守りに阻止された。

それでも最後まで0-0であれば日本は勝ち点1を手にできたが、最後のところで悪い一面が顔を出す。

 81分、後半途中出場の三苫薫選手(ブライトン)が左サイドで突破を試みてボールロスト。

奪ったキャンベル選手がそのまま右サイドを持ち上がり、パスをつないで日本の最終ラインの裏へフィード。伊藤選手が跳ね返して吉田麻也選手(シャルケ)が受ける。

だが、吉田選手のクリアは小さく守田選手の足元に。態勢がと整わないなかで反応した守田選手のボールは相手に渡り、最後は日本守備陣の間に顔を出したDFフルーレ選手が狙いすましてシュート。これがコスタリカの決勝点となった。

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吉田麻也 Photo by Sebastian Frej/MB Media/Getty Images

終盤に失点を許して同点や勝利を逃すことは、これまでにもあり、懸念されていた課題の一つだった。直近では大会直前のカナダ戦で終了直前にPKを与えて1-2で敗れている。

その試合後、吉田選手は「あの時間帯で勝ち点1をもぎ取れるかどうかとう戦いを(本大会では)しなくてはいけないので、そこは絶えないといけない。間違いなく改善しなくてはいけない」と話してリスク管理の必要性を改めて口にしていた。

大会初戦のドイツ戦では、最後まで集中を切らすことなく、2-1リードを守り切って勝利と勝ち点3を手にしたが、コスタリカ戦ではできなかった。

残り時間を考えてドローで勝ち点1を取ることを考えてもよかったが、吉田選手は「つなげると思った」と振り返った。その心理的背景を、堂安選手のコメントが補足している。

堂安選手は、「頭のなかには『この相手には勝ち点3を取らなきゃいけない』というのが頭をよぎった。焦るなと言いつつ、相手の罠にはまってしまった印象がある」と語った。

得点を奪えないことで焦りが生まれていたことを示唆。0-0の時間が長くなれば相手が焦れると予想していた日本だったが、実際に焦りが生まれたのは日本の方だったようだ。

 そう思わせたのは、コスタリカがスペインに0-7で大敗した事実だろう。初戦の痛い黒星でコスタリカは持ち前の堅守速攻に立ち返り、初戦の4バックから従来の5バックに変えて守備を固めてきた。

守りを固める相手に、個人のクオリティを活かしてサイド攻撃などで突破してきた日本だが、個人の力を活かすような積極的な縦パスなどの試みも、時間の経過とともに姿を消した。

先発で4人、途中出場のうち2人が初のW杯という若さが、カウンターでの失点を警戒した消極的なプレーにつながったか。

森保監督は、「もともと3試合を通してグループステージ突破だと思っていた」と話した。

だが、こういう大会で勝ち進むにはチームの勢いも不可欠だ。その点でも、ドイツ戦で得たチームの勢いや流れも活かすことができなかった。

この結果、日本の突破条件は、グループ最終戦でスペインに勝てば無条件で決勝トーナメント進出が決まるが、負ければ敗退。引き分けの場合は、コスタリカとドイツの結果による。

日本が引き分けてコスタリカが勝てばアウト。だが、ドイツが勝った場合は勝ち点が並んだ場合には得失点差、総得点、当該チームの直接対決の成績の順に競うことになる。まったく気の抜けない状況だ。

森保監督は、「スペインにも難しい戦いになると思うが、勝つチャンスは十分あると思っている。いい準備して自信を持って臨みたい」と言った。

勝たなければあとがない状況に、前田大然選手(セルティック)は「僕たちはベスト8が目標。いずれはこういう、勝たなければ上に行けない試合が来る。それが先に来ただけ」と言う。

「しっかり勝ちたい」

 先を見据えて足元を救われた格好の日本代表だが、もう一度、自分たちを見つめ直して立て直さなければ先はない。正念場だ。


取材・文:木ノ原 句望