「このままでは終われない」阿部一二三のライバル・男子66㎏級 丸山城志郎が語る揺るぎない覚悟【柔道GS東京】

丸山城志郎 写真:松尾_アフロスポーツ
「このままでは終われない」
今年10月の世界選手権の男子66㎏級決勝で阿部一二三(パーク24)に技ありをとられ大会3連覇を逸した丸山城志郎(ミキハウス)が再起を期し、グランドスラム東京に挑む。
冒頭の言葉は、同選手権後天理大の穴井隆将監督に告げたものだ。その真意を聞くと、丸山は「ここで終わったらカッコ悪い」と吐露した。
「これから先、(自分の選択肢は)全て苦しい方を選んでいって、逃げそうになったら先の世界選手権を思い出す。あの大会で自分が負けた姿を思い浮かべながら、毎日の稽古を頑張っていきたい」
世界選手権後、ファンから「引退しないで」という言葉が耳に届いたが、現在の丸山にそういう気持ちはさらさらない。「小中の頃には、もう何百回と辞めたいという気持ちになりましたけどね」
母校・天理大が10月に開催された全日本学生体重別団体優勝大会で29年ぶりに日本一に輝いたことも大きな刺激になった。
「学生が頑張っている姿を見て、勇気をもらいました。本当は僕が学生に勇気を与える側だけど、改めて自分も頑張らなければと思いました」
丸山の心を動かしたもの、それは学生たちが諦めずに練習をやり続けたことが優勝につながったという汗と涙と努力の結晶だった。
「僕も諦めずに最後まで闘い抜いたら最後にはいいことがある。そう信じながら、やるのもありかなと思いました」
東京オリンピックの出場権をかけたライバル阿部との闘いは壮絶を極め、最後は一昨年12月13日に史上初のワンマッチで勝負をつけることになった。結果は24分もの長期戦の末、阿部が大内刈りで技ありを奪って熱戦に終止符を打った。
それでも、試合後の丸山は「自分がやってきた全てを出し切れた」と気丈に振る舞った。
「ここまで肉体的、精神的にも強くなれたのは、僕だけの力ではなく阿部選手の存在もある。僕の柔道人生は終わっていない」
まさに七転び八起きの精神ではないか。だからこそ何度でも起き上がる。先の世界選手権後、丸山は「腐らずにやっていく」と心に決めた。
「何かを変える必要あるかと思うけど、今までやってきたことをもう一回信じてやり抜くことも大事」
ライバルの阿部はコンディショニングを考慮して今大会を欠場するが、パリオリンピックに向けての第1ラウンドともいえるだけに、丸山は「今回は本当に負けられない」と意気込む。
「自分にとっては今後の柔道人生を左右するくらいの大会だと思っている。死ぬ気で勝ちに行くくらいの思いでやっていくだけです」
この階級には、先月開催の講道館杯で決勝を争った武岡穀(パーク24)と服部辰成(東海大相模高)、そして昨年のグランドスラムパリで優勝した田中龍馬(筑波大)も出場する。いずれも丸山と当たれば新旧交代をかけた闘いになるが、丸山の「どんな手段を使っても勝ち切る」という決意に揺らぎはない。
(スポーツライター 布施鋼治)